2話目
ゴテゴテと所狭しと飾り付けられている室内の装飾品に一様に眩暈を覚える。目頭を押さえながらあたしは取り合えず状況を把握するべくこの3人に話しかけた。そして返って来た答えに...
「あんたはギリシャ神話の冥王かッ!!」
飲み物に細工をしあたしをこの魔国へと強制連行した諸悪の根源に捲くし立てた。しかも細工した飲み物はなんと魔国に生息する植物から摂取した物質らしく、幸いな事に後遺症は無いそうだ。うん。良かった良かった。ギリシャ神話だと1年のうち3分の1は冥府で暮らす事になってた...
「ハーデスってなんだ?」
「ハーデスってのは俺の居た世界の神話で冥界の神の名前だ。確かペルセフォーネを騙して冥界に連れて来たんじゃなかったかな? そんで――」
人の思考に割り入ったクソ兄貴が馬鹿息子にギリシャ神話の説明をし始める。その説明に納得が謂ったかどうかは分からない。が、今はそんなことはどうでも良い。心底どうでも良い。ここ強調!!
「何であたしこんな格好しないとなんない訳ッ?!」
着せ替え人形よろしく姦し3人娘の手によってあら不思議、淑女の出来上がり。ってか淑女ってなに? 自分で言うのもなんだけどあたしってば淑女からかなりかけ離れた性格してると思うけど。
父さん母さん目が痛いです。色取り取りの光沢のドレスに燕尾服? タキシード? 詰襟の軍服? みたいな服が光の公害...もといほぼ原色に近い光の光源を迷惑なほど放っている為まるで突き刺さるように光が目に染みます。
クソ兄貴の妹...自分だが長いこと離れていたその兄と再会と魔国に来たお祝いとして夜会がつまりは歓迎会が開かれるとの事。ハッキリ言ってえぇハッキリ言って! 声を大にしてまでもハッキリ言うがッ!!
ものすごく迷惑なことこの上ないッ!!!
夜会用のドレスを着るために姦し3人娘の手によってコルセット等というものを着けられたが死ぬかと思った...いやマジで冗談抜きで圧死するかと思った。コルセットは良く分からない物体で作られたものでサイドから紐を引っ張ることでそれが段々と形を変えるらしい。つまりは体を締め上げるのだが...
「ッやめ! マジ死ぬからッ! 内臓潰れて死ぬからッ!!」
あたしの叫びに3人は仕方なしにコルセットを諦めドレスオンリーにしてくれた。が、そのドレスを決めるのにひと悶着を起こしたのがひとつ...じゃなくてふたつ...あれ? ふたつ前だっけ? まぁ兎に角そんなことがあって現在、あたしは紫藤色ロイヤルブルーのドレス姿。
髪は可愛らしく纏められ真珠と銀の装飾品で飾られている。小粒のビジョンブラッドと金の小さな鎖で出来上がっているのネックレスとイヤリング。そしてブレスレットにアンクレット。
その上ヒールの高い靴をはいて完成したあたしの手を馬鹿息子...やべッ! 名前忘れたッ!! が軽く掴みながら会場にドドンッと鎮座する王座に向かいながらを歩いていた。
急展開です!!