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巻き込まれた人間の異世界生活  作者: 蒼月
第1章
14/18

11話目

 


 当の人間を無視しながらアバドンとルーファスが押し問答を繰り広げている。俺が俺がと言い会う姿を見ながら思ったことはただ一つ。――あたしいなくてもよくね? なんかあたし抜きで話しが進もうとしてるしそれにほらあたしってば一応ケガ人だし、グエンさんに手当てしてもら......


 何気なく傷を負った箇所に目を向けたがすぐさま逸らす。こころもと、自分でも遠い目をしてるのが分かる。


 あぁー父さん母さん。どうやらチート能力はもう一個あったようです。現在進行形で流れていたはずの血が止まっており、さらに皮膚が修復されつつあります。つまり治癒能力が数倍上がっています。えぇあがってるだけだと自分に言い聞かせますとも!! これ以上ややこしい能力なんて...まぁ、その、なんだが、役に立つものは措いといて、言いたい事はあれだ。これ以上チート能力は要らない。うん、これだ。


 悶々と考え事をしながら決着の付かない二人を無視して、ついでに現在男性化した一座も同じように無視。


「あ、こら! お前どこ行く気だ?!」


「どこってもちろんグエンさんのとこだよ。さっき邪魔されたから今度こそハグ&近況を語り合いに...って、なにこれ?! なんなのこの手は?! あんたなにしてんの?!」


 3人を通り過ぎようとしたところで突然掻っ攫われた。ええ、もうまるで幼子のように意図も容易くあたしの意思を無視して通りすがりに掻っ攫わる。


 あんたは誘拐犯か!? そうアドバンに突っ込みを入れたくなるのが心情と言うものだ。しかもお姫さま抱っこではなく俵を担ぐように肩にあたしのお腹を載せる。その状態から脱出するべくもがくがアバドンの力強い腕でも持って押さえつけられているため無理だった。挙句の果てにアバドンの手が...


「お、お前どこ触ってるんだ?!」


「尻」


 うろたえるルーファスに簡潔に答えるはもちろんアバドン。しかもさわさわと人のお尻を撫でながらだ。あんたいったい何がしたいのよ。なんて冷静に心の中で突っ込みを入れるが、いやまてよ? ここは女の子らしく『いやーん、エッチ』なんて言った方がいいのか? 


「ふむ、安産型だな。」


 思考を無視して聞こえる声+お尻を鷲掴みにする男=芽生える感情は紛れもなく殺意。の式が瞬く間に頭の中に成立する。蹴っていい? 蹴っていいよね?! こう抉るように蹴ってもいいよね!! って蹴れないし!!!! じゃあどうする?! 殴る?! こう頭殴ってて...あぁ――ッ?! 殴るにも手が届かないッ!? 


 ジタバタとアバドンの上でのたうつあたしの耳にハッキリ言って、とても耳障りな笑い声がッ―――!!! 


 そう、堪えきれずに体を震わせながら笑ってるのは誘拐犯アバドンで、そのアバドンに更に殺意が沸くのは否めない! と、激しく思うあたしの心情を誰か酌んでくれ―――ッ!!





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