Prologue
またやっちゃたよ。見切り発車・・・・。
それはある晴れた日の午後...と言っても夕飯近くだが。目が眩むほどの烈しい閃光がヘタレと呼び名高い兄貴の足元から飛散した。かと思うと今度はオドロオドロと効果音がしそうな程の人間...人間? が数人その足元から飛び出して来た。
そいつらの姿は...メンドクサイから簡単に省くとして、取り合えず一際大きな体躯の男。所謂ゴリマッチョ的な男とそれとは対照的で細身の上、大変見目麗しい顔の男。男? たぶん、いやきっと、ほぼ間違いなく。うん。だって絶壁だもん。
そんな彼らは兄貴の身体に絡み付く。特に下半身に。なんか腐ったお方が非常に喜びそうな構図になってるが...そしてなにやら鬼気として色々と捲くし立てていた。まぁなんて言うか『異世界の世に転生されし我らを統べる魔の王よ!!』とか『いざ、我らが世界にお戻りを』とか。
ヘタレなりどどこかの世界の魔の王だった兄貴こと東雲北斗を我、関せず、と見ているだけの東雲華南。てかこんな状態見てるあたしが妙に納得してんのに、なんて諦めの悪い兄貴だこと...なんて思っていたら彼らはテンぱる兄貴の事などお構いなしに出て来た時同様、突如として足元に吸い込まれ始めた。もちろん兄貴も道連れに。さながら某映画のサ○コ状態だ。ズルズルと効果音が付いてもおかしくない位。
「...えーと兄貴? 恐らくもう会う事も無いだろうから兄貴のコンポとバイクと預貯金とそれからまぁその他もろもろはあたしが貰っとくよ。だから兄貴は心置きなくその我らの世界とやらに逝って来い」
「待て待て待てッ!!! ドサクサに紛れて何言ってんだ?! しかも行って来いの字が逝って来いになってるしッ。なにか? 俺に死ねってか?!」
「流石兄貴、良く分かってんじゃん。だからその迎えに来た人? とさっさと逝け」
そう言いながら兄貴が必死に掴んでいるなんか良く分かんないモノを蹴飛ばした。が、
「うわっ?! ちょっ...ちょっとなに掴んでんのよッ! 放せってばッ!!」
「放す...もんかッ!! こうなったらお前も道連れにしてやるッ!!」
そう叫びながら兄貴はあたしが蹴り上げた足を掴み自分の方ヘと引っ張り込む。そしてそんな行為に慌てて身体立て直そうとしたが間に合わず、重心が崩れて尻餅を付いてしまったあたしはそのままズルズルと某映画のように兄貴同様、その中に引きずり込まれる。
あぁ...兄貴のツケで頼んだ晩飯の特上寿司5人前が――......
すいません。なんか浮かんじゃって書いちゃいました・・・。