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封呪戦記 生贄の儀式を目撃し、追われる少女  作者: ムクナ
第一章 生贄の儀式を目撃し、追われる少女
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第ニ十四話 獅子丸(参)

鬼に追われ、命からがら逃げ続ける綾乃。

飢えと疲労に蝕まれ、ついに山中で力尽きて倒れてしまう。


意識が遠のく中、彼女を抱き上げたのは、鋭い眼光と優しさを併せ持つ一人の青年――獅子丸だった。

彼との出会いが、綾乃の運命を大きく変えていくことになる。

挿絵(By みてみん)


獅子丸は、驚いたように目を丸くしたあと、すぐに口角を上げて笑った。

「へえ!女ながら剣を振るう気概があるのか!」


綾乃は目を逸らさず、真剣な眼差しで彼を見つめ返す。


獅子丸「よかろう!ただし、俺は剣はいらぬ」

そう言って獅子丸は地に突き立てていた木刀を綾乃に渡した。


綾乃「女だと思って軽く見ているのか?」


獅子丸「まあ良いからかかってこい!」


甚平と共に重ねてきた修行の日々、そして命懸けで切り抜けた数々の死地。

そのすべてを自らの腕に込めるようにして、何度も渾身の一撃を放った。


――ヒュッ!シュバッ!!!ヒュッ!シュッ!!!


獅子丸「へぇ!なるほど!よっ! よ! よっと!」


しかし、その剣筋は、まるで見透かされていたかのように軽やかにかわされる。

獅子丸は身をひねり、足先で大地を滑らせ、流れるように背後へ抜ける。

綾乃の一撃は、掠りすらしない。


綾乃(……っ! なぜだ! あれほどの速さ、重さを持たせたというのに!)


刃が空を切るたび、焦燥と悔しさが胸を締めつけた。

それでも、諦めの影は一切差さなかった。むしろ心の奥底では、未知の世界を垣間見る高揚感が芽吹いていた。


獅子丸は、笑顔を崩さぬまま大きな声で叫ぶ。

獅子丸「幸!なぜ俺がお前の剣を躱せているかわかるか! 俺はただ、相手の“気”に逆らわず、流れに寄り添うように避けているんだ!」


言葉と共に、再び綾乃の剣先を「よっ! よ! ほらよっと!」と軽快に躱してゆく。

その動きは剣術というより、舞のようであった。


綾乃の頬に、一筋の汗が流れ落ちる。

握る刀の柄がじっとりと濡れるほどの緊張と興奮。

息が荒く、胸は高鳴り、視線はただ獅子丸の動きに釘付けになっていた。


綾乃(……かすりもしない。なのに……この胸の奥は、なぜだか震えるほど熱い!)


悔しさと、憧れにも似た昂ぶり。

両方が入り混じった感情が、彼女をさらに前へと駆り立てていった。


朝日に照らされた横顔をキラリと光らせながら、声を張り上げた。


獅子丸「ならば、この俺に一太刀入れるためにはどうすれば良いか!」


その勢いに圧され、綾乃は思わず背筋を伸ばした。

綾乃「……どうすれば?」


獅子丸は満面の笑みを浮かべ、人差し指をピンと立てる。

獅子丸「相手の不意をつく事だ! 気の流れに沿うばかりでは、決して突破できない! 時には、気の流れに逆らった大刀を繰り出す! それこそが決め手となる!」


綾乃は驚きに目を見開き、思わず息を呑んだ。

すでにその手は止まり、刀を下ろして、ただ獅子丸の言葉に聞き入っていた。


獅子丸は胸を張り、朗々と告げる。

獅子丸「それが必殺技だ!」


綾乃「……必殺技!」

その響きは、子供の頃に夢見た「英雄譚」のように耳に残った。


綾乃は、抑えきれぬ好奇心を込めて問い返す。

綾乃「獅子丸殿にも……必殺技はあるのか!?」


すると獅子丸は待ってましたと言わんばかりに、にやりと笑い、胸をドンと叩いた。

獅子丸「めちゃくちゃにある! オレほどの剣士になると、必殺技など山ほど持っておるわ!」


その言葉に、綾乃の目は思わず輝いた。

綾乃「そ、そんなに……!?」


獅子丸は、腕を組んで大仰に頷き、誇らしげに声を張る。

獅子丸「どうじゃ?羨ましいであろう!」


剣士としての強さと、子供のような無邪気さを併せ持ち、綾乃の胸に奇妙な温かさを灯した。


獅子丸の豪快な笑い声がまだ小屋の周りに響いていたその時――

突如、大地を揺るがすような「ドゴォォン!」という轟音が山間に響き渡った。


獅子丸と綾乃が同時に振り返ると、山道を塞ぐように聳える大木が、無残にへし折られ、土煙を巻き上げながら薙ぎ倒されていく。

折れ口は斧で切ったのではない。まるで怪力で叩き折ったかのような荒々しさがあった。


土煙の中から、巨大な影がのそのそと現れる。

岩のような皮膚に、片方の折れた角!その眼は真っ赤に充血し、憤怒の炎を宿していた。


獅子丸「……なんだ?あれは……!」


綾乃は血の気が引き、思わず後ずさる。

(あの夜、甚平や奉行所の侍を蹂躙した……鬼の一人!つ、ついに追いつかれた....!)


大鬼は豪快に腹を揺らして笑い声を轟かせた。

厳顔「ガッハッハ!!! やっぱりこっちだったかぁ!!!」

厳顔「兄者の奴め、間違った方向をしめしおって……ちぃと迷ったが、手分けして探して正解だったわい!!!」


土を踏み鳴らすたびに、地面が微かに揺れ、足元の小石が跳ねる。

その姿はまるで動く山のようで、ただ立っているだけで周囲の木々がきしむほどの威圧感を放っていた。


厳顔は、ぎろりと綾乃を睨み据え、口端をつり上げる。

厳顔「女ァ!!! 我が弟を殺された落とし前――此処でつけさせてもらうぞ!!!!!」


咆哮と共に吐き出された息は熱風のようで、草木の葉がざわめいた。



綾乃「もうダメだ……私に勝ち目はない……」

(両手から力が抜け、刀はカランと地に落ちた。視界が揺らぎ、全身は恐怖で硬直していた)


巨大な鬼の影が迫り、鋭い爪がまさに振り下ろされようとしたその瞬間——


獅子丸「待て待て待てい!!!」


鬼「……なにものだ?」

(その目がぎょろりと光り、唸る)


「今後はどうなるの」

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