花の色
それぞれの花は、それぞれに色めき、香り立つ。
人もまた、それぞれ。
咲き誇る、それぞれの個性を愛そう。
優しく、ていねいに。
生きることは、愛することだから。
春先は、早く起きてゆっくりと支度をする朝が多い。東に向いた窓から見える山の稜線が次第に明るくなってゆく。紫に染まる雲が美しい。
今朝は、会社主催の就職イベントのリモートでの打ち合わせである。春らしいブルーのニットに白いジーンズ。モニター越しを意識して、明るめのハイライトを頬と鼻筋に入れた。
特に好きなスタイルやブランドがあるわけでもなく、好きなカラーがあるわけでもない。これまでの服の着まわし考えるというわけでもない。いつも自分の気分でファッションを選ぶ。それが、私らしいと思う。だから、昨日や昨年と違う装いになる。
−−−この春は、今までとは、ぜんぜん違う装いなのね。
朝一番に編集長が声をかけた。
−−−今日は、なんだかメイクも華やかね。春らしいし、あなたらしいわ。
別のスタッフがモニター越しに言った。
流行やブランドに興味が薄い私でも、この二人にファッションやメイクをほめられると、気分がいい。今の会社に入る決め手tなった二人である。私がこの仕事をしている理由なのだ。
就職活動の悩みを晴らしてくれた人たちでもある。就職活動先のどの会社もなぜか居心地が悪かった。甘えていると言う人もいるかもしれないが、自分らしさを押さえつけてまで、有名な企業に入る必要があるのか分からなかった。どの企業の人事採用担当にも違和感を覚えた。世の中の価値観に合わないのだと思い、そんな自分を愛せないでいた。そんな私に、多様で良いのだと言ってくれた人たちだった。
−−−その違和感が、あなたの個性だと思うのよ。
−−−好きも嫌いも大事にしたほうが良いのにね。
多くの人が社会に出る春が、今年もまたやってくる。どんな人も、せめて色とりどりに自分らしく咲き誇ってほしい。春は、これから。私も、これから。花は、それぞれに色めき、香り立つ。
ハーブティ「花の色」
---ハイビスカスの酸味が効いたローズやラベンダーなどの花の甘い香り
ハーブティは、フローラルで香り高い様々なお花がたっぷり入ったブレンド。レッドローズ、ピンクローズ、ハイビスカス、オレンジフラワー、ラベンダー、マローブルー…。青色のハーブをポイントに、それぞれの花の色のなか、赤いハイビスカスの酸味が広がる。甘い豊かな香りのなか、艶やかで、甘酸っぱい世界が広がっていく。