『安物の速記シャープと文房具屋』
安物の速記シャープが、速記者に出会わないようにしていました。速記者に出会ってしまうと、間違いなく捕まって、速記を書かされ続けることになるからです。もっと自由でいたい。安物の速記シャープは、そう思っていました。
そんなふうに思っていたからでしょうか、速記者に出くわしてしまいました。出くわしたといっても、距離が離れていましたし、速記者からは気づかれていないようでしたので、たまたま近くにあったほら穴に隠れました。
ほら穴の中では、文房具屋が休んでいました。文房具屋は、飛んで火に入る夏の虫的にあらわれた安物の速記シャープを喜んで捕まえ、店に連れて帰りました。
教訓:そもそも速記を書かされ続けるのが嫌な速記シャープというのがあり得ない。