001 殲滅
魄には様々な妖術を施した――氷太朗の魂を探知するプログラム。探知した魂の所に向かわせるプログラム。顕明連を探し出させるプログラム。目に映った敵を排除するプログラム。六神通を強化するプログラム。その他色々――単純なものからとても高度な物まで、計七二個のプログラムを施した。
プログラムの実行状況は、念力系妖術による通信のお陰で把握できる仕様になっている。
二時間前までは、全てのプログラムが問題なく動作していた。
だが、今は違う――七二個全てのプログラムが『停止』状態になっている。
氷華はすぐに原因を悟った。
そして泣いた。
布団に包まり、声を上げて泣いた。最近は碌に水分を摂っていなかったにも関わらず、涙は無限に溢れ出てくる。鼻水も同様だ。布団のカバーはどんどん水分を帯びていく。
しかし、とある思いが過った瞬間、涙がピタリと止まった。
そうだ――所詮、肉体なぞ『物質』だ。肉の塊だ。妖術を使えば、代わりなぞ幾らでも作り出せる。
それよりも、魂が重要だ。
氷太朗の魂が失われたら、今度こそ本当に弟を失う事になる。
最悪の結果を迎える前に――最愛の弟の魂を保護しなければならない。
「待っていてね、氷太朗」
氷華はベッドから出ると、眼に残っていた涙を拭った。
「今助けに行くから」




