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ブン殴れ!! おじさん白魔道士  作者: 自堕落なヤモリ
チュートリアル 前編
5/29

第4話 ボッタクリ商店

 

 結果だけみれば、ショウトの勝ちだった。


 先程のタイガと同じように、接触から相手の側面に回り込み、片腕を極めながら地面に引き倒し制圧する。もしくは背中まで片腕を回し関節を極め、動きを制圧する技法。

 ラメラテアは意図せず、タイガを制圧した逆方向、ショウトの右脇に身体を滑り込ませる。その動きにショウトは無意識に反応する。


 まさしく身体が勝手に動いたのだ。


 掴まれた右前腕の、ラメラテアの右手首を左手で掴み返す。直ぐに身体を入れ換えるように、ラメラテアの右側面にショウトが陣取る。さらにその右手首を相手の肩まで上げ、そのまま真下の相手の足元に落とす。

 後方に倒すのではなく、手首と肘と肩を極めたまま、相手の足元に崩す。変形腕絡み、古武術の動きに近い。


「夜の相手はともかく、10万cは払えよ」


 ショウトは左拳をラメラテアの眼前で寸止めさせながら、決着を口にする。残った右手で右腕を極め、右膝で相手の腹を抑え動きを止め、トドメを刺す。


 制圧完了、であった。


「クソッ!! 大損こいたっ!!」


 ラメラテアは顔を真っ赤にし口汚く罵ると、ステータスパネルを開き指でスライドさせる。


 *ショウト

  体力 5

  魔力 3

  スキル 0

 ーーーーーーー

 *《体術・総》

 ーーーーーーー

 *召喚人の服

 ーーーーーーー

 *200,000c


 ショウトのステータスパネルが開き、cが課金される。ふと、ショウトは目を細める。ラメラテアのステータスパネルは赤い。召喚人のステータスパネルは青なのだが、彼女のは赤い。疑問が残る。


「そ、それでは各自、この部屋を出て通路を進み、自分で決めた職業を学んでくれ。通路の途中に武器屋もある。で、では、解散」


 ざわつく召喚人50名に対し、先程の講師が慌てて事態を収拾する為、口を開いた。急かされるように1人、また1人と通路に出ていく。気付けばラメラテアの姿もない。それもそうだろう。部屋に戻り、生徒を待たなくてはいけない。


 恐らく誰も来ないであろう、がー


 ショウトは最後尾を狙ったワケではないが、一番最後に部屋を出た。流れにのまれるのは危険だ。集団心理というものに人間は陥りやすい。

 かと言って、一匹狼を気取るほどマヌケでもない。ただ、後方から観る事が召喚人の全体図を把握する事ができよう。

 予想通り、否、想定通り、バラバラと召喚人は各々の単独行動を行う。優先順位の高い職業から選ぶようだ。


 通路の最初の開けた場所に、武器屋があった。通る召喚人が歩を止め、商品をザッと視認し、また歩き出す。情報量が少ないのか優先順位なのか、冷やかしにもならない反応であった。


 ・短剣『1万c』

 ・小剣『1万c』

 ・長剣『2万c』

 ・刀『4万c』

 ・杖『1万c』

 ・棍『1万c』

 ・盾『1万c』


 わかりやすく陳列された武器に、ショウトは胸を踊らす。ただ、意味もない。職業も決めていないのに、武器を選ぶのは無意味なのだ。


「いらっしゃい。イイ商品、揃えてるよ」


 笑顔の店主が声を掛けてくる。少々長居しすぎたようだ。


「……此処だけの話し、掘り出し物があるよ。見てみない?」


 店主は辺りをキョロキョロ見ながら、わざとらしく小声で相談してくる。


「魔法の籠手って言ってね、魔力+1の効果があるんだ。今なら10万cで売るケド、どうだい? 今だけだよ? 後じゃあ売らないよ?」


 どこかの販売トークのように、購買意欲を掻き立てる、魔性の言葉であった。


 ショウトの眼前に豪華な箱に納められた、つがいの籠手が現れる。


「10万cって高くないか? それに、本当に魔力+1なのか?」


 本来なら、召喚人にとって10万cは全財産である。ショウトにとっては財産の半分なので大した痛手ではないのだが、偽物・まがい物では困る。


「お客さん、冗談言っちゃいけないよ。この魔法の籠手、従来なら5,60万cはする品物ですよ。それにゴブリンと戦って貰う召喚人のあなた方に、ガラクタを売る訳ないでしょう? 品質は保証します」


 全く信用できないが、説得力はある。王国の、この通路で粗悪品を売るメリットはない。そんな事をすれば、商売に支障をきたすであろう。


「……嘘だったら、ブン殴るからな?」


 ショウトは青いステータスパネルから10万c抜き出すと、店主へと送りながら脅しの言葉を掛ける。


「ご安心を、いつでも返品は受け付けますので」


 店主は赤いステータスパネルを展開し10万cを受け取ると、満面の笑顔で答えながら魔法の籠手をショウトに渡す。


 そう、満面の笑みを浮かべてー




・チートとインチキと裏ワザ


「良い事を教えよう。貴方にカリスマ性があり、人を誘導する事ができるなら、仲間を集め、皆からcを巻き上げよう。

職業についてない状態なら、通路の武器屋であの魔法の籠手が、

な、な、なんと、10万cで手に入るゼッ!!

破格の値段だ。

……カリスマ性というか、詐欺師みたいなモンだが、人の上に立つっていうのは、そういうモンだ。

余談だが、イベントを上手く進めると10万cを手に入れるチャンスがあるらしいが、それも運次第ってヤツだな」



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