第2話 取扱い説明書
「これより座学を始めます」
検査員と入れ替わり、新たな人物、男性が口を開く。講師、まさに初期説明であろう。
・小鬼『ゴブリン』
人類の天敵である。
個体としては弱者である為、群れをなす。また、群れを率いる存在『リーダー』がいる。『リーダー』は率いる群れの数により強くなる。
小鬼にはネームがつく。兵士・戦士・騎士・闘士・将軍・王とランクがある。人間の討伐数でランクも上がる。
ゴブリンは夜間に行動する。パターン化された動きでテリトリーを拡張させる。
ゴブリンの角の有無が生死の証明。ゴブリンの角は、魂が魔力を固定し肉体を実体化させる為の媒介である。その為、ゴブリンが絶命、魂を失えば肉体を維持できなくなり、魔力の根源である角しか残らない。
・職業『ジョブ』
ゴブリンを倒す為の力。戦う為には無力である召喚人の為、容易に与えられる力。
・戦士
前衛、接近戦のプロフェッショナル。剣・槍・盾が装備できる。鎧や兜で身を固めれば、ゴブリンごときの攻撃など通用しない。1対1なら勝利も確実だ。
覚えられるスキルも多い。スキルを駆使すればゴブリンを圧倒できるのは間違いない。
1対1では強いが、多数との戦いには不利だ。コチラもパーティーを組み、集団戦に挑もう。
・斥候
戦士から派生した職業。隠密・索敵行動に長ける。前情報を有利に活用できる。マヌケなゴブリンの裏をかければ、無傷で圧勝だ。
特殊なスキルが多いが、使いきればいくらでもゴブリンに不意討ちできる。
武具が軽装になる。速さが売りの斥候、装備は軽量の物が良い。真正面でやり合うには不利だ。仲間と協力しよう。
・黒魔道士
後方からの遠距離攻撃のエキスパート。攻撃魔法で全体攻撃、集団戦闘の切り札。
スキルを習得すれば、誰でも魔法を使える。困難な修行もない。
近接戦闘が苦手。魔法を唱える為には魔法の杖が必要。物理攻撃に使うには脆弱だ。魔力を集中させる職業なので、過多な金属製装備は魔法を妨害する。戦士や斥候に頼ろう。
・白魔道士
回復魔法の専門家。長期戦・集団戦・乱戦ではダメージ必至。そんな時に回復魔法があれば、いつでも安心、安定して戦える。
黒魔道士と同じく、スキルの習得も容易だ。
女神の奇跡による魔法の為、殺傷行為は癒しに反する。要するに刃物類の装備で魔法が使えなくなる。黒魔道士と同じく過多な金属製装備も魔法を阻害する。しかし、棒や棍は装備できるので、自衛は完璧だ。仲間を回復しながら戦える連戦連勝の永久機関だ。
・ギルド
召喚人を管理する組織。ゴブリンの角を買い取ってくれる。角のランクによっては高値もつく。装備や生活費に回せる。
「ざっと簡単な説明だが、これは基礎知識だ」
滞りなく語り尽くした講師は、そうまとめた。基礎知識。ショウトは知っている。なんの違和感もない。改めて受け入れる。
「今日より7日間、君達50名には訓練をおこなって貰う。と、言っても6日目はゴブリンとの実戦、7日目は予備日だ。実質5日間しかない。これより各職業に入門し、励んでくれ。職業・装備を整える為、各自に10万cを授ける。上手く使いたまえ」
c『カット』
コレも知っている。この王国の通貨の総称だ。
*ショウト
体力 5
魔力 3
スキル 0
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*《体術・総》
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*召喚人の服
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*100,000c
ステータスにcが追加される。数字の移動にも疑問はない。ナゼか常識として処理されていく。未経験なのに知っている。