第2話 優斗VS真奈美
「優斗ー早く起きなさーい! 早くしないと学校に遅刻するわよー!」
優斗に声を掛けるが返事がない。
「まったく、あの子ったら……」
ピーンポーン!
優斗家の玄関の呼び鈴がなる。
「はーい! 今、行きまーす!」
優斗家の主婦である結愛は玄関の扉を開ける。
「おはようございます! 優斗のお母さん!」
「あらあら、おはよう!」
呼び鈴を鳴らした人物に対して、結愛は口に手を当てながら微笑んで言う。
「いらっしゃい、真奈美ちゃん。どうぞ中に入って!」
真奈美は結愛に促されるまま中へ入る。
「おじゃましま~す!」
「はい、いらっしゃい! 来てもらって早々で悪いんだけどね。あの子を起こして貰えないかしら? うちの子ったら寝坊助だから」
「はい! お母さんの頼みとあれば」
真奈美は二階への階段を登り優斗の部屋の前まで来る。
(さぁ〜て、アイツをどうやって起こしてやろうか……)
「あっ、そうだ。クフフッ」
ここで真奈美はいい事を思い付くのだった。
──3分後
「フゥー、出来た!」
一仕事した感じを漂わせている彼女。
一体何をしていたかと言うと、優斗が寝ているベッドの足元に大量の板ネズミ捕りを仕掛けていたのだ。
「そして極め付きはこれ!」
真奈美が取り出したのは吹き矢。
「ふっふ〜ん! 覚悟しなさ〜い♪」
真奈美は横たわって寝ている優斗のお尻目掛けて吹き矢を吹く。
ドゥグシッ!
「うん? ギィヤアアアア!!」
見事優斗のケツに命中。優斗は飛び起き、ベッドの足元に落下!! 待っているのは、板ネズミ捕りだ!
バチン、バチン!
「嗚呼ァァァァァァ!!」
「ほら、優斗。早く支度しなさい」
「こんな状況で出来るか! つか、こんなもん仕掛けるなら普通に起こせや!」
身体中が板ネズミ捕りまみれになっている優斗は言う。
「いや、それだと面白くないし」
「起こすのに面白さを求めるな! アホか、お前は!」
「誰が……アホですって? 良いのかな〜そんなこと言っちゃって。助けて欲しいんじゃないの〜?」
「ぐぬぬ、ハァ。分かったよ。助けてくれ」
屈辱的だが、従わざるを得ない優斗は渋々と答える。
「よろしい! じゃあ今から取ってあげるね」
「おい、待て真奈美! 足元にはまだ──」
この時、彼女。真奈美は忘れていたのだ。
板ネズミ捕りまみれになった優斗に気を取られて、
足元にはまだ大量の板ネズミ捕りがあることに気付かなかった。
バチンッ!
「うん?」
真奈美は音がした自分の足元を見る。
すると、真奈美の足には板ネズミ捕りが付いていた。
真奈美は体をぶるぶると震わせる。
「いったあぁぁぁぁああ!!」
優斗の家中に真奈美の悲痛の叫び声が響き渡る。
「だから、言っただろうに」
その後、真奈美は足に包帯、優斗は全身に包帯をして登校するのだった。