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早朝の月  作者: 野松彦秋
第1章 祖父との交流
7/18

形見の時計

私が朝食を作り始めて、2週間がたち朝の労働から解放された母は、

朝から非常に機嫌が良い。


母から、何もしない事でボケてしまうかもしれないと

言われると、ちょっと嬉しい気持ちになってしまう自分がいる。

ただ、日増しにカノジョの要望が高くなってきている

感じがしている。


例えば、食事中自分の手でも伸ばせば届く距離にある

ティッシュの箱を私に取らせるカノジョに、冷静に

カノジョより遠い位置にいる私が取るのはおかしいと

突っ込むと悪びれも無く「私、手が短いのよと!。」と

ニコニコしながら答える。

答えになっていないと、思うが、母は、私が何を言おうと

お構いなしなので、水戸黄門の印籠を見せられた様にその話題は終わる。


3月になり、日増しに陽気がよくなっている事もあってか

我が家の朝の食卓は雰囲気が明るい。

来年には、後期高齢者になる母なので、あまり仕事を

取るのもいけないなと反省している今日この頃でもある。


食事の後、母が私に今日一日のスケジュールを聞いてきた。

日曜日だったので、久しぶりに映画でも見てくるかもと伝えると

「良ければ、次いでにこれが売れるかどうか確認してくれない?」

とちょっとお洒落なビィズ素材の袋に入った腕時計を取り出し見せてきた。


時計は、シチズンのEXCEED、セイコーのALBA、

BULGARI、RADO EBELの5個があり、

とても古いものだとは思ったが、時計に詳しくない私でも

メーカー等から、高い時計ではないかと推測ができた。


時計は、私の祖父母から母に渡された形見との事。

母も、時計に対してまったく造詣がなく、価値がわからないとの事。

ただ、写真の件から始めた母の断捨離活動は、続いており

この時計たちの処理をどうするかという事を段階になったらしい。


私の祖父は、時計好きだったらしく、30年前に亡くなった頃は

他にも時計が有り、良さそうな時計は親戚のおじさん達に

配ったとの事だった。その為、母曰く、そんなに良い時計は

無い筈だけど、一応確認してきてとの事だった。


孝行できるうちが華と思ったので、私は快く仕事を引き受けた。

昔、テレビでやっていた鑑定する番組を実体験できる事、

もしかして思いもがけない金額になったらどうしよう等と

想像を膨らませて私は外に出た。


祖父母達の時計に対する思い入れ等はまったく考えず…。













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