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早朝の月  作者: 野松彦秋
第1章 祖父との交流
2/18

四角い顔の青年

母から写真を受け取ってから数日が過ぎた。


その日は、昔の友人とお酒を飲んだ。

15年前に辞めた会社で共に働いていた元同僚だった友達。


私より5歳年上の彼は、今も当時の会社に勤めており、一人娘をこよなく愛す、家庭思いの良きお父さんでもある。

私たちは、陸橋下にある焼き鳥の屋台で飲んだ。

お酒を共に飲みながら、色々話をした。

彼が語る中間管理職のつらさを吐露する言葉に耳を傾けながら、今年50歳になる彼と、45歳になってしまった私が年を取ったものだと、若い時の頃を思い出していた。


ふいに、彼の会社の定年の年齢の話題になり、60歳で一応定年を迎えるという事を知り、もう見える処迄来ているのだと驚いた。


延長の希望を出せば、65歳迄働けるとの事だが、友人は、「俺は絶対60歳で辞める、誰が延長等するか。」と静かな口調で言った。


その時の彼の冷静な口調が、自分を削って日々懸命に生きている彼の現状を物語っている気がして、苦労しているんだなと感じた。


私は、彼といると同い年ぐらいの感覚で話してしまう。


それは、私がという事ではなく、彼の頭の中で年齢という概念がない事が大きな要因であると気づいたのは最近の事である。


人柄が優しく、聞き上手であり、常に客観的に物事を捉えられる彼だったら、部下の人は幸せだなと思いながら酒を飲んだ。


そんな彼と15年も、友人としていられた事に感謝しながら、昔話、お互いの近況を話し合い、楽しい時間を過ごした。


18時に始まった飲み会も、3時間が過ぎ21時頃お開きとした。


何時も晩酌をする私は、ほろ酔い気分だったが、普段晩酌をしない友人は、少し眠そうで足元が心配な感じだったが、又飲む事を約束し友人とは別れ家路を辿る事にした。


改札口を越え、プラットホームに向かうと週末だというのに人はそんなに多くは無かった。 


週末の21時は、こんなものかと思って

電車を待っていると一人の青年が私に話かけてきた。


「すみません、もしかして今お金を落としませんでしたか? 」


1,000円札を持って、話しかけてくれた青年は、175㎝ぐらいの身長でちょっとおかしいと思うぐらい、古いタイプというか年齢にあわない背広を着ていた。スラッとしているが、ちょっと顔が赤いような青年の四角い顔を、一瞬、自分の記憶の源泉に引っかかるものを感じた。


聞かれた事を直ぐに確認しなければならないと思い、上着のポケットに手を入れ確認し、小銭以外にお札は無かったので、私のものでは無いと返答した。


普段は、決して社交的では無い自分だったが、その時は酔っており何時もより気持ちが開放的であった為か、私は彼に話しかけた。


「御親切に有難うございます。ところで、どっかでお会いした事ありませんか?。お顔に見覚えがある気がするのですが…」


見ず知らずの人から、突然こんなことを言われたら、大抵は気持ちが悪いと思うだろうなあと思って彼の表情を伺っているいると、彼は暫く考えた様子をし、そのあと丁寧な口調で、無い事を告げその場を去った。


それから、私は電車に乗り母の待つ家に帰った。 


酒も入っていた為か、家に着くと母と簡単な会話だけをして、疲れているので直ぐに寝ると伝え自分の部屋に直行して直ぐにベットに入った。

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