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早朝の月  作者: 野松彦秋
第1章 祖父との交流
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母からの依頼

45歳の自分を、少年の時の自分がみたらどう見えるのだろうか?


こんな事を考える自分は、人生の絶頂期を過ぎてしまったんだなと皮肉な自分が囁く。


否定したいが、否定するのも恥ずかしい齢になったなと実感する。


母が断捨離と言いながら、自分の写真を整理し始めた日、私の子供の時の写真だと20枚以上の写真を渡してくれた。


小学校2年生の時のクラスの集合写真、小学校5年生の時のクラスでの集合写真、所属していた少年野球部の集合写真、小学校高学年になった時の遠足の写真、初めて学生服を着た日に双子の弟と撮ってもらった写真。


中学の時の部活動の最後の試合、終了後の記念写真、故郷の雪景色の中で、弟と幼馴染と一緒に撮った成人式当日の写真。


母は、いらなければ捨てなさいと言うが、簡単に捨てれれば母も、私には渡さずに処分するだろうにと、母の発言に、

母の皮肉と共に人としての温かみみたいなものを感じた。


当然ながら、写真の中の自分は幼い、又本人には悪いが決して利発な顔もしておらず、双子の弟の方が、本当に双子かと思う程、利口そうでよい顔をしていると思った。


俺、子供の時、こんな格好の悪い子供だったなと思い出す。


思えば、小中高とモテた経験が無かったなと、厳しい現実を思い出す…。


写真を見ながら、写真の中の昔の自分に話しかけている(と話したい?)自分がいる。


アキヒコ君、君は45歳にどういう男になっていたい?今の私を見たらどういう

気持ちになるだろうねと…。


今の自分の気持ちは、中年を迎えた人たちなら理解してくれるのだろうか?

昔、ブルースウィルス主演の映画で今の自分を投影するような「キッド」という

映画があった。


主人公はアラフォーで、少年時代の自分と出会い、少年時代の自分(8歳)と

交流する事で自分の人生を振り返り、自分が子供の時に持っていた夢を思い出し、最後はハッピーエンドになる映画と記憶している。


写真を見ていると、写真の中の自分には夢さえも無いのではないかと心配になる表情であり、過去の自分なのだが、将来の彼が心配になる程、目が虚ろである…。


映画は、映画、昔の自分が実体化して自分に話しかけてくるファンタジーストーリだったが、そんな事は、変な薬に手を出さない限り体験できるわけが無いと、母からもらった写真を見つけた適当な

大きさの箱にしまった。


まさか、その日を境に夢か現がわからない場所にカレらが現れ不思議な交流をするとは、その時は夢にも思わなかった。

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