第一話
虚無、喪失感、無気力、寂しい、つらい。
そのどれもが、あてはまる気がする。仕事を辞めて、ぼんやりとして、1週間が過ぎた頃。
キーボードをカタカタと打ちながら、相も変わらずぼんやりとする。
高校を卒業して、それなりの大手に入社して10年。
異例の秘書課への配属は、社内で大きく注目を受けた。
真面目な性格で、仕事には全力で取り組んでいた。
社長の機嫌取りも、接待という名のいやらしい会合も。
理不尽な仕事に耐え抜いたのだ。
その間、恋人なんて作る余裕はなかった。
否、作れるはずがなかったのだ。365日、24時間、自分の時間なんて1秒もなかった。
キーボードをかたかたと打ちながら、三次元なんてくそくらえとつぶやきながら、わたしはひとつの希望を見つけた──。
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輪郭はしゅっとして、鼻は高く、ヘーゼルの瞳、銀に輝くさらさらと長い髪、程よく男らしい体。身長を高くして……
「よし!これで完璧なイケメンだわ……」
ID:Alfredルフレート
よし、名前も完璧だし、どう見てもイケメン。あーあ、3次元にこんな人がいたら、わたしだって恋愛できたのに。なんで、3次元で関わるのはいつもおっさんなんだろ。つーか、おっさんに性欲あることがきもいっつーの!バーカバーカ!
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