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第二十九話 四天王たちの今 ※???視点



「マントンよ」


「んふぅ? どうしたのローグぅ? ついに僕の○○○を受け入れる準備が……」


「断じて違う。勇者と接触したそうだな」


「運送だけにうんそーよ。……ところで、エスペランザちゃんは? まさか一人で寂しく自分をなぐ」


「彼女の名誉のために、言わせるわけにはいかん。彼女は今、作戦途中故にこちらには来れんだけだ。さて……」



 時刻は少し戻り、勇者一行と戦いを終えたマントンが帰宅した時。場所は不明だが恐らく人の住むところではないだろう。

 そこへ戻ってきたマントンへと、大岩を背負う亀ようなローグが問いかける。

 マントンはいつもの事のように軽薄な、ローグはいつもの事のように落ち着いて言葉を交わしているようだ。

 


「手合わせもしたと聞く。奴の力量はどうであったか?」


「う~ん、まあまあ? 見どころは有るって感じ? ちょっと腰を使った(本気出した)らへばっちゃうような感じではないっぽい」


「……他の、勇者の仲間、はどうであったか?」


「あ~、あっちはダメ。てんでダメ。すぐ昇天してダブルピース決めちゃうような相手だもん。勝負にならないや。でも……」



 そう言ってマントンは言葉を溜める。そしてさも面白そうに顔を歪めた。

 そのマントンの目には、妖しい光が宿っている事がローグには見てとれた。



「多分、僕の知りたい事を知っているかもしれない人だと思う。会ってすぐ分かったよ。やっぱそういうフェロモンがムンムン出てたし。ムンムン出てたし。ここ大事なとこね」


「……それは、湖の竜ではない方だな?」


「当ったりぃ! よく分かったね! ご褒美に、ローグのローグ(意味深)を僕がこの世の天国に導いてあげ」


「勘弁願う。……であるのならば、この度の作戦は上手くいきそうか?」



 ローグはマントンにそう問いかけた。その声は、僅かに不安を抱いているかのように少し暗いものだった。

 それを聞いたマントンはあっけらかんとした様子でこう返す。



「その点に関しちゃだいじょうびー☆ ローグとエスペランザちゃんで十分抑えられると思うよ? それに、今回の作戦に僕が参加したんだし、大丈夫大丈夫♡ 信用して♡」


「確かに、お前に後ろは任せられんが、別動隊として動くのならば作戦には組み込めよう。後ろは任せられんが」


「なんで? なんで任せられないのなんで? 我最強ぞ? ん?」


「常日頃の行いというものだ。もし今の境遇に不満があるのならば、改善する事をお勧めするぞマントン」


「僕が性への飽くなき渇望を止めろですって!? なんて、無責任な事を……! そんな事ばかり言ってるとローグの後ろの菊をλにしちゃうんだぞ♡ うふっ♡」


「その手の話は冗談でも寒気が止まらなくなる。そういうところだぞマントン」



 マントンは軽薄な姿勢のまま、へらへらとしまりのない表情を浮かべてさらに言葉を続ける。



「でもぶっちゃけ魔王様にはまだ敵わんかな? あのままで戦おうと思ったら勝機は薄いと思うね。そりゃもう予告された即堕ち二コマ並みに」


「当然だ。魔王様には我々が束になっても敵わん。四天王最強のお前相手とは言え、その相手一人になんとか防戦をしているような相手が通じるわけがあるまい」


「まあでも……ちょっと、微妙な違和感があるから100%負けるってわけじゃないと思う。理想体型も、完全に存在しないわけじゃないでしょ?」



 マントンは先ほどとうってかわって、少し真面目な表情になる。

 マントンの言葉が気になったのか、ローグはマントンの言葉に訝しげな顔をする。



「……どういうことだマントン? まさか、魔王様が負けるとでも?」


「いんや、真っ向勝負なら勝ち目はほぼないと思うけど、何してくるか分からないのとチームワークが人間の武器みたいなところあるし。もしかしたら手酷い傷ぐらいは負うかもね。それに……」


「それに?」


「時には()()()()()()()()が来るかもしれないし、不安要素ってのはいつでも出てくるものでしょ? どちらにも勝者が居ないような、そんな出来事が起こってしまうかもしれないでしょ? 自分には合わないと思っていたジャンルが、見始めたら思いのほかハマったみたいなもんだよ」


「……そうか」


「だ・か・ら、僕はもうしばらく自由に過ごす事にするよ。あの勇者、ちょっと僕とは事情が違うみたいだし。……それはさておき、最近始めた全裸で○○○○が凄く気持ちが良くてとても爽快感が」


「そうか。もういい。聞きたくもない。帰ってくれマントン」



 そうしてマントンはこの空間から溶けるようにして姿を消した。しばらくして、ローグもまた姿を消した。

 この空間はまた誰もが居なくなり、それ故に再び静寂に包まれた。

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