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第二十三話 シリアスの中に唐突にぶち込まれるギャグ回ってどんな気分? ねぇどんな気分なのか、教えてくれよチミィ?



「……」


「ぷぅあうぷぷんぷん」



 アオさんを部屋に残して、私たちは外に出ました。

本当は私が看病しようと思っていましたが、「一人にしてくれ」とアオさんに言われたので、半ば不本意ではありますがこうして外に出てきた次第です。



「……あの、何してるんですか……?」



 倫太郎さんは外に出た後、何もない野原で何かを作っていました。

近づいてみてみると、それは……



「……盾?」


「そう、盾。素晴らしい盾。大きな盾、小さな盾、中くらいの盾。盾は素晴らしい、盾は心のよりどころ」



 どこからどう見ても普通の盾……ではなさそうですね。

倫太郎さんが作り出した盾は、生半可な魔道具のレベルではありませんね……。明らかに伝説レベルの代物が、そんな多く有ったら伝説もへったくれも無くなってしまいそうなほどの数あります。

 そんな数の盾をどうする気なんでしょう……? というか、素材は……魔力だけで、ですかね?



「作ったんですか?」


「盾は文明。盾は世界。盾は良いよぉ、盾は、いいぞ!」


「作ったんですね。でも、そんな数どうするんですか? そんなにあっても、扱いきるのは難しいと思いますけど」



 倫太郎さんに私はそう尋ねます。さっきまでは確かにちょっと様子がおかしくはありましたが、今は至って普通……普通? 普段通りですね、はい。



「ストック、アメニティ」


「替え……ですか? それはいいですね。壊れた時に替えが無いってなったら大変ですし……倫太郎さんは盾を武器にしてますから」


「盾は武器。盾を武器にするのではなく、盾は武器である。おっけ?」


「はいはい、わかってます。……でもそんなに多くの盾をどうするんですか? まさか、背負ったまま戦うわけじゃないですよね?」



 そう言うと、倫太郎さんは、空間に裂け目を作り出し、その中に盾を放り込みました。

ああ、なるほどその中に…………あれ? 放り込んじゃったら取り出せないんじゃ……。



「取り出す時はどうするんですか?」



 そう言うと、倫太郎さんは空間の裂け目に手を突っ込み、中から先ほど投入した盾を引っ張り出しました。ああ、なるほど。これは便利ですね。

 何処にしまうかを示した後は、勇者さんは三枚ほど盾を残して全てその空間に投げ入れてしまいます。

……その三枚はどうするんでしょうか……?



 「どっこいしょういちねんほっき」



 そう言って倫太郎さんは三枚の盾を重ねて持ち上げ、どこかへ歩き出していきました。

……一体どこに行くんでしょう?





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 ついた先は、村から少し離れた広い草原です。

倫太郎さんは持っていた盾を下ろして、地面に一枚ずつ置いていきます。

 ……何をしているんでしょう?



「倫太郎さん?」


「ふぉろーあっぷ」



 倫太郎さんがそう言うと、なんと三枚の盾が浮かび上がりました。

その盾は倫太郎さんの身の回りをゆっくりと回りながら付かず離れずの位置を保っています。

 これは……



「てい」



 倫太郎さんがそう言って、草原の遠くを指さすと旋回していた盾の一つが指さした方向へと飛んでいきました。残りの盾は、ずっと倫太郎さんの近くを回っています。



「さっきから何してるんですか、倫太郎さん」


「訓練、訓練。ただいまから、避難訓練を行います。サイレンが鳴り終わったら、みなさんは速やかに指定された場所へと避難してください」


「は、ぁ……?」



 しばらくすると、飛んでいった盾が戻ってきてまた倫太郎さんの近くをくるくる回り始めました。

この後も、倫太郎さんは宙に浮く盾を階段の様に並べて駆けあがっては駆けおりたり、盾をまるで投げたフリスビーの様に高速に回転させたり、或いは空中で盾を使って様々な動きをさせたり、盾を密集させたりとしていました。

 ……ひょっとして、訓練って盾で戦うための? でしょうか。



「ふぁ……」



 そんな様子が一時間ほど続いて、ずっと見ていたらなんだか眠たくなってきてしまいました。

外はとても暖かな陽気で、日差しも強すぎず柔らかく身体を温めてくれています。

 私は瞼の重みに逆らえず、船を漕ぎだしてしまいました。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 私が意識を取り戻したのは、夕方になってからです。

倫太郎さんは、まだ盾で何かしているようでした。

 今度は大きめの盾に乗って宙に浮いて、ちょうどそのまま飛んでいくところでした。



「……わー……」



 寝ぼけまなこであっという間に小さくなっていく倫太郎さんをぼんやりと眺めていると、今度は飛んでいった速さと同じくらいの速さでこちらに戻ってくる倫太郎さんが見えました。

 そして倫太郎さんは、



「きぃええええええ!」



 そう言って私に、その速度の乗ったドロップキックをぶちかましてきました。



「ボファア!?」


「そこがメインカメラか?」



 お、お腹が……い、息が……なんで、私が、こんな目に……



「う、げっほ、う、おげぇ、げほっげほ……何するんですか!?」


「ずがががぎーや~ずんだかで~ずかずかきぃやぁ~ズタズタ☆ファッション」


「もう! どんな理由が有ろうと寝ていた人にドロップキックをぶちかます理由にはなりません! なんなんですか一体!?」



 寝起きがこれとは……最悪もいいところです。倫太郎さんは何やら慌てていますが、そんなの関係ありません。なんなんですか、本当に……



「起きておきて、朝なんだ。ウズラの卵をかけちゃうぞ♡」


「……! これは……」



 ですがその直後、周囲の異様な雰囲気に気付きました。

濃密な魔力、恐ろしいまでの存在感。遥か遠くからですが、これを感じられない人はいないでしょう。

 薄暗いこの時間、人の肉眼では遠くは見えませんが私の『千里眼』ならば……



「……っ!?」



 その存在感が感じられる位置へと『千里眼』を合わせると、



「おっほ♡ 大自然の恵みを一身に受けた○○○ーはやめられませぬぅ♡」



 私の目は捉えてしまった。

 遥か彼方から、この村へとやってくる凄まじい(テレビじゃ流せない)ポーズと行為をしている全裸の変態(マントン)を。

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