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無能コンクエスト〜無能と呼ばれた男が世界を征服します〜  作者: 秋月玉
三章(上) ミッテミルガン共和国編
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第75話 女子の会話は姦しい(2)


「すごく気持ちいいです」


「そうね。体の疲れが取れていきます」


「私がこの場所を利用できるなど、一年前の自分には信じられないことです」


「んん〜〜」


「皆さんに喜んでもらえてよかったです。このエステは王族専用でして、存分に御寛ぎ下さい」


 フィンフは女王として忙しい日々を送っているが、だからといって自分磨きを疎かにはしなかった。


 何故ならいつでも魔王であるゼントの夜伽をするかもしれないからだ。

 同じゼントの奴隷であるアインスとフィーアは勿論、将来相手をするかもしれないツヴァイとドライにも自分がいつも受けているエステに誘ったのだ。


「疲れが取れるのもありますが、美容効果もありますよ」


「おむねも大きくなる?」


 質問したのはドライだ。


「そうですね。私もドライさんぐらいの時には受けてまして豊胸術もあると思いますよ」


「やった〜」


 ドライの担当は体を仰向けにさせてドライの胸周りの処置を始めた。


「私もお願い出来ますか?」


 アインスも同じように仰向けになった。


「アインスはもう手遅れなのでは?」


「どういうことでしょうか?」


「負けて悔しいのは分かりますが、それはそれで需要があるのでいいのでは、魔王様が喜ぶかはどうか分からないけど?」


「そういうあなたにも必要あるとは思いませんが?」


「魔王様を満足させるための努力は惜しまなわ」


「私だってそうです」


 二人の視線がぶつかって見えない火花が散る。

 ドライは自分の発言がこんなことになるなんてと少し後悔した。


「私もお願いします」


 ツヴァイも仰向けになった。

 そうするとうつ伏せで抑えられていた二つの凶器が真の姿を現した。


 それはフィンフをも上回る大きさだ。


「いつ見ても羨ましく思えてしまいますね」


「あなたにはそれ以上必要ないのでは?」


「そんなに見られると恥ずかしいです。それに形とかも気になりますし……」


 ツヴァイは上下左右に揺らされている胸が恥ずかしくなり、手で顔を押さえた。


「ツヴァイさんの年齢からしたら、更に大きくなる可能性がありますね。私も負けたままではいられませんね」


「フィンフ女王も結構ありますよね。それに形や肌も綺麗で白く輝いているようです」


「ありがとうございます」


 すると、ドライがベッドから降りてフィンフの横まで移動すると、胸を人差し指で突いた。


「すごくやわらかーい」


「ドライさん……くすぐったいです」


 フィンフの声は笑っているが、手や足は動かさずにいた。


 次にドライは移動ツヴァイのところに移動すると、フィンフと同じようについた。


「ドライ、ちゃん……やめ、て……」


「さっきよりもやわらかい。指が奥まではいる」


 九歳の子供の指だと楽々第二関節まで入ってしまった。


「ドライちゃん、少しいたい」


 ドライはすぐに指を退かした。


「ごめんなさい。大丈夫?」


「うん。でもあんまりイタズラしちゃだめだよ」


「はーい」


 お互い裸のまま説教されるというのはなんとも不思議な光景だ。


「思い出したのですが、好きな男性に揉まれると大きくなると聞いたことがありますね」


「じゃあ、魔王さまにたのんだら大きくしてもらえる?」


「そうかもしれませんね」


「いくら触られても効果がない獣人もいるわね」


「それは誰のことを言っているのですか?」


「反応するということは分かっているということではなくて?」


 またアインスとフィーアの視線がぶつかる。


 ツヴァイが仲裁しようとするが、逆に怒りを買ってしまったりと、そこからはお互いの体のことやゼントのどこが好きなのかという女子らしい会話が続いた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「次はヴェストニア法国に行くぞ」


 夕食中、俺は次の目的地を奴隷達に話した。


 ここには俺の奴隷五人とお付きのメイド達がいる。

 別に秘密する必要もなかった。


「ヴェストニアへですか?申し訳ありません。非才の私では魔王様の目的を理解出来ることが出来ません。どうか教えていただけないでしょうか?」


 質問したのはフィンフだが、他の奴隷達も俺の目的なんて分からないだろう。


「ヴェストニア法国の聖女が美しいと聞いてな。会いに行こうと思ったんだ」


「私の耳にもその情報は入ってますが、聖女も奴隷になさるのですか?」


「それは俺がこの目で見て決めることだ。まだ分からん。それに何か嫌なことがヴェストニアを中心で起ころうとしている気がしてな。聖女のついでにヴェストニアも俺のモノにする」


 国を手にすることが一人の女性の次というのは普通ならおかしいと思うところだが、ゼントならと奴隷達は納得した。


「それは前魔王軍の誰かがヴェストニアで何かを企んでいるということでしょうか?」


「さぁな?俺の勘だ」


 本当はそんな勘など全くない。

 適当な理由をでっち上げただけだ。


「敵の動きを先読みし動く、さすがは魔王様です」


「魔王様の勘は私が得るどんな情報より有益です」


 アインスとフィーアが絶賛する。

 タール村の時もそうだし、俺の勘もそう馬鹿に出来るものでもないだろ。


「ということだ。ツヴァイとドライもいいな?」


「はい。私はどんなところでも魔王様について行きます」


「どらいも魔王様について行きます」


「出発は三日後だ。明日中に準備を整えておけよ」


「「「「「かしこまりました」」」」」


「それとフィンフ、城の中の掃除は終わったか?」


「はい。そちらにつきましては申し訳ございませんでした。ギャラルとヴンディルに命令し、身元調査をさせております」


 賊は俺を襲ったカオレ以外に二人いた。

 ツヴァイとドライを襲った。


 どちらも返り討ちにしたので、問題は無かった。

 ツヴァイが人相手に魔法を撃ったと聞いたときは驚いたな。

 反射だったのかもしれないが、それでも進歩してくれて嬉しかった。

 殺すまでにはいかなかったが十分だ。


 ドライも殺すことはしなかった。

 そこは殺すまでやって欲しかったが、敵から情報を聞き出すなら殺さないのは正しい判断だ。

 ドライがそこまで考えていたとは思えないけどな。


 だが情報を聞き出すことは出来なかった。

 捕らえたが、すぐに口に隠していた毒で自決してしまった。

 あの程度の暗殺者ならいくらかかって来ても問題はない。


 だが、お楽しみの最中に来たら嫌なので、城の中の奴は根絶やしにしなくてはな。


「早くしろよ。出ないと安心してお前と夜を楽しむことも出来ないからな」


「早急に片付けさせます」


 フィンフは近くのメイドに二人に急がせるように伝えてくれと命令した。

 男の体がいくら壊れてもどうでもいいが、ヴンディルは俺が介抱してやるか。


 その後は普通に食事を楽しんだ。

 王城の飯は豪華で美味くていいな。

 ここに寄生するのも悪くはないが、せっかく異世界に来たんだから楽しみの種類は多い方がいいよな。


 その日の夜はヴンディルとフィンフを呼んで三人で楽しんだ。

 ヴンディルは一人だと女王に申し訳なくて来ないと思ったからだ。

 

 朝になって俺は三人というのは初めてだが、これも良いなと思った。

 アインスとフィーアは仲がいいのかどうかイマイチ分からないが、一度試してみるのもいいかもな。



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