表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/33

過去からの贈り物

イエロー?

 夢を見ていた。どこかで会った顔の青年が、「僕のことはもう忘れていいんだよ」と話していた。誰かわからずにいると、「自分の子供じゃないか」と笑った。五歳のとき、交通事故で失った息子が育った姿だ。もっと話したいと思った瞬間、目が覚めてしまった。

 涙をふいて身体を起こすと、片付けたはずの部屋が荒れていた。明日は家で、事故の『被害者の会』で友達になった人たちと食事会をする。部屋をひっくり返していた夫に、何か探しているのか聞いたら、内緒と笑った。

 被害者の会は、被害者にしかわからない悲しみを話すのが目的だ。私は会で話すうちに、悲しみは共有できないと知った。だから会には、もう参加していない。食事会のメンバーは事故つながりだが、事故の話は一切出ない。

 食事会当日、今度は夫が交通事故に遭った。

 命はとりとめたものの、記憶障害と言語障害で、回復は難しいと言われた。生きているだけマシだ。何も話せず微笑むばかりの夫を、自宅に連れ帰った。私は趣味のワイン作りを本格的に仕事にして、生活を支えた。

 数年後、食事会で会うはずだった友達から、また集まりたい、と手紙がきた。ちょうど、参加したワインコンクールの発表がある。以前のように、私の家で食事会を行い、発表をみんなで心待ちにしてもらうことにした。

 発表の日、緊張する私たちの前で電話が鳴った。入賞の知らせに部屋がわき上がる。

 懐かしい声に顔を向けると、夫が普通に話しているではないか。驚く私に、夫は古ぼけた包みを手渡した。中には「10th」と刻まれた指輪があった。夫が事故にあった年は、息子の事故から十年目だった。

 あの時、夫が探していたのは指輪だったのか。記憶を取り戻した夫を、強く抱きしめた。

だいたいこんな感じの夢を見たのでこれを書いた記憶があります。

これの「被害者の会」について膨らませたらいいよ、と意見をいただき、なるほどと思いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ