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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第9章
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1572年青崩峠多薬室砲000

1572年。


11月家康軍に信長の援軍到着。

同月、武田軍が二股城を陥落させる。


これにより次々と徳川側の武将が寝返り加担。

いよいよ決戦浜松城か!


ところが武田軍が浜松城北方7kmを西に素通りする。

これはワナかもしれなかった。


しかし古代テルモピュライの戦いを文献で見ていた家康は追撃を決断する。

それは三方が原台地の得意な地勢にあった。


武田軍は三方が原台地に上り台地を通過する。


台地の降り口は狭い1本道で縦列行軍しか出来ない。

この機を逃すな!


徳川軍8000人と織田援軍3000人は追撃にでた。


古代テルモピュライの戦いはスパルタ300人vsペルシア100万人であったという。

狭い山道はペルシア主戦力の騎馬隊を使えず敗退を余儀なくされたという。


間違いなく30000人の軍団は1本道を縦列行軍で下り始めている。

絶対にどんなことがあっても引き返す事は不可能だ。


だが不可能を可能にするのが奇妙寺の技術力だ!

常識を非常識でひっくり返すのだ。


組み合わせ滑車の機械的倍率を利用して引き返す。

山の斜面にはその組み合わせ滑車が600組伏せてあった。


30000人の軍団は5人600組に分かれ、滑車を動かした。

1人80kgとして、引き上げ力は(80x5/2x2x2)=50(kg)と軽い。


8分の1の力で引き上げる事が出来る。


「せぇうのーおぅ」

ガラッガラガラガラッ。


下りたはずの30000人の軍団は次の瞬間には台地の上にいたのである。

徳川素っ破「あうあうあっ」


晴信が30000人の軍勢を手足の如く動かしていた。

台地を降りた全員が、今や台地に布陣していたのだ。


徳川軍8000人織田援軍3000人vs武田軍30000人。

後ろから不意打ちする筈が、待ち伏せをくらってしまったのだ!


「信長公の奇襲戦のようにはいかんか」と家康。

「ソノトウリ」と本多忠勝。


動くに動けず睨みあう両軍。

「モウガマンデキナイ~ッ」


ついに発狂した徳川の左翼が武田軍に襲い掛かった。

ここに三方が原の戦いが始まった。

だがしかし多勢に無勢。おまけに新兵器があった。


時限信管砲弾である。


家康の突撃隊の正面に20発の砲弾を撃ち込む。

地面は着弾の衝撃で捲り返る、土くれが飛んだ。


最初に攻撃した石川数正隊は2分後ろである。


 当時の砲弾は運動エネルギー弾、つまり石や鋳鉄で出来た無垢の中実砲丸であった。

一度着弾したら、ただの鉄や石の塊に過ぎなかった。


カチコチカチコチ……。


「照準が甘いぞ!」

「とつげきぃ~っ」

「当たらなければどうという事はない!」


だが時限砲弾は違った。


2分後。カチリ。時限信管が起爆する!


ズガアァーンッ、ドッカアァーン。

地面深くめり込んだ砲弾の炸薬が点火爆発した。


兵も馬も天高く舞い上がる。

「飛んでるっ、オレいま飛んで……」


絶命する寸前の足軽の意識はやがて四散してしまった。

そして対物ライフル狙撃で足軽大将を狙う。


「突撃だ!ええいっ、突撃せんかい!」

足軽大将が百姓兵をなじる。


「そんなん言われても死にとうないわ」

「乱妨取りが楽しみで来とるんじゃい」


百姓兵はなかなか言う事をきかなかった。

「軍罰は厳しいぞ」


スラリと刀を抜いた足軽大将は百姓兵を切ろうと刀を構えた。

ズバンッ。


足軽大将は消えた。

対物ライフルの直撃を受けたのだ。


一瞬にして消え失せたの如くにしか見えない。

百姓兵はたちまち散を乱した。


百姓兵A「へ」

百姓兵B「へぇへっ」

百姓兵C「神隠しじゃあぁっ」


百姓兵は逃げ出した。


一方、織田援軍の佐久間信盛は動かなかった。

信盛「こ、こんなバカな……」


仮にも近代兵器で武装した3000人の兵を率いながら固まっていた。

「浜名湖の今切まで撤退する!」


素っ破「殿!平手汎秀殿は最前線でまだ戦っておりまする」

「今、引けば挟撃にさらされる恐れも!」


「すぐに伝令を走らせろ!撤退だ」

この後、信盛は撤退し、汎秀は戦死している。


もはや戦場は阿鼻叫喚。

「突撃!男なら戦で死ね!」と足軽大将。


百姓兵A「冗談じゃねえ!おらは生きる!」と足軽。

百姓兵B「負け戦じゃあぁっ」

百姓兵C「負けじゃあぁっ」


ドタドタドタッドタドタッ。


もはや戦術も指揮系統もない。

むちゃくちゃである。


槍組足軽は槍を放り投げ、弓足軽は弓を捨て、鉄砲足軽は銃を持って逃げた。

銃は高く売れる。


それをすてるなんてとんでもない!


足軽たちは、四方八方に全力疾走で我先に逃げ散った。


ザッザッザッ。


武田軍は徳川軍の鶴翼の陣を、無敵の魚鱗の陣で突き破る。

家康のまわりにも無数の武田雑兵が群がっては散る。


家康を守ろうと戦い、その度に次々と旗本達は散っていった。

いつのまにか家康に付き従うは、家臣の大久保忠世ただ1人となっていた。


そこへ留守居役の夏目正吉が25騎を伴って駆け付ける。


正吉「殿」

家康「正吉!」


正吉「25騎で駆けつけました。今すぐご帰」

家康「ええいっ。留守居が出過ぎた真似をしおって!」


そこに武田軍が追い付きかけた。

「待ったれよおぉぉっ家康殿ぉ、敵に後ろを見せる気でござるかあぁぁっ」


家康「のっ」

正吉「殿!御免!」

バシッ!


家康「あいたあっ」

正吉「あ、申し訳御座いませぬ、馬を叱咤した筈が」


馬の尻を叩いて逃がそうとして、家康の顔面をぶっ叩いてしまった。


家康「ええい、もう良いわ!」

 ぶっ叩かれて、正気を取り戻した家康は乗馬を翻して、全速力で浜松城へ駆け戻った。


その後、夏目正吉以下25騎は善戦むなしく、帰らぬ人となってしまった。

次回は1572年青崩峠多薬室砲001です。

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