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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第8章
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1563年馬糞汁

1563年松山城包囲戦での馬糞汁伝説を書きました。

1563年。

甲斐+相模+駿河+上野の四国同盟を無視して松山城が決起した。


長野業正はあわてて使者を送ったが、なしのつぶてである。

とにかく城を包囲したが、どうも同国人同士で威勢が上がらない。


そこで武田+北条軍は北関東平定の為、松山城を包囲した。

堅固な防備の為、攻略できず、武田軍も北条軍も停滞気味であった。


どうにも具合がわるい。


 近くの岩山には、古墳時代後期(6世紀-7世紀)の横穴遺跡が、200基以上放置されていた。

遺跡「吉見百穴」である。

掘ってみると埴輪やボロボロの青銅器が出てくる。


「何の価値もない」

 足軽が掘ってきた遺物を見て、武田軍の武将、米倉彦十郎は吐き捨てるように言った。


その横を1匹の野犬が通り過ぎた。

足軽「いやに野犬が多いな」


 この遺跡を、奇妙寺の考古学研究所の考古学者に見せたら、飛び上がって喜ぶだろう。

「うーひょひょーい」「みぃーつけたーあ」

ダダダダダッ!

一人の僧形が物凄い勢いで遺跡「吉見百穴」に駆け込んでいった。


彦十郎「つ、ついて来たんかーい!」

真っ暗な洞穴の奥から奇声がが響いてくる。


「もうしわけございません」

奇妙寺の従軍僧形部隊医療班の僧形が弁解した。

「一人、慮外者が混じっておりまして……」


「いや、どうでもいい。戦力に関係なければな」

「しかし軍規には抵触するな、切らねばならん」

「ほどほどにな」


米倉彦十郎は違いの分かる男であった。


その時、彦十郎は騎乗で狂ったように激しくケイレンした。


そうだ!これだ!


「ひ……」

「ひらめいたああぁっ」

「これだああぁっ」


「すぐに金山衆を呼ばねばならん!」


その時、実は彦十郎は狙撃で腹を撃たれていた。

すぐに治療をという僧形たちを尻目に彦十郎は言った。

「かすり傷だ、大事ない!」


いやいや、ケイレンしてたぞ、今……。

翌日、金山衆が武田の陣中にやって来た。

何かを密かに話し合っている。

「TBMを呼ばねば……」

「軟弱な土壌が……」


ボソボソ言っている。


その陣中幕の横を1匹の野犬が走り抜けた。

足軽「いやに野犬が多いな」


1週間後。


TBMがやって来た。

山留め用シールドシェル型TBMだ。


松山城の遠見からもその巨大な鉄獣がやって来るのが見えた。

「魔獣か?」


迷信深い戦国時代である。

その鉄の巨大なヤツメウナギみたいな外観はバケモノそのものだ。


随行する作業員もふざけている。

「よぅ~し、どうどう」

「早く(土を)食いたいか」

わざと松山城に聞こえるように叫んだ。


「早く(ヒトを)食いたいか」


そう松山城内には聞こえていた。


そのTBMの横を1匹の野犬が走り抜けた。

足軽「いやに野犬が多いな」


キイイイーンッ、ズバーンッ、ガーリガリガーリッ。


物凄い轟音とともにTBMがゆっくりと松山城の基部に食い込んでいく。

鉄砲や弓矢を射かけたが、キンキンとはじき返された。

やがて深部に至り、轟音は消えていった。

それがさらに不気味さを与えた。


「降伏します」


松山城の降伏の使者が北条側の陣地に駆け込んだ。

武田軍のTBMを見たら、そりゃあ不気味すぎて武田側には来れんだろうなあ……。


武田軍は茫然自失のまま、帰路についた。

武田北条連合軍とはいえ、武田軍のTBMに恐れをなして松山城は降伏したのだ。

だが、それゆえ北条軍に降伏の使者は逃げ込んだ!


戦の見返りは何もなかった。

唖然。

呆然。

愕然。


足軽A「わしらは一体何の為に武蔵国まで来たんじゃろうか……」

足軽B「遺跡発掘かも!奇妙寺の連中がはしゃいどっただろ?」

足軽C「それだ!」


一方、武田軍武将の米倉彦十郎は鉄砲傷で重傷だった。

奇妙寺医療班は必死の治療を施している。

手術室では今、抗生物質点滴と消毒ヨード液を準備していた。


当時抗生物質は薄黄色の液体であった。

消毒用ポピドンヨードはウンコ色だった。


足軽たちは「ウンコ塗ってショウベンを注射する」と無教養に揶揄していた。

これが広まって、米倉彦十郎も耳にしていたのだった。


「お断り申す」

「ウンコとショウベンまで使って生きながらえようとは思わぬ」


そこへ甘利昌忠が駆け込んできた。

「ちょっと」

「手術室は関係者以外……」


「ダイジョウブか、彦十郎!傷は浅いぞ!しっかりせい!」

「おお昌忠……、辞世の句を詠むぞ、われ生きて、武蔵の国に、果てんとす……」


いきなり昌忠は抗生物質のビンをこじ開けて、中身を飲み出した。

ゴッキュッ、ゴッキュッ。


「ちょっと」

「医薬備品は関係者以外……」


ドンッ。

ビンをテーブルに置き、昌忠は言った。


「う~ん不味い!もう1杯!」


この豪胆さに打たれた彦十郎は大人しく施術を受け、後日回復したという。


一方、昌忠はおなかが痛くなってヨロヨロしていた。

静注用抗生物質は経口用抗生物質と違う。

胃に穴が空くほど強い作用がある。


いやそれよりも野犬はどうした?


実は、城主の太田資正(おおたすけまさ)は 犬使いだったのである。

松山城に100匹、ワンちゃんを飼育していた。


臣下「殿、そのように多くの犬を飼われては、虚者(うつけもの)(そし)りは逃れ得ませんぞ!」

資正「ワンッ」

臣下「虚気たる者とか、幼子の如く犬に好かれおる、と言われて恥ずかしくないのですか?」

資正「ワンワンッ」

この犬を松本城に50匹、岩付城に50匹飼い始めた。

犬は帰巣本能で育った城に帰る。

その本能を利用した忍犬として利用していたのだ。


恐るべき調略であったが、甲斐国の百姓兵は実はイヌスキーが多かった。

「ワンちゃーん」

エサで懐柔して、密書の入った首輪のまま、甲斐に持って帰ってしまった。


首に付けた密書は未だにそのまま甲斐国の農家の番犬の首に付いている。

忍犬はその役目を果たす前に飼い犬になってしまっていた。


なかには気付いて封を開けた者もあった。

暗号でナニが何だかわからない。


農民A「犬神様のありがたい御託宣(ごたくせん)なのでは?」

農民B「おみくじではないのかや?」

農民C「ありがたや、ありがたや」


一方、医療用薬剤についての誤解は、ついに解けなかった。

時代の定説は簡単には覆らない。


馬糞汁伝説はこうして生まれたのだった。

次回は1565年義信無惨です。

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