表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第8章
85/169

1553年晴信三男信之

信之は晴信の三男。

10歳の時に大病を患ったが、今は奇妙寺の医学で完治している。


だが、その時の高熱が原因で、脳に障害を負ってしまった。

今は長男の清信にしか心を開かない幼児に後退している。


「おにーちゃあぁ~んっ」

全速力で飛び付く信之。


「うぐっ」


「おお、信之、今日も元気だね」と清信。

「清信お兄ちゃんが一番大々好き!」


浅信、晴信には懐かなかった信之だが、清信にはベタ惚れだった。

清信は、まとわりつく信之を物ともせず、勉学に研究に勤しんだ。


立てば足を登り肩車の位置に、座れば頭に上り、寝そべれば腹に乗る。

さながら赤ん坊の猛攻に耐える巨ネコさんの如く成すがまま、である。


武田家の養育係の伝場(奇妙寺僧形)も処置無しであった。


「さあ、清信様のお仕事の邪魔になりますれば……」と伝場。

「いぃ~やぁ~あ」と信之。


「まあ、よいではないか、よいではないか」と清信。

伝場は直立不動の姿勢を取ると、回れ右して去っていった。


こうしてじゃれている内に清信は気付いた。

信之は記憶力がいい。


いや異常だ。


信之に南蛮国の洋書の化学を読ませてみた。覚えてしまった。

奇妙寺が150年に渡って積み上げてきた技術の蓄積たる科学、医学、技術etc。

これらの蔵書を暇に任せて読破してしまった。


「じゃあニトロ化とは?」と清信。

「ええとね」

信之は暗証しだした。


「濃硫酸と濃硝酸を混ぜ混酸を作ります」

「混酸中には硝酸1分子と硫酸2分子からなるニトロニウムイオン1分子が発生します」

「ベンゼンをを加えるとニトロベンゼンになります」

「硝酸はニトロ基の供給源、硫酸は酸性触媒となり……」


「いや。もう十分だ、分かった」と清信。

「ねえねえ、コレ面白いね」と信之。


清信は確信した。

信之は人間コンピューターだ。

現代では、これはサヴァン症候群と呼ばれている。


勝手にモールスを憶えてメッセージを送っている。

・・- ・-・-・ ---- 。

こういう所はまだ子供だ。


清信は思った。

挨拶も出来ない信之。

だが、この高度な脳機能の働きはどうだ!


信之は後々の武田家の知恵袋、頭脳となる事は間違いない。

ありとあらゆる記録、計算結果が彼の頭脳に蓄積される。

そして瞬時に引き出して使う事が出来るのだ。


この武田家の血統は異常だ。

だが今はありがたく使わせてもらう。

次回は1554年猿之介(木下藤吉郎)です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ