1505-1519年アステカ王国001
エルナン・コルテス来たる!
1505年。
その日からアステカ帝国の再軍備が始まった。
「ジャガーの戦士団」と「鷲の戦士団」は、貴族の子弟で成り立つエリート部隊であった。
これを王族親衛隊「ジャガー」隊と「鷲」隊に再編成した。
これの下位に槍部隊、弓部隊、鉄砲隊を編成する。
突撃歩兵だ
それぞれに下知する大将が付く。
全員がハンドガンを所持し、日本刀を帯刀する。
これには全員が反対した。
石斧や石槍による白兵戦こそ、武人の誉れだったのだ。
そこで模擬戦を行う事になった。
スペイン側は日本人が担当して、模擬戦開始!
敵う訳がない、ライフル銃と大砲の応酬にアステカのエリート軍団は敗れ去った。
満身創痍の軍団のなかにはアステカ王モクテスマ2世の甥も含まれていた。
「ヘルメットがなければ即死だった」と甥のカカマツィンは後日述懐している。
最後には全員が賛成した。
近代兵器による再軍備が始まった。
■軍需産業最優先。
元々戦闘国家だったアステカ王国でこれは何の問題も無かった。
■数字と文字と図面。
数字は20進法だ。
文字は象形文字で、まあ漢字と起源は同じである。
図面はすべて新しい概念であり新規に教化しなければならなかった。
■農業。
肥料と農薬と土壌改良について教化した。
トウモロコシ・トマト・ジャガイモ・サツマイモ・タバコ・カカオ……。
湖にアシ、イグサを編んだ筏を浮かべ、それに泥を載せてチナンパという伝統的農法があった。
これは1年の半分が雨期、半分が乾期という極端な気候を避ける為の知恵でもあった。
これを日本人が大規模な灌漑設備で大々的に徹底改善する。
チナンパは残した。
標高2240mの地で生きる術であった。
これをすてるなんてとんでもない。
■住居。
茅葺き屋根に土の壁の家。
日本と同じ懐かしい感じの家が並んでいる。
しかし寝床はなくハンモックであった。
とくに改善する箇所はなかった。
日本とは太平洋を挟んで25日の距離にあったアステカ王国。
奇妙寺諜報部はスペイン侵攻速度から、アステカ侵攻は1515-1520年と推測した。
10-15年間の余裕があり、両国に交流が広がった。
アステカの若者が日本に興味を持ち、留学してきた。
物見遊山の旅行もあった。
駿河の清水港は、南米からの留学生や旅行者で大騒ぎである。
特に駿河のポポカテペトル山は大人気であった。
いやそれ富士山っていうんですよ、富士山!
アステカ王国が既にスペインと接触している事でモザイク文化が入ってきた。
モザイクタイルで壁画を作るアート文化である。
これが日本にも伝わり、早速、駿河のポポカテペトル山が壁画になった。
後にこれが風呂屋の壁面を飾るのである。
農作物が輸入され、技術が輸出される。
日本で技術を学習し習得して、教化されたアステカの民たち。
アステカに帰国後は近代化に邁進した。
こうして、スペインの侵略が始まるまでの1519年までの14年間に、徹底抗戦出来る下地が出来上がった。
モクテスマ2世の従兄弟クアウテモックは日本に留学した秀才であり、皇太子である。
甲斐国では、武田信虎が軍事教練を自ら買って出た。
調略し、謀略を巡らし、最後の手段として攻撃する。
信虎「戦わずして勝つ!」
「これが戦の極意じゃ」
彼は日本戦国時代の極意を学んで、アステカ王国に帰国した。
彼が統率し指揮する軍団は、武田の軍団に学んだ機械化部隊であった。
1519年。運命の年。
メキシコ湾沿岸にベラクルスという都市を建設し、拠点としたコルテス。
良港になる地形を見抜き、乗ってきた帆船11隻を停泊させる。
原住民の通訳の態度に違和感を感じたコルテスは計画を変更した。
部下の逃亡を阻止する為に船を焼き捨てる筈を中止したのだ。
「何かが前と違う……」
純朴な原住民の笑顔が違って見えたのだった。
翌日、友好的な筈の族長と通訳の姿は消えていた。
コルテス率いる500人の兵がメキシコ高原へ進軍するも目立った戦果は得られない。
襲い掛かるとスーッと潮が引くように逃げてしまうのだ。
コルテスの考えていた、圧倒的火力と贈り物で、原住民を手なずける計画は崩れ始めた。
おかしいぞ?
アステカ王国の重税に苦しむ周辺国はどうした?
偵察によれば、周辺国家は重税による反感から、一斉蜂起するはずなのだが?
アステカ王国の皇太子クアウテモックは奸計を講じていた。
これは「調略により戦う前に既に勝っている」という武田信虎の教えのおさらいだった。
アステカ王国は、支配下の小国への過税を緩めて、懐柔し服従をものにしていたのだ。
これも長年に渡る農業改革の成果で、莫大な収穫が得られたため、年貢を軽減していたのであった。
原住民のアステカ王国への不満を利用して味方に付け、兵力を増強するコルテスの作戦は失敗だった。
「誰もいない……」とコルテス。
誰もいないのだ。村にも、街にも、都市部にも誰もいないのだ。
兵卒の1人が誰もいない空き家に入ってみた。
「かまどが暖かい……」
さっきまで調理をしていたようだ。
机の上には皿の支度もしてあった。
まるで彼方から監視されているような気がする。
彼方の5000m級の山の中腹で何かが光った。
スペイン人は知らなかったが、それは2m測距儀であった。
マラッカ王国対ポルトガルで使われたモノと同じ大きさだ。
だが内部は望遠レンズを組み入れた最新型である。
標高4400mのマリンチェ山を横目に粛々と進むコルテスの部隊。
やがてチョルーラの町に到着した。人口3万人の大都市である。
ややだだっ広い空き地のど真ん中に星形の街があった。
おかしい。
何かがおかしい……。
街に近づくと、さらにおかしかった。
街に武装した兵士が整列している。
コルテス「来たか……」
土人の石斧なんぞ一発で……?
「んんっ?」
ハンドガンと日本刀を帯刀して、武装した現地人が近づいてきた。
木の棒と石で武装した土人はどうした?
街の様子も違うような……。
稜堡式城郭?
防御擁壁は避弾経始のかかったコンクリート製で、火砲は75mm速射砲である。
街のまわりのだだっ広い空き地は、実は塹壕戦の為の、無人緩衝地帯だった。
「あっ」と部下の1人。
「どうした?」とコルテス。
「た、武田菱です」
「なに?」
街の中心にある神殿に巨大な武田菱が飾ってある。
そういえば、住民の服の胸のところにある紋章も……。
「イカンッ!死地だ!」
いつのまにか、75mm速射砲が外側でなく、内側を向いている。
街並みの窓から対物ライフルの銃口が覗いている。
街人たちの顔色に必殺の形相が浮かんでいた……。
「て、撤退せよ!」とコルテスは号令した。
コルテスは母国スペインで聞いていた。
ポルトガルはアラビア海でインド・オスマン帝国連合軍に敗北した。
彼らに日本人が何かしら武器を現地で渡していたのが、原因だった。
それは見た事も無い超兵器なのだというウワサだった。
「なーにが超兵器だよ」とコルテス。
「野蛮人に負けてんじゃねーよ」
「オレは違う」
「オレには果たすべき野望があるのだ」
そう言って気にも掛けなかった。
だが、そこにあった紋章が武田菱だったのだ。
「転進せよ!」とコルテス。
「180度転進!全力でかかれ!」
「オウッ」と叫ぶと脱兎の如く、というかもう姿が見えなくなってしまった。
こうして戦わずしてアステカ王国はスペインを撃退(?)した。
這々の体で、コルテスはベラクルスに引き上げ、スペイン領キューバに逃げ帰った。
キューバ領事の制止をを振り切って出立した手前、物凄くバツが悪い。
征服王になるはずが、本国強制送還になってしまった
ベラクルスは占領され、アステカ王国の大西洋防衛戦の要となった。
スペイン本国では動揺が広がっていた。
あのポルトガル海上帝国を撃破した奇妙寺。
それが新大陸にも現れたのだ。
奴らの科学と技術は無限なのか?
極東の野蛮国のくせになまいきだ。
新大陸制覇は競争の体を成してきた。
インカ帝国さえ押さえれば!
南米大陸はスペインのものだ!
しかしそれは既に遅かった……。
次回は1508年武田信虎+1505-1533インカ帝国です。
武田戌千代(浅信)登場+第5次遠征隊がインカ帝国に接触します。




