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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第3章
28/169

1420-1460年甲斐国守護不在2

信長再登場。


武田信長は戦っていた。

戦って戦って戦い抜いた。


武田家滅亡後、鎌倉府は甲斐の国人、逸見氏を守護代に要請した。

しかし、鎌倉府と対立関係にあった京都室町幕府はこれを認めなかった。


 高野山には、武田一族の穴山満春が出家しており、空山と号して僧籍に入っていた。

 これを還俗させ、武田信元と名を改め、武田信長、小笠原政康の支援を受けて入甲した。

この際に小笠原分流の跡部一族も支援のため同行している。


その後、信元は甲斐国の治世に努めたが、跡部一族の横暴が目立ってきた。

 信元支援の為に跡部一族を甲斐に引き入れたのが仇となり、今や専横を許している。

 逸見一族をやっと退けたと思ったら、今度は跡部一族の甲斐乗っ取りが始まったのだ。


1421年とうとう荒川河原で両者は激突した。

両者とも甲斐源氏の血を受け継ぐ、鍛錬された騎馬戦術の持ち主であった。

戦況は五分五分、まさに同族下克上の地獄絵図であった。


決着は付かなかった。


信長は、その後9年間も戦い続ける事になる。


ある日、信長はまたひょっこり奇妙寺を訪れた。

奇妙寺は最初に来た時から変容していた。


実験施設では、なんだかわからない実験が繰り返されている。

高炉では銑鉄が溢れ出し、トーピドーカーが忙しそうに行き来している。

骸炭炉では石炭が乾留され、石炭ガスが回収され、照明に使われている。


松戸彩円が出迎えに出た。

上級僧形もズラッと並び、歓待の意を示した。


「これはこれは信長様」


「息災のようだな」と信長。


「これはナニをやっておるのだ」

「化学と工業でございます」

「歌学と勤行か、僧形らしいな」

{歌学:和歌の作法、解釈、歴史を研究すること}

{勤行:仏前に読経や回向をすること}


信長はキッと振り向いた。

その姿は逆光で表情は読めない。

「今日は別れの挨拶に来たのだ」


「なんですと!」と彩円。


「甲斐守護は信重が継ぐことになろう」

「だが信重のカリスマでは国人どもの遵従は叶わぬ」

「国人どもはまた下克上に走るだろう」


「敵は強力だ、また台頭してきて甲斐国は騒乱状態」

「9年間も戦ってきたから、分かる」

「敵側には人間的魅力、カリスマがある」

「だから敵側に分があり、いつも負けてしまう……」

勝てない。


その悔しさがにじみ出ている。

戦国時代の戦力は、服従する国人の数で決まる。

勝てそうな方に味方するのである。

勝てないのは御大将のカリスマのせいでもある。


彩円は黙って聞いている。


「どうもこのまま戦い続けても無駄なような気がしてのう」

「わしは甲斐国を出て、関東公方足利成氏に仕えようと思う」

「乱世に一旗揚げる年齢(とし)でもないわ」


信長「松戸彩円に警告する」

彩円「はい」


「わしは最初、ライフル銃3000挺を奇妙寺に頼むつもりであった」

「これを多段構えにして装填、構え、発射の順で撃てば無敵だ」

彩円は無言のまま驚いた(てい)になった。

「驚くでない、もうやめた」

「最新兵器で敵を粉砕は出来よう」

「だが、戦は勝ち負けではない、まあ、それもあるが」


「戦が人の命の取り合いである以上、結局は人の資質が人を惹き付ける」

「この大将なら国をまとめられる、常人を越えたなにかがある」

「それに人は魅せられ、命を投げ出すのだ」

「最新兵器という道具なんぞに命を投げ出す訳ではない」


「警告はこの後だ」

「まだ甲斐国の騒乱は3代にわたって続くだろう」

「時の権力者に結びつくのが宗教の常だろう」

「だが、まだ騒乱は終わらない、時を待つのだ」

「あと50年は甲斐国はまとまらぬ」


言いたい事は分かった。

現守護代も、その後も騒乱によって倒れるのだ。

奇妙寺は戦国時代の終わるのを待てと言うのだろう。


彩円「重々肝に銘じまする」

信長「よっしゃ!」


「わしの時代が来ると言ったが、あれは叶わなかった」

「だがなんというかわしには予感がある」

「3000挺の鉄砲兵を従えた強者がいつか現れる予感がな!」


信長は去って行った。

後日、信長は関東公方足利成氏に仕え、重臣にまで登りつめた。

その後、上総地方(現千葉県)に侵攻し、上総武田氏の祖となったのである。

次回は水車と歯車です。

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