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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第12章(最終章)
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1598年アフリカ(7/7)

タンザニアの隣国はケニアであり、その港町モンバサは内陸国の外港である。

このモンバサの支配者は放逐された島津歳久であった。


日本では信長に味方し、この地に放逐された身ではあったが、それは昔話だ。

島津の御家の為を思ってこそ意固地にもなったが、済んだ事だ。


この遠隔の地で丁々発止、よろしくやっていた。

が、やがて信長と対立するようになった。

東アフリカ諸国は奇妙寺寄りなのだ。


中央アフリカ、西アフリカは信長の教化が進んでいる。

 モロッコは独立しているが、アルジュリア、リビアなどの北アフリカ諸国は、オスマン帝国が握っている。


モロッコはポルトガル軍が何度も攻め寄せた宿業の土地だ。

だがなんとか防いでいる、いわゆるジブラルタルの門扉である。


まあ、敵国はあってもかまわない、と信長、全部友好国だと気持ち悪い。

まあ、情勢が落ち着き、治安が静まるまでは長い時間が掛かる。


 そのあとで条約でも締結して、まとまるも良し、まとまらぬなら天下布武に従うまで。

すでに欧州の勢力は逃げだし、アフリカは、内輪もめを平らげれば良いのである。


このままいけばアフリカは順調に国力を付け、教化され、先進国になるだろう。

そこでふと信長は気付いた、20年も待てるだろうか?


20年後は、ワシは90歳を超える超高齢者ではないか。

この後はどうするのだ。


嫡男信忠がいる。

だが、彼の嫡男信忠は、オーストラリア幕府の第一統領である。


 秀吉の息子の秀勝は長浜城主、次男の鶴松は夭折、秀頼はニュージーランド幕府にいる。

アフリカの星はどう継げばいいのだろうか?


信長はモロッコの奇妙寺支部に連絡を取った。

距離は2300km。


奇妙寺は2時間で航空機でやってきた。

僧形「なんぞそのご用でしょうかな?」


信長は苦笑いした<百年経っても変わらんな>。

信長「わしが死んだら、後は奇妙寺の管轄にまかせたいと思う」

「日本では争ったが、ここは地球の裏側アフリカだ」


「過去の遺恨は水に流したい」

僧形「それはもう<みそぎは済んだ>と存じておりまする」


信長「そうか、やってくれるか」

僧形「承知致しました」


信長は即断即決だ。

そして明快な結果と回答を求める。

会談は拍子抜けするほど、あっけないものだった。


その後、数年ほど経ったある日、信長は消えた。

玉座には奇妙寺僧形が鎮座していた。


信長の行方は依然として不明のままだった。

 南極大陸に秘密基地を作っているとかパタゴニアに潜伏しているなど噂は絶えない。


そしてやはり、信長が消えた時点で、アフリカの均衡は崩れ始めた。

信長の威光が、多くのアフリカ諸国の野心を押さえつけていたのだ。


ルワンダは隣国コンゴのコルタン鉱山の収奪に動き始めた。

 ジンバブエ、タンザニア、アンゴラ、ザンビア、ボツワナ、マラウイ、ケニア……。

これら全ての国で内戦の兆しが見え始めた。


弥助「い、いかがいたしましょうか?」

弥助は玉座に座った僧形に恐る恐るたずねた。

玉座の後ろには2人の僧形が屹立していた。

目深にフードを被り、その表情は読めない。


僧形「これを待っていたのだ、毒はすべて出し切るのだと父から教わった」

弥助「へ、あ、う?」


バサッ、目深に被ったフードを祓うと、そこにか若い頃の信長がいた!

織田信孝「ワシが三男、織田信孝であーる」


 神戸具盛の養嗣子として伊勢国北部の神戸城主を勤めていたが日本統一に伴い、海外に雄飛。

 奇妙寺の海外居留地を漫遊していたが、僧形となり、織田・マリ王国継承を受けた。

1558年生まれの中年である。


バサッ、目深に被ったフードを祓うと、そこにか若い頃の晴信がいた!

仁科盛信「ワシが武田晴信が五男、仁科盛信であーる」

1557年生まれの中年である。


 仁科盛政の養嗣子として森城主、高遠城主として勤めてきたが日本統一に伴い、海外に雄飛。

 奇妙寺の海外居留地を漫遊していたが、僧形となり、織田・マリ王国継承を受けた。


「アフリカは広い」

「うむ、もう1人いる」


バサッ、目深に被ったフードを祓うと、そこにか若い頃の信長がいた!

織田秀信「ワシが三法師こと、織田秀信であーる」


キリシタンでもあり、岐阜城主として勤めてきたが日本統一に伴い、海外に雄飛。

奇妙寺の海外居留地を漫遊していたが、僧形となり、織田・マリ王国継承を受けた。

1580年生まれの若輩者だ。


信長は奇妙寺僧形とはいえ、赤の他人に国を渡す程、お人好しではない。

 奇妙寺ゆかりの者で、尚且つ親等の近い者を選り抜き、予め王位承諾を打診していたのだ。


こうしてアフリカは3人の実行者による寡頭(かとう)政治体系により統治された。

各国に副王を置き、副王を三頭政治により支配するのだ。


支配者が3人、しかも2人はノブナガのクローンだという噂が広まった。

もちろん、当時にそんな技術は無い。


 だが見た目があまりにもそっくりであったために、超常的な神秘力が噂されて広まった。

迷信深い原住民の噂はあっという間に広まり、内戦、侵略は鎮圧されていった。


「ノブナガ様がヨミの国から帰還あそばされた……」

「粛正だ、いわんこっちゃない、くわばらくわばら」


なまじ本気で内戦に臨んだあまり、首謀者は根こそぎ逮捕され、粛正された。

6000人以上が逮捕され、すべてが斬首された。


情け容赦しない断罪はやはり戦国時代そのものだ。

逆らえば斬首、勲功(いさおし)を競えば異例の厚遇が得られるのも同じだ。


単純で分かりやすい、ノブナガ式独裁君主制である。

こうしてアフリカは天下布武により元の統治をとりもどした。


 数年後、アフリカ大陸は紆余曲折を経て、アフリカ合衆国USA(United States of AFRICA)となる。

大統領はいない、三頭政治による寡頭(かとう)政治である。

ついに、アフリカ全土が奇妙寺の手の内となったのだ。

次回は「1601年今川義元死す」です。

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