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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第12章(最終章)
158/169

1598年アフリカ(5/7)

日本では出来なかった産業革命を信長は遂にやってのけた。

これにより、農地を得るために熱帯雨林を焼いていた「焼畑農業」も消えた。


 かつて大人数家族を食わせる為には、次々と耕作地を広げなければ、食っていけなかった。

だが、長男以外の次男三男の通称「無駄飯喰らい」が出稼ぎに出れば、話は別だ。


全体で見れば、実際の食料自給率は実は釣り合っていたのだ。

保存の為の冷蔵庫がないため、当日作ったモノは翌日には腐って廃棄されていた。


都会には流通があり、保存の手段があり、統計に基づいた配給のシステムがある。

このシステムが過供給を防ぐのだが、帳簿操作で儲けることもできる。


信長「商品供給に専用工場を経由して帳簿が分かりにくい流通があるな」

調べてみると大量流通の過少申告で、利益操作と財務報告虚偽だった。

 信長は過剰供給で儲けようとしたダーシ・サバァというチェーン店を取り潰している。


食い扶持は都会に移り、自分達で自由に稼げばいい。

実家には跡継ぎの長男と老夫婦が残った。


 農民の次男三男……その他大勢は都会に出稼ぎに出て、労働力として工場で働いた。

アフリカを日本に作り替える……それが信長の意向であった。


工場では信長の日本式教育である。

朝のラジオ体操、朝礼、QCの特性要因(魚の骨)図などが取り入れられていた。


出稼ぎ農民同士は「御安全に」と挨拶を交わしていた。

かつては「無駄飯喰らい」と罵られた農民の次男三男……その他大勢は蘇った。


彼らもここでなら生きていける、そういう希望が生まれた。

そうなると猛烈に働き出した、働いた分、給料ももらえた。


 欧州からは、エコノミックアニマルだとか、お金が好きなおサルさんとか、揶揄された。

だがそれは封建社会というオリに気付かない南蛮人の自虐ともとれた。


北アフリカはオスマントルコの支配下にあり、戦線は休戦状態にあった。

奇妙寺同盟国と織田支配圏の国家は敵対している筈だった。


だが、現地人にしてみれば、地球の反対側の反目なんぞどうでも良かった。

日本人が「西洋人をひっくるめて南蛮人」と呼んだのと同じ格好だった。


アフリカ中央にひときわ大きな王国がある、コンゴ王国だ。

王位は世襲制だが、王族の子供らが勢力争いをして、実際の王を決めていた。


有力者は地方の酋長となり、貢祖(こうそ)の管理や通貨のタカラガイの徴収を一任された。

地方に副王を置くやりかたはフェリペ2世のスペイン統治と同じシステムだ。


信長はこのコンゴ王国も教化していった。

コンゴ南部のカタンガ州は鉱物資源が豊富で、ただちに開発に入った。


この辺は奇妙寺の北米開発システムを世襲する感じだ。

 原住民に土地とか鉱物資源の概念がないので、租借地として借り上げ、書類に×印を描かせた。


 金、銀、銅、スズ、鉛、亜鉛、タングステン、後にコバルト、ウランも発見される。

鉱山は信長の指示で、金銭を惜しまず、近代化鉱山を次々に開坑した。


特に銅鉱石は世界有数の資源国で、銅鉱石に含まれる金銀も相当量に上った。

もはや、タカラガイを通貨にしている場合ではなく、金貨銀貨が流通した。


 こうして流通が盛んになり、行商が発達し商業が出来ると、簿記と紙幣が必要になる。

重い財貨を伴っての行商は消え、商いは定地化して会社となる。


30年掛かって、西欧が進んできた経済進化を、コンゴは3年でやってのけた。

その急激な進化の歪みは当然現れ、それは多数の出稼ぎ就労を生み出した。


もの凄い数の就労者が、鉄道に鈴なりになって都市部に向かう。

 若者の消えた過疎の村落で老齢化が進む、どこかの……先進国みたいになってきた。


そこで信長は過疎地の農家の耕作放棄地を借り上げ、ゴム農園を立ち上げた。

なお象牙の輸出は禁輸とした、理由は信長の独断の理由「くだらん」である。


これでコンゴはゴムノキ(ブラジル原産)の巨大生産地となったのだ。

ちょうどゴムはタイヤ等の需要が爆発的に高まった時代でもあった。


地方も持ち直し、王都ンバンザ=コンゴは凄まじい勢いで発展した。

全ての利益は、信長の置いた統制官「弥助」の元に集められ、国庫に積み上がった。


それらは全て還元され、地元の農家に物資として入ってきた。

 近代的な農機具、化学肥料、潅漑水路、利子のない期限付き住宅ローン、流通経路、交通機関……。


 伐採木材の見立て、木造建築の作り方、田畑の土壌の仕組み、潅漑水路と排水勾配etc。

道具を与えて、実際に自分達でやらせて、実利を得させて、教化した。


だが正しい道は厳しく、愚かな道は優しく甘い。


原住民A「隣の村を襲って略奪した方が早くね?」

原住民B「ついでに略奪婚!」

原住民C「どーせ来年はこっちが襲われるんだし!」


信長は知っていた、日本で言う「乱妨取り・奴隷狩り・人身売買」だ。

隣の領土に押し入って略奪し、地元民を奴隷として売買していた。

田畑も「刈田・刈畠」といって全て奪い取っていた。


信長にも分かっていた、理想は遠く、現実はきびしいのだ。

信長「一度は通らねばならぬ道だ、だがそれを短くする事はできよう」

それを取り締まるのが、天下布武における懲罰という法律であった。

次回は1598年アフリカ(6/7)です。

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