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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第12章(最終章)
154/169

1598年アフリカ(1/7)

マリ王国はアフリカ中西部の国家である。

首都はトンブクトゥ、ニジェール川中流域のトゥアレグ族の都市である。

古代はアフリカ奥地の黒人と北アフリカのムスリム商人の交易地として栄えた。


 黄金郷の伝説があるが、実はトンブクトゥで金は算出しない、取引があっただけだ。

南部ブレとバンブクに金鉱があったが、それでおしまいであった。

50年ほどで掘り尽くして枯渇してしまった。


 13世紀から16世紀にかけては、激しい後継者争いと宿敵ソンガイ王国との外戦に明け暮れた。

マリ王国はソンガイ王国との一進一退の攻防を続けていた。


1591年、モロッコが隣国ソンガイ王国を滅亡させ、マリ王国に迫った。

1598年マリ王国はジェンネに侵攻し、モロッコ軍と激突した。

挿絵(By みてみん)

モロッコ軍はオスマン帝国の侵略を巧みな外交で退け、独立を守っていた。

外港を開き、大いに貿易を促進したので、近代化の風を受けていた。


その為、北アフリカ西域にしては軍隊は近代化の道を辿った。

 モロッコにとって、マリ王国はアフリカ中心部の蛮族の国、征服なんぞ一捻りの筈だった。


1598年、このジェンネ侵攻作戦に対抗して、マリ王国軍に信長は参画していた。

信長は丘陵地帯に陣を敷くよう命じた。


しかしこんなだだっ広い場所で布陣は悪手だ。

モロッコ騎馬軍団の格好の餌食である。


迷彩陣幕が十重二十重(とえはたえ)に張り巡らされ、馬の行軍を阻む。

アパートの屋上で洗濯物を干すような、めくらましの効果があった。


モロッコ軍「陣幕など騎馬で蹴散らしてくれる!」

騎馬が迷彩陣幕に近づいた瞬間!


幕の切れ目から、ライフル銃の一斉射撃が火を噴いた。

バーンッ、ババーン!


「うわっ」「ぎゃっ」「ひいっ」

騎馬軍団は次々と倒れていく。


モロッコ軍司令官「蛮族どもめ、銃の扱い方は熟知しているとみえる」

手旗信号で、司令官は騎馬軍団撤退を命じた。


モロッコ軍「騎馬軍団、後退せよ!」

「移動トーチカ前へ!」

 モロッコのサアド王朝は、オスマン帝国の西方進出をアルジュリアであしらっていた。

さらにアルカセル・キビールの戦いでポルトガルを退けた。


 若きポルトガル王はこの戦いで戦死し、スペインによるポルトガル併呑の遠因を作った。

モロッコのサアド王朝は、対ポルドガル戦の為に、キーミョウデールと連携した。


その技術が移動トーチカの開発であった。

マリ王国など、トーチカを出さずとも、ひと揉みで捻り潰す計画だった。


だが、銃撃とともに、信長がいるのでは最新兵器を出すしかない!

奇妙寺と信長の戦いが、奇しくも地球の反対側で始まったのである。


 2.1in(53mm)速射砲1基を搭載する移動トーチカは馬車での移動が可能なタイプである。

同口径の砲撃に耐えるように装甲されている。


これが何百台も粛々とマリ王国軍の陣幕に近づいてきた。

 裸に腰蓑、動物の皮を張った木製の盾、長槍とステレオタイプのマリの戦士たちが我先に逃げ出す。


もちろんコレはハッタリでコスプレである。

モロッコ軍司令官「ふっふっふっ、蹂躙せよ」


いやいや、さっき銃撃されとっただろうに、指揮官はもう有頂天だった。

逃げていくコスプレのオトリにまんまと引っ掛かって追撃する。

信長の陣幕が引き下ろされた。

そこに現れたのは75mm砲だった。


「出来るかどうかじゃない、やるんだよ」と信長。

誰も考えなかった75mm砲三段撃ちである。


「撃て」と信長。

ドカンドカンッ、ドカンドカンッ!


「どっひゃあっ」「ほげええっ」「あーらびゅーっ」

宙に舞うモロッコ兵や重火器。


1000丁ならぬ1000台の大砲の三段撃ちである。

勝てる道理がない。


75mm砲はオーストラリアからの直送品だ。

20隻の船団を組んで50回往復輸送した。


75mm砲の三段撃ちで、逃げ惑うモロッコ兵はもはや敵ではない。

信長率いるマリ王国軍の圧勝であった。


 「あなたこそ真の勇者です、第六天の魔王、織田信長殿!」とマリ国王マフムード4世。

「で、あるか」


あいかわらず信長は素っ気ない。

この戦いでモロッコ虎の子の近代化部隊は全滅、しばらくは侵略が沈静化した。


この75mm砲三段撃ちは「信長死(ノッブながし)の戦い」と恐れられた。

次回は1598年アフリカ(2/7)です。

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