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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第11章
141/169

1588年アルマダの戦い(4/8)プリマスの戦い

 7月31日。意気揚々イギリス海峡に近づいたスペイン艦隊を、イギリス軍はプリマスで待ち構えていた。

シドニア公「ううむ、読まれていたか」


プリマス上陸作戦は読まれていた。

陸路は封鎖され、防御陣地が設けられているだろう。


 シドニア公「海路でワイト島を攻略する!全艦、三日月陣形を取り、敵を押し包め!」

ドレーク「初手戦だ!無理をするな、手際をみるだけで良い!」


プリマスに集結したイギリス海軍は少数だ。

三日月陣形に取り込まれぬよう、浅く広く布陣した。


シドニア公「蹴散らしてくれる!」

 スペイン130隻vsイギリス軍70隻の海戦であったが、2時間の小競り合いに終わった。


 スペインの砲弾はイギリス船が小さすぎて当たらず、イギリスの砲弾はスペインの装甲に跳ね返された。

 双方が2000発以上をぶっ放したが、被弾したのはスペイン機帆船サン・マティンに前檣への2発だけだった。


ドレーク「脱出だ!脱出!」

シドニア公「おのれドレーク!今度こそ貴様を倒してやる!」


8月2日、123km東進したポートランド沖で再度会敵する。


 プリマスでの海戦から、イギリス軍の船速の速さに舌を巻いたスペイン軍は、敵前大回頭を仕掛けてきた。

丁字戦法である。


イギリス艦隊は、先頭前面を圧迫され、塞がれる格好となった。

船速が落ち、イギリス艦は転蛇して、圧迫から逃れようとする。


そこへスペイン海軍の総攻撃が襲いかかった。

魚雷が放たれ、大口径砲がぶっ放され、イギリス艦船は散々に叩かれた。


 辛うじて逆方向に転蛇した総旗艦アーク・ロイヤルに、やはり総旗艦サン・マルティンが偶然すれ違った。

 すれ違いざまの駄賃に、これでもかと双方が打ちかけて、メチャクチャな乱戦となった。


 戦闘は10時から15時まで続き、損害は双方に相当に出ていたが、沈没する艦船はいなかった。

 これは推進器や舵を狙う攻撃が無く、目の前の敵を狙うあまり、上甲板構造物に損害を与える事に注力した結果だ。


スペイン艦隊の装甲艦は、FaT魚雷、LuT魚雷少数を搭載している。

どちらも複雑なジャイロ装置を搭載し、反復運動で、外れても戻ってくる魚雷だ。


スペイン艦隊は丁字戦法でこれをほとんど使わなかった。

艦砲で打撃を与えたいという大艦巨砲主義に陥ったのかもしれない。


とにかく双方とも修理と補給のため、一時的に撤退する。

ドレーク「脱出だ!脱出!」

シドニア公「おのれドレーク!今度こそ貴様を倒してやる!」

イギリス軍はポーツマス、ワイト島へ、スペイン軍はカレー人工港に舵を切った。


 8月6日夜、補給のため、カレー人工港に寄港したスペイン艦隊を、イギリス追跡船が密かに追跡していた。

 カレー人工港の付近は浅瀬が多く、魚雷は使えなかった、その為にここが選ばれたというのもある。


ドレーク「火船を使った炎焼作戦で敵艦を焼尽し、大混乱に陥れるぞ!」

フランシス・ドレークはいかにも海賊らしい戦法を立案した。


 火船は爆弾ではなくテルミット反応を利用した時限発火装置付きのボートであった。

①2Al+Fe2O3→Al2O3+2Fe

②2Al+3CuO→Al2O3+3Cu


ここでは①アルミ粉末と酸化鉄の粉末を用いた酸化還元反応を利用した。

酸化還元反応のうち、還元反応を利用して、酸化鉄(III)を鉄に還元する。


この時にアルミ粉末は激しく燃焼し、超高温を発生する。

アルミ粉末はまずボールミルでフレークに砕く。

その後でビーズミルでパウダー粉末にするのだ。


5隻のボートに薬品が仕掛けられ、深夜2時にスペイン艦隊に近づく。


深夜で船員も兵士も寝静まっており、歩哨が夜廻りをしているだけだった。

 真っ黒にタールを塗ったボートが、真っ黒なタールみたいな海を、スペイン船に近づく。


ピトッ。

ひっついたが何も起こらない、時限信管なのだ。


そして午前2時。

シュワッシュワッシュワッシュワッ。


ひっついたボートから猛烈に火柱が上がる。

テルミット反応は3000度以上の炎を吹き上げて炎上した。


鉄の溶解温度は1500度強だ、装甲艦の装甲は溶け出した。

弾薬庫の熱センサーが自動探知して、注水が始まって艦は沈み始めた。


艦橋は大騒ぎである。

当直士官「おい、どうした、何が起こっている?」


技術士官「3000度の熱源が舷側に付着!炎上しています!」

そういった瞬間、火薬庫が誘爆した。


ドッカアア~ンッ!


巨大な火柱と共に装甲艦は木っ端微塵に吹き飛んでしまった。

 スペイン艦隊総旗艦「サン・マルティン」ではシドニア公がびっくりして飛び起きた!


「な、なんだっ!なにがいったい~っ!」

次々と夜の海に火柱が上がる、猛烈な火炎が夜空を焦がす。


「敵の夜襲です!」と伝令。

「なに、このカレー人工港でか?」


「魚雷ではありますまい、浅瀬が多すぎます」と艦長。

「ううむ、奇襲か?まだあるかもしれん、警戒を厳にせよ!」とシドニア公。


2度は効かないのが奇襲である。

この夜の攻撃はこの1度だけであった。

次回は1588年アルマダの戦い(5/8)クランベリーヌの戦いです。

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