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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第11章
134/169

1586年奥州仕置き(1/3)

伊達政宗は撤退した。


 二本松城は解放し、伊達輝宗は客分として武田軍預りとなり、甲斐東光寺に匿われた。

これは伊達政宗の家督継承の陰謀説(父親暗殺作戦)を警戒しての処置だった。


米沢・舘山城天守曲輪の寝所。

「あ~う~」

伊達政宗の症状は重い。2日間もうわごとを言っていた。

このまま死ん……。


ビシンッ。

政宗は突如として腹筋を使って跳ね起きた。

「軍勢はどうなっておるか?」

近習は唖然として突っ立っている。

「軍勢はどうなっておるか?」


「あ、はい。総崩れで舘山城へ向けて撤退中です」と近習。

「小十郎を呼んでくれ」


片倉景綱が呼ばれてやって来た。

「小十郎に御座ります」

「この舘山城へどう攻め込んで来ると思うか」

 「二本松より猪苗代湖沿岸を経て会津若松、会津若松より米沢へ至ると思われます」


「二本松街道と米沢街道を使うという事か」

「大軍ですから旧街道や脇街道は使わないでしょう」

「ふうむ」


伊達軍は誰も、武田軍の重火器や航空機と戦った事が無い。

奇策を見た事が無いのである。

1586年現在、武器兵站の地上兵器は、ほぼ日本全国同じであった。


今の今までは。


その夜、夜間警戒にあたっていた舘山城警備兵は夜空を見上げた。

ムギュ。

誰かが乗っかってきた。重い。

グサッ。あれ、俺、死んで……。


夜間降下突撃隊。

黒い落下傘に黒い突撃服、脚部防弾盾を装備した特殊戦闘突撃隊である。

吾妻連峰から飛来したグライダーから降下したので無音である。

次々と本丸曲輪に降り立つその数は20人。

目的はただ一つ、伊達政宗を拉致するのだ。


「何者だ!誰の許しを得て、グハッ」

「出会え!くせオフウッ」


「なんだ、騒々しい、小十郎、見てまいれ」と政宗。

「はっ、あれ、グウッ」と小十郎。

「どうし、グウッ」と政宗。

亜酸化窒素と吸入麻酔薬イソフルランの混合ガスを吸ったのだ。


ガスマスクを付けた特殊戦闘隊が雪崩れ込んできた。


「急げ!気道確保」

喉頭鏡で舌を押さえつつ、マギール鉗子で挿管する。

全身麻酔は呼吸が止まるので呼吸をサポートしながらの拉致である。


こうしてあっけなく政宗と小十郎は拉致されてしまった。

普通はこういう事は絶対に不可能である。

もし可能なら歴代の国主は、全員忍者に暗殺されている。


ただ武田軍の特殊戦闘隊の装備が振り切れているだけなのだ。


翌日の朝。


城内は大騒ぎである。

「御館さまはどちらに?」

「寝所にも厠にもいない」

「い、いったいどうしたんだ」


「どこにもいないぞ」

「どこにもだ」

「夜間の見張りが殺されてる……」

「まさか、まさか!」


搦め手(間道)も使われた形跡がない。

どこからも侵入した形跡がない。

あらゆる箇所に石灰を撒いてあるのだ。

触らずに侵入出来る筈がなかった。

ただ一つの例外を除いては。


一同は空を見上げた。

「まさか空から……」と近習。

「武田軍が空から奇襲を掛けたという話を聞いたことがある」

「1573年のことだ」

「野田城攻防戦だな」「聞いた事があるぞ」

「絵空事だと一笑に付したものだったが……」


だが事実、政宗と小十郎は舘山城から消えたのである。

次回は1586年奥州仕置き(2/3)です。

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