1583年関ヶ原(3/4)
織田軍団移動指揮所(本陣)
続々と足軽たちが帰ってきた。
10000人の遊撃隊の生存者は100人に届かなかった。
「まあ、こんなもんだ」と秀吉。
さっそく首検分が始まった。
だが……。
「浅信の首を持ってきました」足軽が槍の先に首を刺して持ってきた。
「浅信の胴体です」胴体を持ってきた者もいる。
「浅信の首を検分。浅信本人と確認致しました」と秀吉。
「うむ」と信長。
「清信の耳です」「清信の眼です」「清信の頭の上半分です」
清信の首は現場で取り合いになったらしい、バラバラになってしまったのだ。
「清信の首の部品を検分。清信本人と確認致しました」と秀吉。
「うむ」と信長。
その時、武田の陣地に動きがあった。
「武田軍団が退却を始めました!」と斥候。
「武田軍野戦陣地に砲撃の閃光を確認!着弾は12秒後」
「各自散開して自分の身を守れ」と信長。
ズッガアァア~ン、ビリビリビリッ。
ガンッガアァ~ン、バラバラバラッ。
「やれやれ倍返しというわけか」
「御館様、お急ぎください」
「指揮所移動開始せよ」
「どうやら野砲を捨てコマにして撤退する気です」と秀吉。
「この機を逃すな、野砲陣地に集中砲火!全軍突撃せよ!」と信長。
遂に信長の軍団は動き出した。
織田軍の120mm自走砲群が一斉に火を噴き、武田軍の殿軍に着弾する。
武田軍も105mm野戦砲で撃ち返すが、いかんせん威力が違い過ぎた。
武田軍野戦砲陣地は粉々に吹き飛んでしまった。沈黙である。
「進軍ドラム隊、前進!」
ダンダカダンッダンダカダンッ。
進軍ドラム隊の不気味なリズムが戦場に鳴り響く。
それに合わせて、戦列歩兵が横一列に並び、歩を揃えて前進してくる。
以前は突撃していたが7割が逃げてしまい、今のこの形に落ち着いたのだ。
逃げれば銃殺である、前進し敵を撃破しなければ、この先生きのこる道はない。
算を乱して逃げ惑う武田連合軍の殿に追い付いた!
120mm自走砲の着弾と同時に、織田軍突撃歩兵が、武田軍団を蹂躙し始めた。
大谷吉継「勝機は我らにあり!」
「鉄砲足軽は銃剣を装着せよ!」
大谷吉継「斬って斬って斬りまくれ!」
「武士団は抜刀せよ!」
大谷吉継は武勇に秀でた槍の名手だ。
だが近接戦だ、釣鐘切国行を抜刀した。
古き良き時代の肉弾戦も乱戦では有効だ。
逃げながら銃を構えて狙いを定めるのは至難の業である。
おまけに120mm自走砲の着弾の轟音と噴煙で、あたりは大混乱だ。
釣鐘切国行は存分にその威力を発揮した。
武田軍も、あわてて戦闘を開始するも、時すでに遅し。
逃げ戦は、実は武田軍は苦手である。
こうなると戦闘は一方的である。
逃げる武田軍団、追いすがる織田軍団。
敗走する武田軍団の中に逍遙軒、勝頼、信親、信之の姿があった。
「もうだめだ、おしまいだあ」と逍遙軒。
「信親、信之も覚悟は出来ておるか」と勝頼。
「はい、私たちも武士の子です」と2人。
敗走は関ヶ原を出て大垣に達した。
北条軍、今川軍は脱出に成功している。
三河の家康軍と甲斐武田軍がまだ残っていた。
「なんでワシはいつもこうなんだ?」と家康。
「ダイジョウブ、シンパイハイラナイヨ」と本多忠勝。
ズッシィィ~ンッ、バビュ~ンッ。
バックパックのメインエンジンが火を噴く。
巨躯を深く沈め、重装甲の本多忠勝は高く高く跳躍した。
「ジェットエルボー!」名槍「蜻蛉切」で敵突撃歩兵を一閃する。
ズガッドガッバキッ。
「はうあっ」「うほうっ」「はがっ」
一挙に3人の敵突撃歩兵を葬った。
さらに返す刀で3人をなぎ倒した。
本多忠勝の強さは異常値である。
徳川軍はなんとか脱出に成功した。
問題は甲斐武田軍である。
信繁は殿軍で奮戦していた。
信繁軍の将兵は500人、追いすがる織田軍突撃歩兵は2000人。
1人で4人を相手にする計算である。
前後左右から一斉に攻撃され、次々と切り伏せられていく。
「一歩も退くな、ここが肝心だ」と信繁。
「今日は死ぬには良い日だ」
「ここが破れたら本隊ぞ、踏ん張れ踏ん張るん……うぐう」
信繁の脇腹を銃弾が貫いた。
「こ、こ…こま…で……」
敵兵がワッとたかって首級を上げた。
殿を破られた武田軍団はもはや虫の息であった。
次回は1583年関ヶ原(4/4)です。