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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第10章
122/169

1581年ガリレオ来日

1581年。

17歳のガリレオは機上の人となっていた。

フィレンツェにある奇妙寺の私設飛行場を飛び立ったスティパ・カプロニCa.X。

日本までは50時間の空の旅である。


50時間!


ジャポンに行くには、かつて15ヶ月の過酷な船旅が必要だった。

だが航空機を使えばほぼ2日間で行ける!


このカプロニCa.Xは試作高高度輸送機である。

胴体がエンジンで、鯉のぼりに羽が生えたような格好であった。


与圧与熱キャビンを持ち、高度11000mでもこうして快適だ。

外は-50℃の極寒の世界だという……。


乗客席は20。乗客はガリレオを含め数人だった。

他はイタリア人の奇妙寺の僧形で、初めて日本本部参りをするのだという。

ガリレオも奇妙寺の数学者に会うのが楽しみだった。


イタリアのピサ大学は歴史の古い大学であり、それ故の古い(しがらみ)があった。

当時の学問はカトリックの学問である。


自然科学と工業は当時の宗教観に縛られていた。

物理や天文の研究はカトリックの世界観が反映されていた。


不自由だ。


イタリア検邪聖省の異端審問官は叫ぶ。

神を信じよ。

神に従え。

神に逆らうな。


ガリレオはケプラーの法則を信じていなかった。

アリストテレスが教化した考え方は、近世の曙でもまだ根強く残っていたのだ。


 だが「奇妙寺天体運動異見」という抄訳(しょうやく)をピサ大学の図書館で読んで考えが変わった。

日本での観測は明らかに天動説のそれに従った観測結果であった。


それはケプラーの法則に従っていた。

ケプラーは正しいのだ。


それから奇妙寺の海外での活躍がガリレオの耳にも入ってきた。

それはポルトガルがキーミョウデールに散々にやられたというニュースだった。


かれは奇妙寺に行ってみたくなった。

それにはまず、日本に行かなくてはならない。


奇妙寺フィレンツェ支部の門の前に立ったガリレオ。

 年寄りが変な帽子を被って指さしながら「Ti voglio」と言っているポスターが貼ってある。


取り次いだ奇妙寺の僧形は同国人であった。

ミラノ公国僧形「いらっしゃいませ」


「『奇妙寺もうで』というツアーに参加したいのですが」とガリレオ。

 「現在ですと「まだ間に合うGW!春バーゲン!カプロニCa.Xで行く50時間の旅、奇妙寺体験プラン」が御座います」


なんかうさんくさそうなタイトルが気になる……。

だが、初心者なのでコレに従うことにした。


「航空機とは、あのダヴィンチがやったという、グライダーのようなものかなあ」とガリレオ。

「ええ、まあ、乗れば分かりますよ。日本までは50時間掛かります」と僧形。


ガリレオ「ひょんげえぇぇっ!」

「50時間て、2日間じゃあないですか」


 「申し訳ございません、奇妙寺本部でもジェット機はまだ民生機にはございません」

ガリレオ「ひょんげえぇぇっ!」


 ジェット機が民生機になった暁には、25時間という恐ろしい短時間で日本に行けるという。

おいおい、日本-ミラノ間は9870kmあるんだぞ、地球の反対側じゃあないか!


圧倒的科学力、驚異的技術力、その差は一体どこでついたのだ?

私がいたパドヴァの大学は最高の学問を教える象牙の塔ではなかったのか?


絶対に奇妙寺に行かねばならぬ!

その末端にでも触れなければ、気が済まない!


「じゃあ、それで」

こうしてガリレオは機上の人となったのであった。

次回は1582年秀吉の乱です。

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