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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第2章
12/169

1400-1440年南蛮の技術003(ねじ転造+製釘機)

フライス盤登場です。

ねじ文化誕生のための転造機が登場します。

くぎを量産する為の製釘機も製作します。

その場合は、フライス盤で切削する。

 フライス(Fraise:蘭語)とは南蛮人が首のまわりに付けていた襞襟(ひだえり:ビラビラしたやつ)の事。


工作機械フライス盤は以下のような形状である。


水車小屋から動力を得て、ベルトドライブで駆動する事で動力を得る。

 刃物は固定された箇所でシュンシュンと回り続けている円柱状のものである(エンドミル)。

円周上に(ノミが連続で付いているみたいな)切れ刃の付いた円盤工具だ。

この形状がいかにも襞襟そっくりなので、フライスという名が付いている。

挿絵(By みてみん)

 X軸方向に動く水平台に、固定クランプで素材を固定する(場合によってはバイスを使う)。

 それに材料(加工物)を近づけたり遠ざけたりして、加減しながら切削加工するのだ。

切削方向はX軸方向だけで、Y方向はスペーサーで微調整した。

ハケでチョイチョイとショウユ油を塗って、焼け付きを防止しながら切削する。

切り屑は手帚の刷毛でこそぎ落とす感じで取っ払う。


変速はベルトドライブの掛け替えで行う。


これがフライス第1号機の概要である。


 これにXYZ軸を移動させるハンドルが付いていて、それを回して台に固定した材料ごと移動させるようになった。

 さらに自動送りの追加機器が付いたり、割り出し台を付けて歯切りを行う方向にどんどん進化していった。

 また切削剤もショウユ油から水溶性切削油(乳白色(エマルジョンタイプ))になり、冷却性を追うようになる。

最初は横フライスしかなかったが、縦フライス盤も現れる。


 こうして木材にノミで四角い穴を空けるようにして、鉄材にも同様の加工が出来るようになった。

平面、段差、側面、ポケット、ミゾ加工と数え出したらキリがない。


松戸彩円はとうとう旋盤とフライス盤を手にしたのだ。


こうしてねじは旋盤で作られるようになったが、まだまだ量産には向いていない。


大工棟梁「こんなモン作られても使えねえなあ」


莫斯利「ぬっ!」

彩円「やめろっ、熱くなるな」

莫斯利「キリキリキリ……」


さっそく使ってもらおうと思ったが、断られてしまった、

旋盤で作ったねじは、クギのように尖り先ではなく均一直径だった。

つまりクギのような固着具ではなく、締結具なので下穴が必要だった。


木造建築技術者が求める、クギに代わる固着具としては能力不足だったのだ。

 必要な機械要素は、尖り先までねじの付いたセルフタッピングねじ(いわゆる木ねじ)である。

挿絵(By みてみん)

キリやドリルで下穴加工しない、ねじ回しだけで押し込めば締結出来るねじである。

莫斯利「ぐぬぬ……」


松戸彩円は頭を抱えた。

莫斯利は空を仰いだ。


彩円「これは旋盤では作れない」

莫斯利「いや冶具さえ「かませ」られれば作れる」

「だが手間が掛かり過ぎる」

そこで転造という技術が求められるようになった。


木型で楽しく遊んでいる僧形。

香玲という僧形がそれに挑んだ。

「粘土に型を押し付けるように……」

彼は両手で粘土をギューッと揉み込んだ。


フライス盤で木型を試作してみる。

粘土の丸棒を通してみれば、ねじが簡単にできた。

しかし粘土なのでポテッとちぎれてしまった。

床に落っこってグニャリとなった粘土ねじ。


「あ~、そりゃあ~そうだ~」と香玲。

「では鋼製の金型で銅の中実丸棒をギューッって通したらどうかな?」


転造は、転造ダイスという工具で中実丸棒を塑性加工する技術だ。

谷ねじを平面に切って、そこに丸棒を送り込む。

 丸棒の表面に谷ねじがギューッともの凄い力で押し付けられて山ねじの山が出来る。


転造ダイスはフライス盤で精密加工で製造する。


まずは手動で動く装置を作ってやり取りの順番を確認した。

送る-掴む-押し付ける‐可動側ダイスを移動させる-ネジ山が出来る-はずす

これを手動から水力に切り替える。


専用の水車からこの転造装置1台の為に動力が用意された。


さっそく、香玲自身が引いた図面の通りの部品が出来てきた。

組み立ては香玲自身しかわからない。

何やら流しそうめんみたいな機械が出来てきた。


とにかく異常な複雑さである。


挿絵(By みてみん)

ガッシャコンッ、ガッシャコンッ。

毎秒2本、3本.4本……。

ガッシャッ、ガッシャッ。

毎秒8本、9本、10本……。

カシャッ、カシャッ.

毎秒15本、16本、17本……。

シャカシャカシャカ。

目にも止まらぬ速さでねじが転造され始めた。

挿絵(By みてみん)

転造速度は毎分1500本が最高である(毎秒25本)。

1時間で9万本、1日7時間で63万本、1ヶ月で1890万本……。

これが1台のねじ転造機械の月産本数だから、10台そろえば1億8900万本。

 これによって量産が可能になり、様々な分野でねじが締結に使われるようになった。

ねじ文化の誕生だ。


転造のメリット

ファイバーフロー(繊維状金属組織)が切断されない。

塑性変形によって塑性硬化が期待できる。

押し付けるだけの加工なので切削加工のように切り屑が出ない。


転造のデメリット

多品種少量生産には向かない。

押し付ける力が強大でなければねじ転造が出来ない。


松戸彩円は抜け目なく釘の大量生産にも着手した、

大工の棟梁に莫大な量の釘をプレゼントしてやる。


香玲「釘の製造工程を分析しました」

「①~⑥工程に分けた単工程で大量生産します」

莫斯利「ふ-ん、ほうほう、なるほど、やるなぁ」


それは釘生産に特化した製釘(せいてい)機の図面であった。

図面を見ながら、その通りに部品を製作した。

香玲自身が組み立てる。

なにやら異常にややこしい機械が完成した。


釘の太さ直径3mmの軟鋼線材を300mぐらい用意する。

製釘機にかける。

曲がり癖を直す上下左右のローラーの間を通る。

製釘機の工程は次のような順序である。

①頭の部分を出す

②プレスが頭の成形をする

挿絵(By みてみん)

③釘の頭の部分を成型完了

④釘の全長が飛び出す

挿絵(By みてみん)

⑤ダイスが釘の尖り先をつぶして成形する

挿絵(By みてみん)

⑥接続部分をカッターが叩き折る

挿絵(By みてみん)

出来た釘は下皿に落ちる。


①~⑥を1秒に5回の割合で繰り返す。

1時間で18000本(300m)、1日8時間稼働で14万4000本(2400m)の釘が出来る。


ドサッ。

100万本の釘を大工の棟梁の目の前に積み上げた。

「お釣りはいらないよ!」


棟梁は茫然自失であった。

量産のために製鉄の方法も変わります。

次回は反射炉、高炉を製作します。

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