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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第9章
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1573年危地脱出

羽柴秀吉、裏切り!

信長と光秀は行方不明!


清信「戒厳令を敷き、関所は厳重監視!」

信繁「堺の軍港の関所は特に警戒せよ!」


 「ただちに素っ破を放って、街道筋、脇道から登山路まで徹底的に捜せ!」と清信。

「九州の豊後国主の大友義鎮を頼ったのではありませんか」と信繁。


「ううむ、ありえるな」と清信。

「直ちに素っ破を放て」


精神汚染に陥った浅信は薬物で昏々と眠り続けている。

緊急で信繁が副司令官代理を務めていた。


昨日の今日では遠くまで行けない筈だ。

本能寺の変で捕らえた弥助からは何も聞き出せなかった。


腰に大事そうに抱えていた白い包みの中身はメロンであった。

「ヨク熟シテイテ、オイシイデス」


陽動作戦に引っ掛かって、いらぬ遅れを出したものだ。

今日こそは探し出す!絶対にだ!

深夜の堺軍港。

そのとあるバース(桟橋)から小舟が漕ぎだした。

ギイッギイッ。


手漕ぎの子舟には信長、光秀が乗っていた。


関所では信長と光秀のコスプレをして咎められていた。

これは光秀の策略であった。


関所役人「変装をはがしてみよ」

顔のラテックスを鉱物油で溶かしてはがすと、まったくの別人。


ただの町人である。


関所役人「まったくこんな時に、よりによってこれかよ」

変装信長「こんな時?何かあったので御座いますか?」


関所役人はギクッとした。

信長を取り逃がしたのは極秘情報である。


関所役人「なんでもない!行け!行っていいぞ」

変装信長「へ~い」

そうして、その場を上手く通り抜けたのだ。

信長は町人に変装し、さらに信長に二重変装していた。


その二重メーキャップ、別人の顔にだまされたのだ。。

変装信長「なんかコレ、面白いな」


今はその別の顔のメーキャップを取って、信長と光秀に戻っている。

ウラのウラをかけば、人は疑わないのである。


信長は、光秀のこの策略に舌を巻いた。

まあ、オレはこういうヒトを見透かすような所が気にくわなかったのだが……。


やがて2人は、沖に停泊していた南蛮船らしき船影に乗り込んだ。

それは村上水軍のスクーナー機帆船であった。


光秀は常に1隻だけ信長遊弋専用船を待機させてあった。

万が一を考える光秀のこういう態度も、信長は嫌いだった。


万が一などない、負ければ自刃あるのみ!

いさぎよい自刃こそ……。


……、古いのか?


オレのほうが古いのだろうか?

光秀なんぞより「切れる」と自負していたオレは?


旧態依然、古色歴然な体勢を嫌っていたオレこそが……。

船上の人となった信長と光秀。

ここまでくれば、もはや安全である。


「大友義鎮を頼りますか」と光秀。

大友義鎮氏は信長とよしみのある九州の戦国大名である。


「うむ」と信長。

信長は歯切れが悪かった。


海外逃亡はどうだろうか?

だがマラッカ、フィリピンは既に奇妙寺の配下にある。


そこを突破してもアラビア海、インド洋には奇妙寺の息が掛かっている。

インドには行っても奇妙寺僧形が王族の家庭教師の任に付いている。


新大陸は?

北米大陸も南米大陸も奇妙寺の支配下だ。


信長は知らなかったが、ハワイに要塞を建設中であった。

行けば道中で捕縛されていただろう。


八方塞がりだ……。

やはり国内しかない。


大友義鎮はキリシタン大名であった。

匿ってくれるかもしれない。


だが武田軍の素っ破の手が回っているかもしれない。

長宗我部元親はどうか、いや琉球国か、そう見せかけて蝦夷の国という手もある。


船は大阪湾から紀伊水道を経て、太平洋へと出た。

こうして信長は歴史の表舞台から消えた。


だが彼がこの後の余生を九州でのんびりと過ごすとは思えない。

光秀はもう九州で余生を過ごそうと考えていたが。


海へ出てしまった機帆船はどこへともなく姿を消した。

その後、素っ破たちが必死に探したが、どの港にも入港した気配はない。

大友義鎮を頼るかもしれないと素っ破が張り付いたが、音沙汰はなかった。


いかなる痕跡も残さず、信長と光秀は国内からその姿を消したのである。


一方、浅信は錯乱していた。


「秀吉様!」

「了解です、いますぐに……」と浅信。


「浅信!しっかりせい!」と清信。

「浅信お兄ちゃん!」と信親。


信親は陣僧として従軍して来たのだ。


<浅信おにいさま。精神が暴れています。押さえつけますよ>

精神感応で信親が浅信に伝えた。


巨大な手のイメージが浅信の脳を押さえつける!

<ガシッ>


「うっくう」と浅信。

「おお、気が付いたようだ」と清信。


「あれ、私は秀吉の精神構造を見ようと彼の頭の中に……」

「う~ん」

……。

……。


それから浅信は語り始めた。

秀吉は超常の人ではなかった。


彼は超常獣だったのだ。


普通、超常は人に憑き、超常の人となる。

しかし稀に制御出来ない超常の能力を越える人間が存在する。


秀吉は通称「人たらし」などと呼ばれる異能者である。

それは彼が超常の読心術を獣のようなカンとして無意識に使った結果だった。


 彼はそれを思い通りに使いこなしているのではなく、獣のように襲い掛かるだけだ。


畏怖と恐怖、それだけが襲い掛かってくる。

浅信は超常の人ゆえに激しく感応してしまった。


秀吉はおそらく死ぬまで自分の能力に気付かない。

しかしそれは浅信の能力を遥かに上回るだろう。


唯一の解決策は浅信が秀吉に近づかぬ事だった。

秀吉の強力な超常の力に気付かせてはならないのだ。

次回は1573年京都上洛です。

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