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Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す  作者: 登録情報はありません
第9章
103/169

1573年超将織田信長(旧題清信被弾)

超将織田信長登場。

織田信長はキヨス要塞地下司令部のさらに地下、超将室で黙考していた。

バックライト投影机には世界地図が貼り付けてある。


そこには奇妙寺の版図とキーミョウデールの影響下にある国が投影されている。

それは全世界の3分の1に(なんな)んとしていた。


信長は独自の情報網から、奇妙寺が新大陸で南蛮人の侵略を撃破したのを知った。

それはスペイン国人であることも分かった。


奇妙寺がマラッカ王国に支援して、南蛮人の侵略を撃破したのを知った。

それはポルトガル国人であることも分かった。


今、イギリス国人もオランダ国人も日本に来ている。

南蛮とはどうやら複数の国家の別称のようである。


だが、解せぬのは奇妙寺の仕業である。

一介の寺が版図を広げている。


一体どうなっているんだ?

甲斐国の寺の和尚ごときがどうしてそこまで出来るのだ?


ワシがやるとしたら、どうやったら出来るのだ?

超将信長の頭脳は猛烈に冴え渡った。


宿敵武田軍の最新兵器は喉から手が出るほど欲しかった。

だが、宿敵武田軍に武器と物資の供給を頼るわけにはいかない。

そこで目を付けたのが堺の港とその街周辺の工廠である。


ここで時系列は少し過去に遡る。


 信長は将軍足利義昭を奉じて上洛し、その報償として副将軍か畿内5カ国の統治を求められた。

信長は、それを断り、草津、大津、そして堺に代官を置く許可を得た。

堺こそは宿敵武田軍を上回る近代兵器を蓄える鍵であったのだ。


堺は古くから金属産業で栄えてきた。

鉄砲鍛冶や刀鍛冶が多く住み着き、一大軍需産業都市を成してきた。


そして勿論、畿内の南蛮貿易の中心地でもあり、輸入武器の集積場でもあった。

南蛮との交易で、堺は莫大な利益を得ていたのだ。


当時、遣明船の航海1回1隻当たりの純益は17000-25000貫文であった。

中央値は21000貫文である。

これは戦国大名5万石の年貢収入(約4割)にあたる。


つまり航海1回1隻で戦国大名5万石の年収に相当する収入があったという事だ。

信長が吸い上げる堺からの利益は、恐るべきモノだった。


 信長は早速、明国やインドの技術者を招いて製鉄所の知識を得た。

そして、あっさりと銑鋼一貫製鉄所建設を決定した。

「で、あるか」その一言であった。


ただちに駿河の銑鋼一貫製鉄所に匹敵する巨大プランが立ち上がった。

費用は現代の価格で1兆円で、それをポンと現金で支払った。


文字どおり金塊で支払ったのだ。

これには、堺の商人も南蛮の商人もぶったまげである。


堺の港に連なる湾岸施設に銑鋼一貫製鉄所の建設が決まった。

高炉を建設する為の材料集めが始まった。


尾張国+美濃国+伊勢国(現愛知県+岐阜県+三重県)は粘土の産地だ。

すぐに蛙目粘土や本節粘土を焼結、シャモットとし、耐火レンガが作られた。


アルミナは融点2072℃、沸点2977℃のバケモノである。

これを含んだ粘土群は高炉の建設に使われた。


 高炉+軽炉+連続鋳造+半製品+再加熱+熱間圧延+冷間圧延のラインが出来上がった。

連続鋳造を可能にする電磁ブレーキも開発された。


電磁ブレーキは滴り落ちる銑鉄の速度を抑えて連続工程の速度に合わせる画期的発明である。

これは甲斐駿河の銑鋼一貫製鉄所には無かった最新技術であった。


 こうしてビレット+ブルーム等、あらゆる半製品が、堺の工廠の作業場に積み上げられた。


生産も、もはや手作業ではない。

旋盤も、フライス盤も、中ぐり盤も、すべてが機械加工である。

特に面板が8mもある超大型正面旋盤は圧巻で、もはや金属のバケモノであった。


インド人技術者「コレデ120トンクラスノセッサクガデキマス」

織田信長「で、あるか」


NC機械は紙テープによる連続加工が可能だ。

縦型フライスはコラムは門型で、3軸マシニングセンタに進化している。


もはや不夜城と化した堺軍港。

いつのまにか軍港の名を冠した堺の町。


織田軍の兵器開発部。その工廠は堺軍港に建設された。

昼夜を問わず、実験と研究が続けられている。


マラッカ王国に1500年代初期に武田軍が寄与した工作機械。

 それを強奪サルベージし、織田軍配下の堺港に陸揚げして兵器開発に100%活用した。


また海路でサルベージした30㎜リボルバーキャノン、75mm速射砲を独自に分析。

コピーして45mm、105mmにボアアップし、強化している。


 <フィリピン対南蛮要塞「ハクバ」は現在稼働中であり。噴進弾資料は未見である>

これだけは秘匿兵器であり、信長の力を持ってしても触れる事さえできなかった。


こうして、遂に最新兵器を双方が持つに至った。

結果、騎馬戦や生身の人間による突撃は消滅した。

そして登場したのが塹壕戦だった。


双方の塹壕陣地の間に、進軍を阻む鉄条網があり、機関銃陣地で突撃を阻む。


武田軍の塹壕はコンクリートで補強され、「塹壕ホテル」と呼ばれた。

 織田軍の塹壕はむき出しの土壌を掘削しただけの溝であり、「塹壕足」の地獄と呼ばれた。


信長の黙考を妨げたのはチーンというエレベーターの到着音だった。

秘密エレベーターから降りてきたのは秀吉と弥助だった。


秀吉「緊急にて申し訳御座いません」

弥助「メロン、モッテキマシタ」


秀吉「敵司令官の所在を確認しました」

弥助「メロン、ドウゾ」


一方、武田軍移動司令部装甲車内では清信と浅信が黙考していた。

織田軍の最新兵器は恐るべきモノだった。


「こういう結果になる事は分かっていた」と清信。

遅かれ早かれ、敵も技術で追い付いてくる。


永遠に技術+知識チートで有利では有り得ない。

だからこそ西上作戦を急いだのだが……間に合わなかった。


素っ破の報告によれば、航空機の開発はまだだという。

開発に着手、あるいは成功していれば隠していても分かる。


それは航空燃料精製施設の存在だ。

織田軍はそれをまだ持っていない。


だが、地上兵器では用心しなければならない。

清信「長距離砲撃に用心するか……」

浅信「各部隊に連絡!敵長距離砲砲撃に備え、分散せよ」


織田軍の秘匿兵器が存在するならば……。

我々の兵器をコピーしたのならば……。


そう思った時だった。


ヒュゥ~ウゥ~ンッ、ドッガァアァ~ン!!


突然の閃光と耳を聾する爆発音。


耳がキイ~ンと鳴って何も聞こえない。


近習達が……。


暗転。


真っ暗闇……。


誰かが……。




晴信が立っていた。

清信は横たわっている。


晴信は無言だった。

清信も無言だった。





どれくらいの時間が経過したのか……。


<兄上えぇ~ぇ……>

<兄上!>

それは浅信の声だった。


いや声ではない。

精信感応だ!

清信ははっと目を覚ました。

そこは野戦病院の病室だった。


「ここは……」と清信。


「目を覚まされました」と看護人。

「なんだ、真っ暗だぞ」と清信。


「全身に大けがを負ったのです」


「眼球は無事ですが、眼輪筋眼瞼部断絶で50針縫いました」

「目は抜糸まで開けられませんよ」


数日後。


「おにいさま」と信親。

「おう、信親か」と清信。


信親が見舞いに来たのだった。


彼が語った顛末はこうだった。


 「織田軍の秘匿兵器、240mm列車砲が発射した榴弾が、移動司令部司令車を直撃しました」

「浅信様は無傷でしたが、清信様(つまり兄上)は相当な重傷です」

「今後、前線司令部は、各陣地のトーチカを移動しながら、軍議を行います」

「今後は、移動司令部の車種は標的にされますので、ダミー車をデコイとします」


「うむ」

清信は考えた。


言ってるそばから被弾するとは、我ながらふがいない事だ。

我々が出来る事は敵も出来るのだ。

急がねばならない。


「浅信を呼んでくれ」

次回は1573年清州城要塞です。

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