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リブとエリック

「なぁ、あれってさ、ドラゴンか?」

「うん。正確にはワイバーンって呼ばれる生き物だけどね。人間と共存できるタイプのドラゴンでよく移動や、荷物運びに使われてるんだよ」

 リブが説明してくれた。ドラゴンは他にも種類がいるようである。どんな種類がいるのだろうか

「お兄ちゃん、ドラゴンがいることも忘れちゃったのか......もはや、覚えていることの方が少なそう」

「あははは......」

 エリックの指摘に思わず俺は愛想笑いをした。この世界で覚えていることなんて何一つない。というか、この世界の住人ではないのだから。

 俺は山を見ると、高くそびえ立つ白いお城が目に入った。遠くにあるのだがかなり大きく立派なお城であることが分かった。

「なぁ、あれが王城か?」

 俺はお城を指差した。

「はい、お兄様。あちらが私たちがかつてお勤めしているお城、ハンヂーラ城です」

 グレシアがお城の名前を言ってくれた。ハンヂーラ城か。さぞやど偉い王様が住んでいるのだろう。

「へぇ......俺はあそこで何をして働いてたんだ?」

「上級兵士として、お城の防衛をしていました。お兄様はとても強い兵士として城内で噂になっておりました。三ヶ月ほど前に冒険者に転職しましたけどね。お城の方々は皆さんそれはそれは残念そうでしたよ」

「そうなのか。俺が......」

 レインという男はかなりの手練れの兵士だったようである。自慢じゃないが元の世界の俺は武道はおろかスポーツもまともに取り組んだことがない。

「あっ! 肉屋があったよ! まずはあそこに行こう!」

 フレアが肉屋を見つけるとすぐに駆け出した。

「ちょっとフレア、お待ちなさい!」

 グレシアがフレアを追って走り出した。俺は二人を追おうと思ったのだが、いつのまにかリブとエリックは別のお店を見ていた。

「おいエリック、何をしてるんだ!」

 俺はエリックの元へ移動した。

「あ、お兄ちゃん。ちょっとギター見てた」

 エリックが見ているお店は楽器屋だった。手には大きなギターを持っていた。壁や棚に色んな種類の楽器が並んでいた。

「楽器屋か......この世界にもあるんだな」

 ポツリと俺は呟いた。エリックには聞かれなかったようだ。

 ギターが存在する世界なので楽器屋くらいあってもおかしくはないか。

「店長さんちょっと試し弾きしたいんだけど。いい?」 

 エリックはガタイのいい、黒いスリーブを着たヒゲの生えた店長に訊いた。

「ええ。どうぞ」

「店長さん、ありがとう」

 すると、エリックはジャガジャガジャガと前奏を弾き始めた。

「四つの色はーそれぞれ輝く。赤、青、黄、緑それぞれがー意味を持ちー」

 なんか歌詞まで歌い出した。それにしても、やはり演奏が上手い。

「虹に変わるーそーレインボーそーレインボー永遠に輝く。虹はビューディフォーマジでベリーグード」

 歌詞の意味は良く分からないが。

 演奏が終わるといつのまにか人が集まっていた。

 パチパチパチという拍手の音が聞こえて着た。

「いやぁ、お嬢ちゃん演奏上手いねぇ」

「えへへへへ、そんなことでもありますけど」

 褒められていい気分なのかエリックはニヤついていた。

「どうだい? このギター買っていかないかい? 普通は銀貨十五枚だけど特別に銀貨十枚で売ってあげるよ」

 すると、エリックが俺の方をみた。

「お兄ちゃん、買ってくれない?」

 あざとい顔をして頼んできた。結構可愛い......しかし、俺は今、お金を持っていない。

「悪い。今、お金持ってない......ってか俺、どこにお金置いてるんだ?」

 エリックに俺の所持金の場所を尋ねた。

「店長さん。また後で買いに行きますね」

店長さん。また後で買いに行きますね」

 エリックは店長にギターを返した。

「お前、俺のお金をネコババする気じゃあるまいな?」

 まぁ、俺の金って言う訳ではないかもしれないが。

 俺とエリックはリブがいるお店に向かった。リブは楽しそうにランプのようなものを手に持ち興味津々に眺めていた。

「リブ。何してるんだ?」

 俺は夢中になっているリブに話しかけた。

「あ! 兄貴、エリック。ちょっとマジックアイテムを見てたんだ」

 そう言い、リブは金色のランプを俺たちに見せてきた。

「ふーん......ただのランプにしか見えないけど」

 興味なさそうにエリックは呟いた。すると、リブはムッとした顔になった。

「そんなことないし! 見ていて、このランプに魔力を注ぎ込むとね......」

 リブは目を瞑った。手に持っていたランプは輝き始めた。

「アクティベイト!」

 リブがそう言うと、緑色の煙がランプから出てきた。果物のようなとてもいい匂いが鼻に入ってきた。嗅いでいると気分が安らいできた。

「どう?」

 ドヤ顔でリブが訊いてきた。

「ああ、いい香りがした」

「でしょでしょ? このランプに魔力をすすぎ込めることでその人に最適な匂いを作り出すことができるの」

「でもさ、これ何に役に立つの?」

「はー分かってないなぁエリックは。戦いの前に精神統一ができるでしょ? これで負けることはないはずだよ!」

 負けるはずはないは絶対に言い過ぎだと思ったが、まぁそういうのは野暮というものだ。黙っておこう。

「ふーん......精神統一したいならうちはギター弾くけどね」

「エリックのギターはうるさいからこれからはこれを使った方がみんなも助かるはずだよ」

「な、何だと! うちのギターがうるさいだって」

「うん。兄貴もそう思うよね?」

 リブが同意を求めてきた。なぜ俺に振ってくる。というかこの二人、中が悪いのだろうか。

「お、俺はそう思わないよ」

「そっか。なら、確かめてみようか......ウィップライディテクター」

リブの掌から蔓が出てきた。

「またそれかよ......」

 俺は思わず溜息をついた。


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