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愛すべき我が妹達へ

 目を覚ますと、俺はベッドの中にいた。

「お兄様、大丈夫でしたか?」

 グレシアが心配そうに俺にことを見ていた。他の三人も心配そうに見つめている。

「なぁ、俺どうやってここまで帰って来たんだ?」

 迷宮の森で気を失ってからの記憶が全くない。

「アレスさんが家まで運んで来たんです」

 俺と別れた後、様子を見にきてくれたのか、後でお礼を言わないとな。

「お兄さん、心配したんだよ! ひどいじゃん! 勝手に一人で行っちゃってさ」

「ふ、フレアすまなかった」

「本当、うちらの気持ちを考えなさすぎだよ」

「悪かった、エリック」

「バカ兄貴。そのまま死んじゃえば良かったのに」

「お、お前は酷いこというなぁ......だけど、ごめんな」

 死ねと言ってきたリブだが、よく見ると目が腫れていた。

「お兄様......」

 グレシアが顔を俺に近づくると、

「バカァ!」

 思いっきり俺の頬にビンタしてきた。他の三人はグレシアの行動に驚いたのか、口をポカーンと開けていた。

「お兄様は大バカ者です! 勝手なことして、心配かけて......もっと私たちのことを信頼してくれてもいいじゃないですか......」

 グレシアが泣き始めた。俺はグレシアに寄り添い、抱きしめ、

「悪かった。俺が悪かったよ......」

 謝罪した。

「お、お兄様。苦しいので離してください」

「ああ」 

 グレシアの頰が赤色に染まっていた。

「なぁ、みんな。俺、やりたいこと......いや、やらならなきゃいけないことができたんだ」

「なんですか? お兄様」

「なんなの? お兄さん」

「なに? お兄ちゃん」

「なにさ? 兄貴」

 この世界で出会った四人の妹達は同時に訊いた。




 それからおよそ一週間後、俺たちはギルドハウスへ向かった。

「みんな、そっちの掲示板のクエストの内容を見てくれ。俺はあっちの掲示板を見るから」

「分かりました」

 俺は掲示板の前に立ち、一つ一つ、クエストの内容を確かめていった。

「おー、剛。今日もクエストか?」

 アレスが話しかけてきた。アレスの後ろにはシリウスが立っていた。

「まぁな。もっともっと強くならないといけないからな」

「頑張るねー。もう呪いは解けたんだろう?」

「ああ、でも俺は魔王を倒したいからな」

 そう言うと、アレスは複雑そうな顔をした。

「それにしても、アリスさんがなぁ......」

 四日前、アリスとシリウスに俺を家まで運んでくれたことにお礼をしに行った際、アリスが魔王だと言うのを伝えた。

「アレス様。そろそろダンジョンに行きましょう」

「ん? そうだな」

「あの、レインさん」

 シリウスがモジモジと恥ずかしそうな様子で話しかけて来た。

「なんだ?」

「約束守ってくれてありがとうございます」

 シリウスから笑顔でお礼を言われた。

「どういたしまして」

「それではクエスト頑張ってください」

「じゃーな、レイン。そっちもクエスト頑張れよ」

「ああ」

 二人はギルドハウスから出て行った。

「お兄さーん! こんな依頼があったけど、どう?」

 依頼書を握りしめたフレアが俺のところへ駆け寄って来た。

「えーと、何々? アムンビラマウンテンに棲みつく、ペガサスの討伐。難易度はSか。いいかもな」

「よっしゃ! それじゃ、早速行こう!」

 フレアはなんだか張り切っていた。

「私もテンションが上がって来たー!」

 ジャンジャンジャンとエリックがはギターを弾き始めた。

「おー! エリックちゃんの演奏だ!」

「久々に聴きたいぞー!」

 他の冒険者からそんな声が聞こえて来た。

「よーし! みんなー! 久々に弾いてあげるねー!」

「こら! エリック、今はクエスト先よ! 終わってからにしなさい!」

「えー、つれないなぁ......」

 グレシアはエリックが演奏するのを諫めた。

「いっちょ、ペガサスを討伐しに行ってやりますか。兄貴、見てなよ。うちの新魔法」

 リブが自信ありげにサムズアップしてきた。

「自身がありそうだな」

「まぁね」

 フッと笑いドヤ顔を俺にしてきた。

 全くこの妹達は——本当に最高だ。



 魔王を倒し、俺は元の世界に戻りたい——あの時、俺はみんなにそう打ち明けた。

 俺の正体を知った四人はとても驚き、戸惑っていたがやがて受け入れてくれた。

 どれくらい時間がかかるのか、分からないがそれでもいつか魔王を倒してみせる。

 そう胸に秘め、強くなるため今日も俺は大好きな妹達とともにクエストに挑むのだった。



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