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いざ決戦へ

 アリスと会った次の日、いよいよ今日はヤサカとの対戦の日である。

 俺は早めに起きて、妹達のために朝食の準備を行った。

「あはようございます。お兄様」

「おはようグレシア」

 寝巻き姿のグレシアがリビングにやって来た。

「すみません、お兄様。わざわざ朝食の準備をさせてしまって。私も手伝います」

「いや、いいんだ。俺がやりたくてやってることだしな。というか俺にやらせてくれ。お願いだ」

「分かりました。それじゃ、お言葉に甘えてお願いします」

 グレシアは椅子に腰掛けを掛けた。

「おはよーお兄さん、早いね」

「お兄ちゃん、おはよう。なんか美味しそうな匂いがする!」

 フレアとエリックもグレシアと同様、寝巻き姿でリビングにやってきた。

「おはよう。エリック、フレア。もう少しで朝食完成するからな、もうちょっと待っていくれ」

 グツグツと鍋が音を立て始めた。今作っているのはシチューである。

「兄貴、おはよう」

「おはよう、リブ」

 リブは寝巻き姿ではなく、クエストに挑む時に来ている緑色のローブを着用していた。

 お皿にお米、シチューをよそい、食卓に持っていった、

 全員分の皿を置き終えた俺は最後にシチューの入った鍋を食卓に真ん中に置き、椅子に座った。

「よし、それじゃみんな食べるか。いただきます」

 妹達もいただきますをして、朝食を食べ始めた。

「お兄ちゃん、ついに今日だね!」

 エリックが張り切った様子である。

「そうだな。あいつを倒して、呪いを解かないとな」

「私たちなら絶対に勝てるよ! それに、アレスさんとシリウスもいるしね!」

 フレアが自信ありげに言った。

 フレアの言う通り、全員で戦えば何とか倒せると俺も考えている。

「兄貴も修行して、だいぶ強くなったしね。期待しているからお願いね」

「ああ。それよりもみんなに言っておきたいことがあるんだ」

「なんですか、お兄様?」

「今までありがとうな」

 俺の言葉に全員、驚いたような顔を見せた。

「ど、どうしたのお兄ちゃん急に?」

「それ、死亡フラグだから! 死亡フラグだから!」

 リブが慌てて俺に指を差して来た。死亡フラグか。確かにそれっぽいな。

「悪い悪い。とりあえず、聞いてくれ。この世界にやってきて、まだ一ヶ月も経ってないけど、みんなとクエストやダンジョン、温泉に行けて楽しかったよ。みんな......俺の大切な妹だ」

 心の底から思っていた、感謝の言葉を述べた。

「お兄さん、一体何を言って......」

 そう言いかけて、フレアはガクッと気を失った。

「フレア! 一体、どうした......」

 グレシアも気を失い、やがてエリックとリブも気を失った。

「さてと......行くか。じゃあなみんな。愛してる」

 俺は剣と回復用のポーション入った鞄を持って、俺はギルドハウスへと向かった。機動力を重視し、鎧と盾は置いて来た。

 ギルドハウスの外ではアレスとシリウスが待っていた。

「よう、来たか。待ってたぜ」

「待たせてすまないな、それじゃ行こうか」

「ちゃんと、妹達に事情は話したのか?」

「ああ」

 ヤサカは俺一人で倒す——そう決めていた。万が一にもあいつらを死なせたくなかった。

 妹達の料理のお皿にマジックアイテム屋で購入しておいた強力な睡眠薬を混入しておいたのである。しばらくは起きていられないだろう。

 一人で戦いに行くなんていったら、恐らく反対するだろうからな。

「そうか、なら良い」

 嘘だと分かったのか、アレスはやや呆れたような顔をした。

「では、スノードラゴンを呼び出しますね。『サモンズ』」

 モンスターカードを取り出し、白い魔法陣が発生し、中からスノードラゴンが出て来た。

「では、行きましょう」

 スノードラゴンの背中に乗り、迷宮の森へと向かった。

 やがて、迷宮の森へ到着し、スノードラゴンから降りて俺たちは迷宮の森へと入った。

 ヤサカと会った、あの湖の前まで二人についてもらう予定である。

 辿り着く前に面倒なモンスターと遭遇して余計な体力を消費しないためである。

 しかし、これと言って厄介なモンスターと出会うことはなく、スライムやゴブリンなど弱いモンスターばかりだった。

 大半はアレスとシリウスが倒してくれたものの、俺も何匹かウォーミングアップがてら倒した。

 森を進み、やがて待ち合わせ場所の手前までたどり着いた。この道を通り抜ければ以前、ヤサカと出会った湖のところへ辿り着く。

「みんな、ここで大丈夫ぶだ」

「なぁ、今更なんだが本当に俺たちついていかなくて大丈夫か?」

 アレスは不安そうな顔をしている。相手は得体の知れない強さを誇るヤサカだから無理もないか。

「ああ、大丈夫だ。必ず倒してみせる」

「頑張ってね! レイン。メシアスの仇を討ってくれよ!」

 シリウスの頭の上に乗っているミルフィが激励の言葉を贈ってくれた。

「ああ、必ず倒すよ」

 俺はミルフィを撫でながらそう言った。

「レインさん。必ず生きて帰ってください。約束ですよ?」

 シリウスは俺を見つめてきた。心配——してくれているのだろうか。

「ああ。みんなありがとう。それじゃ、行ってくる」

 くるりと背を向け、戦いの場へと向かった。

「頑張れよー!」

 アレスの声が聞こえた。俺は後ろを向きながら、手を挙げた。

 湖のところへ着いた。今から二十日以上前、ここで魔王軍の四天王の二人と戦った場所である。

「ふんふーん!」

 池の前でしゃがんで串に刺さった魚に噛り付いているヤサカが見えた。

 無邪気に食事を食べていた。可愛らしい見た目に思わず忘れそうになるが、こいつは魔王軍の四天王最強の力を持つ。

「よう、来たぞ。ヤサカ」

 俺はヤサカに話しかけると、「ん?」と声を上げ、俺を見つめた。

「おー! もう来たんだ! 早いね! 他の人達は?」

 これから殺し合いをするというのに気楽そうな口調で訊いてきた。

「今日は俺一人だ。別にいいだろ? 不満か?」

「そういうわけじゃないけど、たくさんの人と遊びたかったのに......でも、まぁいいや! もう少し待って!」

 そう言うとヤサカは魚を食べるスピードを上げた。食べ終えると立ち上がる、屈伸運動を始めた。

「ほっ! ほっ! いやぁ、それにしても一人で来るなんてねぇ。驚いたよ」

 今度はラジオ体操みたいな運動を始めた。

「まぁ、俺の妹達は絶対に死んでもらいたくないからな」

「ふーん、シスコンなんだね。私もこの世界に来る前、なんか兄がいたような気がするんだよね。これを使いすぎたせいでもう忘れちゃったけど」

 ヤサカが黒い宝石が付いているコースリングを見せてきた。だが、俺はコースリングよりもさっきの言葉の方がはるかに気になった。

「お前、別の世界から来たのか? ダークエルフなのに?」

「まぁね。元は普通の人間だったんだよ。魔王様に手術でダークルフにしてもらってね。ほら? ダークエルフってなんか可愛いじゃん?」

 アリスって種族を変えるなんて芸当ができるのか。魔王とはいえ、すごいな。

「お前はもう元の世界のこと全く覚えてないのか?」

「覚えてないね。自分の名前も何をしているのかも忘れたよ。ただ、嫌なことがあったことはなんとなく覚えている」

「そうか」

 俺は自分の持っているコースリングを見つめた。俺はまだこれを頻繁に使っているわけじゃないから記憶の欠如はまだ浅いほうである。今日の戦いで多くの記憶を失いかもしれない。

 いや、記憶だけでなく命すら失いかもしれないが。

「ねぇ、雑談はこのくらいにして、始めない?」

 ヤサカはそう提案した。

「そうだな」

 ヤサカの提案に頷き、俺は剣に手をかけ、ゆっくりと持ち上げた。

 さてと——それじゃ。

「行くぞ、ヤサカ!」


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