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ビッグオクトパス

「出番かい? シリウス」

「ミルフィ、まだよ。モンスターが現れたらお願い。それまでは私の頭の上に乗ってて頂戴」

「はーい」

 ちょこんとミルフィはシリウスの頭の上に乗っかった。

「久しぶりだな。ミルフィ」

 俺はミルフィに話しかけた。ミルフィと会うのはおよそ二週間ぶりになる。

「久しぶりだね。レイン。元気だったかい?」

「ああ、元気にやってたさ」

 すると、ミルフィが俺の近くにやって来て周りを飛び回った。

「この短期間でかなり強くなったっぽいね。いやぁ、感心感心」

 二週間あまりで俺はそんなに強くなったのだろうか。いまいち実感が湧かない。

「ミルフィ、勝手に動かないで! 私の頭の上に乗っかってなさい!」

「分かったよ」

 シリウスにそう言われたミルフィは渋々とミルフィの頭の上に戻っていった。

「おいかかったぞ! うぉぉ! これは重い! 剛、手伝ってくれ!」

 アレスにそう言われ、竿を掴み、一緒に引っ張った。

 しかし、竿はビクとも動かなかった。渾身の力を込めているのだが。

「仕方ない。悪い、レイン。少しの間、堪えていてくれ!」

「お、おい!」

 俺は竿から手を離し、右手の人差し指にコースリングをつけた。

 すると、力が身体中に漲ってくるのを感じた。再び、竿を掴んだ。

「うおりゃぁ!」

 竿を思いっきり引っ張り上げた。ザバーンという大きな水しぶきとともに、ビッグオクトパスが水面から出て来た。

「す、すごい。引っ張り上げた」

 メシアスは感心したように俺を見た。

 ビッグオクトパスはズシンと地面に降りた。俺は釣竿を離し、コースリングを外した。

「行くぞ、ビッグオクトパス。『サンダーフォース』」

 エリックから教わった、雷魔法をビッグオクトパスに放った。しかし、命中するも、電撃の矢は弾けて消えてしまった。

「効かないか」

「なら、ここは私が。行くわよ、ミルフィ」

「オーケー、任せてよ」

 シリウスは両手をビッグオクトパスに向けた。

「アルティメットハリケーン」

 シリウスの両手から竜巻が生まれ、ビッグオクトパスへ向かった。

「むー!」

 ビッグオクトパスは雄叫びをあげると、口からビーム状のスミのようなものを撃ってきた。

 アルティメットハリケーンとスミビームぶつかり合い、均衡状態をおよそ十秒ほど保ったが、徐々にシリウスの繰り出した魔法が押されていった。

「ま、まずい。シリウス、避けるんだ」

 この状況に危惧したミルフィがシリウスに指示を出した。

「ええ! 分かったわ!」

 ミルフィは横に飛び、ビッグオクトパスの攻撃を避けた。スミは地面に触れ、ドロドロと土や草が溶けていた。

「あのスミに触れたらやばそうだな」

「ああ、ビッグオクトパスが放つスミは強酸性だから、絶対に触れるんじゃねぇぞ!」

 アレスが俺に忠告してくれた。なかなか、やばいモンスターみたいだ。

 さすが、攻略難易度Sのモンスターだけはあるか。しかし、こいつを倒せないようだと、ヤサカには絶対に倒せない。

「アレス、しばらくあいつの気を引いてくれるか?」

「ああ、いいぞ」

 アレスは任せろとばかりに腰に刺さっている剣を抜いた。

「行くぞ、ビッグオクトパス!」

 果敢にアレスはビッグオクトパスに向かっていった。

「シリウス、俺が合図したら、魔法で俺をビッグオクトパスの上空へ飛ばしてくれ」

「わ、分かりました」

 しばらく、アレスとビッグオクトパスの戦いを見守った。

「オラァ!」

 アレスはギリギリのところで避け、数本のビッグオクトパスの足を切り落としていった。

「むーむー!」

 いらいらしている様子のビッグオクトパスは闇雲に自分の足をアレスへ伸びした。

「あらよっと!」

 単調になったビッグオクトパスの動きに慣れたのか、アレスは余裕そうに奴の足を切り落とした。

 そろそろ頃合いか。

「シリウス、俺をビッグオクトパスの上に飛ばしてくれ」

「分かりました。『ウィンドブロス』」

 俺の周りに風がまとわりつき、ふわりと身体が宙に浮いた。ちょうど、ビッグオクトパスの真上に届いたところで、剣を抜き、

「これで終わりだ。『フレイアライディンススラッシュ』!」

 と魔法名を唱えると、剣から炎が発生した。その剣で俺はビッグオクトパスは上から真っ二つに切り裂いていった。

「むぁぁぁぁ!」

 ビッグオクトパスは耳が痛くなるような断絶魔を挙げたのち、絶命した。

「ふぅ、終わったか......」

「お前、すごい技使えるようになったんだな!」

 アレスが俺の元へ駆けつけ、話しかけてきた。

「グレシアたちのおかげだよ。俺に魔法を教えてくれたからな」

 四人は分かりやすく、丁寧に俺に魔法を教えてくれた。そういえば、日本にいた時の会社の教育は見て覚えろと言わんばかりの教育の整ってない会社だった気がする。無能な元上司どもに妹達の爪を煎じて飲ませてやりたい。

「いやぁ、すごかったよ! レイン。君はなかなかの魔法の素質があるようだね」

 ミルフィが俺を褒めてきた。全く、可愛い奴である。

「そうだろそうだろ!」

 気が良くなった俺はミルフィを撫でてやった。なかなか触り心地の良い毛並みである。

「レインさん。お見事でした」

 珍しくシリウスが俺に賞賛の声を送ってくれた。

「いやぁ......シリウスの魔法のおかげで倒せたんだ。ありがとうな」

「いえ、私は別に何も......」

 シリウスは恥ずかしそうに俯いた。俺はミルフィを撫でるのをやめ、

「なぁ、アレス、シリウス。お願いがあるんだ」

 二人にあるお願いをした。


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