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再戦の誓い

「わ、私たちの魔法が全く効かないなんて!」

 そう慌てるメシアスと、

「う、嘘! そんなの嘘よ!」

 珍しく取り乱したシリウスだった。

「ミルフィ! もっと攻撃するわよ! 『マルチプルウィニングスラッシュ』!」

 複数の風の刃がヤサカに向かって飛んで行った。

「あはははは! 無駄だよぉ!」

 ヤサカの前に大きな黒い魔法陣が発生すると、風の刃は全て魔法陣の中に吸い込まれていった。

「そんじゃ、まずは君から殺ろっかなあ。『マジックバレット』!」

 ヤサカはシリウスに向かって、黒いマジックバレットを投げ込んだ。

 やばい——助けないと。そう思った時、

「シリウス、危ない!」

 メシアスはシリウスを突き飛ばすと、マジックバレットの中に飲み込まれてしまった。

「め、メシアス! 今助けるから! 『ウィニングスラッシュ』!」

 シリウスはマジックバレットに魔法を打つが、全く効果はなく、弾かれてしまった。

「シリウス! 待ってろ! 今助けるぞ!」

 アレスはシリウスを助けるべく、マジックバレットに向かって全速力で駆けつけるが、

「あはははは。悪いけど、これで終わりだよ」

 シュンゾウを殺した時のように、マジックバレットを上昇させた。

「シリウス、アレス様......どうか、ご武運を」

 メシアスは覚悟を決めたかのように目を閉じた。

「や、やめろーーー!」

 叫ぶアレスだったが、ヤサカは止めず手を叩くと、バァンという大きな爆発音とともに黒い魔弾が弾けた。

「あ、ああ......」

 がくりとアレスがうなだれた。

 シリウスは——殺されてしまった。

「よ、よくも! メシアスを!」

 怒りに任せて、魔法を繰り出そうとするシリウスを、

「よせシリウス。こいつに魔法は効果がない」

 俺は止めた。

「止めないでください。シリウスの仇は私が......」

「分かってる。こいつを許せないと思うのは俺も同じだ」

 視線をヤサカへと向けた。

「あははは! いいねぇその顔! 早く遊ぼうよ!」

 俺はヤサカに近づき、剣を振り回したが、身体が鉛のように重くヤサカはひょいひょいと俺の攻撃を避けた。

「あれれー。なんか期待ハズレだなぁ」

 ヤサカは残念そうに顔をすると、俺に額にデコピンした。

「うわぁ!」

 ただのデコピンにも関わらず、かなり吹っ飛ばされた。

「お兄様!」

「お兄さん!」

「お兄ちゃん!」

「兄貴!」

 妹達は俺を助けようため、ヤサカに近づこうとした。

「来るな!」

 俺の声に反応し、妹達はピタリと近づくのをやめた。

「こいつは俺が倒す」

 俺はコースリングを取り出した。今日はすでに一度、使っているがもう一度使ったらどうなってしまうのだろうか。

 しかし——これを使わなければヤサカを倒せない。

「君、どうしてそれを......それは使わない方がいいよ。使ったら死ぬかもよ」

 ヤサカはコースリングを見るなり、そんなことを言い出した。

 シュンゾウだけでなく、ヤサカもこのマジックアイテムを知っているようである。だが、今はそんなことどうでもいい。

 俺は右手の人差し指にコースリングをはめた。

「ぐ......」

 頭に激痛が走った。あまりの痛みに気を失いそうになるのを辛うじて堪えた。身体に再び力が溢れ出してくるのを感じた。

「行くぞ! ヤサカ」

 俺はヤサカの後ろに回り込み、首元を狙い斬りかかった。

「うん、なかなか速いね」

 ヤサカはしゃがみこんで俺の斬撃を避けた。ヤサカの右手にはマジックバレットを作り出しているのが見えた。

「ち......」

 俺はヤサカから距離を取るべく、奴から離れた。

「マジックバレット」

 案の定、ヤサカは大きなサイズのマジックバレットを俺に投げて来た。かなりの速さだがなんとか避けることができた。

「あはははは! やるねぇ!」

 余裕そうにしているヤサカの周りを高速で動き回り、俺はキプトベンプを取り出した。

「アクティベイト」

 キプトベンプはヤサカの身体へ伸び、ぐるぐると巻きついていき、奴の体を縛り付けた。

「ふーん、おもしろいマジックアイテムを使うね。魔力が吸い取られていくのが感じられるよ」

「そうだろ。一滴残らずお前の魔力を吸い取ってやるぜ」

 ヤサカの魔力を吸い取っているせいか、俺の体力が漲ってきた。

「ふん!」

 ヤサカが叫ぶと、なんと力づくでキプトベンプを拘束状態から引きちぎってしまった。

「ち、ならこれでどうだ!」

 間髪入れずに剣でヤサカに攻撃を狙っていった。

「オラァ!」

 闇雲に剣を振り回していたら、偶然ヤサカの左腕を切り落とした。

「あ!」

 ヤサカが叫ぶと、ボトッと地面に奴の左腕が落ちた。

「どうだ、見たか。お前の左腕、切り落としてやったぜ」

「す、すごい。お兄様。あのダークエルフに勝てそうよ」

「そうだね。このままいけば、あいつを倒せるかも......」

「ガンバレー、お兄ちゃん!」

「いけーお兄さん!」

 妹達の声が聞こえて来た。俺とあいつらの呪いもこいつを殺すことで解くことができるだろう。

「もう、勝ったつもりなの? 甘いなぁ」

 ヤサカはくいくいと人差し指を動かし、かかってこいと言わんばかりの顔をしている。全く、ムカつく顔してやがる。

「くたばれ!」

 俺は連続で斬撃を繰り出しだが、全て人差し指で止められた。

「オラァ!」

 思いっきり剣を振りかざして、ヤサカの頭に振り落としたが、これもまた指で止められてしまった。

「く、くそ......動かねぇ!」

 できるだけ力を込めているのだが、ピクリとも剣は動かない。

「ふふふ。そろそろ終わらせてあげるよ」

 ヤサカはニヤリと笑った。

「あ?」

 なんだこいつ。もう勝った気でいやがるのか。本当、ムカつくやつである。

「兄さん、後ろ後ろ!」

 フレアの叫び声が聞こえて来た。俺は後ろを振り向くと、

「マジックバレット」

 なんと、さっき切り落としたヤサカの左腕が宙に浮いており、掌からマジックバレットを放出してきた。

 マジックバレットは俺の身体に直撃し、黒い魔弾の中へと閉じ込められた。

「か、身体が!」

 ジタバタと体を動かしてみるものの、全く出れそうな気配がなかった。

「や、やばい。兄貴が! 『ウィップバイン』!」

 リブが魔法で生み出した蔓をマジックバレットに飛ばしたが、蔓はぐにゃりと枯れてしまった。

「ダメだ! 効かない!」

「お兄さん! 今助けるよ! 『フレイムインパクト』!」

「お兄ちゃんを離せ! 『サンダーフォース』!」

 フレアは炎の魔法を、エリックは雷の魔法をそれぞれ、俺を助けるためにマジックバレットに打ち込むが無残にも弾かれてしまった。

「あはははは! 無駄だって!」

 ふわっとした感覚と共に俺の身体が急上昇していった。シュンゾウとメシアスを倒したあの技か。

 流石に死ぬかもな。俺は正直、諦めかけていた。

「お兄様を......お兄様を離しなさい! 全てを氷つかせる冷酷の魔女よ。我が魔力に混沌を授けよ。『ウィッチオブアイス・フリーズ』!」

 地上に巨大な氷柱が発生したのが、見えた。グレシアの魔法は、ヤサカを凍らせることに成功した。

 そのせいか、マジックバレットの魔力が弱まっているのが感じた。

「うおおおおお!」

 俺はマジックバレットを中から殴ると玉の表面が割れ脱出することができた。そこそこ高い位置から飛び降りた。

「大丈夫でしたか、お兄様!」

 グレシアたちが俺に近づいて来た。

「あ、ああ。お前たち、助かった。ありがとう」

 俺はコースリングを外した。戦いの最中は夢中で何も感じなかったが、今になって頭痛だけでなく、体全体にものすごい痛みが走って来た。

「ぐ......」

 ばたりと地面に倒れ込んだ。

「兄貴、大丈夫? いま、薬草を作ってあげるね。我に回復の心得を。身内に幸運のご加護を『メディカルプランツ』」

 リブが魔法で薬草を作ってくれた。

「ほら、兄貴」

「ああ、ありがとう」

 リブから薬草を受け取り、口に入れた。相変わらず苦かったが、少し体力を回復させることができた。

 俺はゆっくりと立ち上がった。すると、気のせいか突然ピキッという音が聞こえて来た。

「なぁ、みんな何か聞こえないか?」

「え、そう?」

 リブは特にきにする様子を見せなかった。

「い、いや。なんか聞こえるよ! あそこから」

 フレアはグレシアが魔法で作り出した氷柱を指差した。

「ひ、ヒビが入ってる......」

 エリックの言う通り、ピキッピキッという音ともに氷柱からヒビが出てきた。

「ま、まさか......」

 グレシアが不安そうに呟いた時、

「はーい!」

 勢いよく、氷柱からヤサカが出てきた。

「お、お前。まだ生きてたのか」

「あったりまえじゃん! それにしても、青髪の姉ちゃん、なかなかやるねぇ」

 ヤサカは俺たちに近づき、

「ねぇ、提案があるんだけど」

 そんなことを言ってきた。

「提案?」

「うん。君たちの呪いの効果が発動するまで残り二十五日なんだけどさ。最終日の正午、ここでまた戦わない?」

「な、なんでそんな提案するんだ?」

 今、俺たちを倒すチャンスなのに全く意味が分からなかった。

「まだ君達は強くなる余地があるからね。どうせなら、最高の状態で倒したいのさ。悪い条件じゃないでしょ?」

 ヤサカは不気味な笑顔を見せてきた。こいつは、殺し合いをゲームと捉えてやがる。

「お前が約束を果たすという保証がどこにある?」

「信じないならいいよ。ここで殺すから。さぁ、どうする? 今殺されるのがいい? それとも二十五日後に殺されるのがいい?」

 本当は考えるまでもない。今、戦ってもこいつには勝てない。

「分かった。二十五日後にお前を倒してやる。必ずな」

 俺は剣先をヤサカに向けて、宣言した。

「オーケーオーケー。それじゃ、二十五日後にね。それじゃ、バーイ!」

 ヤサカはものすごいスピードでどこかに走り去っていった。


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