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チート能力

「ふざけるな! 俺がこいつを倒すんだ」

「あー、もうシツコイな。こいつは私が倒すの!」

 シュンゾウとヤサカはごちゃごちゃと言い争っていた。傍目からすると低レベルな喧嘩にしか見えない。

 すると、アレスが話しかけてきた。

「おい、レイン。あれが例のお前らに呪いをかけたっていう......」

「ああ、そうだ」

 すると、アレスはヤサカのほうに視線を移した。

「そうか、奴はシュンゾウと話し中で油断してるな」

 アレスは剣に手をかけた。

「お前、まさか......」

「ああ!」

 アレスはヤサカの後ろに移動し、脳天めがけて剣を振り落とした——

「ちょっと、今立て込んでるから後にしてくんないかな?」

 なんと、ヤサカは後ろを向きながらアレスの剣を左手の人差し指で止めた。

「ん? あれは......」

 ヤサカが剣を受けとめている指には俺が持っているコースリングのような指輪をはめていた。しかし、宝石の色は俺のが赤色なのに対して、ヤサカのは黒色であった。

「ちょっと、邪魔だからさ」

 くるりとヤサカはターンすると、アレスにパンチした。

「がは!」

 アレスは思いっきり吹っ飛ばされてしまった。

「な、なんてやつだ......」

 パンチの威力にも驚いたが、指一本でアレスの剣を止めたことの方が驚きだった。

 ヤサカは飄々とした態度を取っているが、得体にしれない不気味さを兼ね備えている。

「お兄さん、どうする? 戦う?」

 フレアが強張った表情で訊いた。あっさりとうんとは言えない。

「まだダメだ」

 ヤサカは再び前を向いた。

「ヤサカ! 俺にレインを倒させてくれ!」

 シュンゾウはどうしても俺を倒したいらしい。

「ダメだってば。そもそも、シュンゾウくん、ボロボロじゃん。今の君じゃ勝てないっしょ。他の人は譲るからさ......」

「ぐぬぬ......」

 シュンゾウはヤサカの言葉に悔しそうに歯ぎしりをした。

「なら、早い者勝ちだ!」

 シュンゾウはヤサカの横を通り抜け、俺に斬りかかろうとした。

「はぁー。じゃ、もういいわ。『マジックバレット』」

 ヤサカはポンと掌でマジックバレットを作り出すと、シュンゾウに放ち、魔力で作られた黒い玉の中に入っていった。

「お、おい! ヤサカ、何する気だ!」

 シュンゾウは玉の中でもがき足掻くも出られそうな気配はなかった。俺はスライムの体内の中に閉じ込められた時の自分と重なった。

「何って......邪魔だから消すんだよ」

 嬉しそうにニヤけるとマジックバレットをゆっくりと上昇させた。

「や、やめろヤサカ! それでも、仲間か?」

「うん! 死んでも忘れないからね! バイバーイ!」

 パンと手を叩くと、マジックバレットはものすごい音を立てて爆発した。

「あははは! いやぁ、爽快! 超爽快!」

 自分の仲間を殺したヤサカは愉快そうに笑っている。

 こいつは狂っている。自分の興味の赴くままにしか行動していない。

「それじゃ、始めようか? レインくん」

 スキップでヤサカは俺に近づいてきた。

「てめぇ......」

 剣を取り出し、戦闘態勢に入った。

 すると、メシアスとシリウスが俺の前に立った。

「悪いけどここは私たちに任せてもらうわ!」

「よくもアレス様を......」

 二人はヤサカと戦うつもりらしい。

「よ、よせ! メシアス、シリウス!」

 地面に倒れていたアレスがゆっくりと起き上がって叫んだ。

「心配しないでください。アレス様」

 メシアスは自信ありげにそう言っているが、先ほどのシュンゾウとの戦いでのダメージが回復してきれていないはずである。

「お、おい。大丈夫なのか?」

「いいから見てなって! さっきの戦いは消化不良なんだよ!」

 そう言うと、メシアスは魔法の杖をビシッとヤサカの方へと向けた。

「えー? 何? 私はレインくんと遊びたいんだけど」

「ふん! 見てな、このダークエルフが。来たれ終焉の魔法。輝け我が魔力。時は満ちた! 轟け轟け......最強の攻撃魔法! 『アルティメットアクベタルビーム』!」

 メシアスが魔法の詠唱をすると、ヤサカの周りに複数の茶色い魔法陣が発生した。

「ふーん......面白そうな魔法を使いそうだね」

 余裕そうな表情でヤサカはにやけた。

「ミルフィ。私たちもいくわよ」

「あいよー」

 シリウスは、右手をヤサカの方へ向けると、

「バイントーハリケーン」

 と唱えた。

 すると、轟音が鳴り響くと、ヤサカの周りに大きな台風のようなものが発生し、彼女の動きを封じ込めた。

「どう? これじゃ、身動きがとれないでしょう?」

「まぁね」

 ヤサカの余裕そうな表情は一向に崩れない。なんだか、嫌な予感がする。

「メシアス! 今の内に攻撃しなさい!」

「分かった! 『バースト』!」

 次の瞬間、複数の魔法陣から黄色いビームのようなものが発生すると、ヤサカに全て命中した。

 メシアスが繰り出したビームはかなりの威力で大きな爆風を生み出した。

 これは......やったのか?

 しかし、煙が消えると、傷一つついてないヤサカが立っていた。

 ヤサカの周りに黒い魔法陣がいくつかあり、やがて徐々に消えていった。

「なかなか心地良い魔力だったよ」

「何をしたんだこいつは?」

「魔力を吸収したんだよ」

 リブがそう説明した。

「きゅ、吸収?」

 こくりとリブは頷いた。

「私たちが戦った時も、あいつは私たちの魔法をさっきの黒い魔法陣で吸収したんだ。メシアスとシリウスの魔法でも通じないとなると、あいつには魔法そのものが通じないのかもしれない」

 恐ろしい能力だな。ディンゴとシュンゾウも手強かったが、こいつはどう攻略すべきなのか、検討もつかない。


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