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ダークエルフ

 すると、次の瞬間、頭からものすごい情報量が流れ込んできた。

 幼少期の妹達と過ごした記憶、父親から剣術を学んだ時のこと、ハンヂーラ城の防衛として働いていたときの記憶、冒険者になり、様々なダンジョンを妹達と挑んだ出来事、そして、魔王軍の四天王の一人にやられてしまったときの記憶。

 これは間違いなく、俺が憑依する前のレインの記憶だ。

 これが——レインの歩んできた人生か。

「何をぼうっとしてやがる! 死ね!」

 シュンゾウは俺の懐へ飛び込み、日本刀で斬りかかってきた。

「何......反応しやがった......」

 俺は自分の剣でシュンゾウの太刀を受け止めた。

 どういうわけか、戦い方が分かる。どう対処すればいいか、どう動けばいいのか分かった。

 レインの記憶を手に入れたせいだろうか。

「なかなか、いい太刀じゃないか」

 俺はシュンゾウを褒めてやった。

「てめぇ、この野郎! 上から目線でいいやがって!」

 シュンゾウは悔しそうに歯ぎしりをした。シュンゾウは日本刀を手元に戻しては、別の角度から俺を斬りかかるが、しっかりと俺は防御することができた。

「す、すごい! さすがお兄様!」

「いけー! お兄さん! やっちゃえー!」

「お兄ちゃん! そいつを叩っ斬れ!」

「兄貴ーガンバー」

 グレシアたちは俺を応援してくれていた。どうやら、リブの魔法でみんな大分、回復したようである。

 メシアスとシリウスも立って、俺の方を見ていた。

「くそ! お前なんかに! お前なんかに!」

 ヤケクソ気味に刀を振り回してくるシュンゾウの脛に俺は蹴りを入れてやった。

「ぐわ!」

 シュンゾウは情けない声を上げると、背中から派手に転げ込んだ。

「足元がお留守になっているぞ?」

 煽るように言ってやると、シュンゾウは、

「お、お前ー!」

 大声を上げ、激昂した。

「これならどうだ......『マジックバレット』」

 手を上げると、今日一番の大きなマジックバレットを作り出した。

「バカかお前は。今更そんなものが俺にあたるか」

 すると、シュンゾウは気味の悪い笑みを浮かべた。

「馬鹿はお前だ。誰がお前に撃つって言ったよ? これをお前の妹達に撃てばさすがにひとたまりもないだろう」

 その外道極まりない言葉に俺はプツンと来て、キプトベンプを取り出した。

「アクティベイト」

「な......」

 キプトベンプは一瞬で、シュンゾウの元まで伸びていくと、身体全体をぐるぐる巻きにした。文字通り、身動きひとつできない状態である。

「な、なんだこれは! どんどん魔力が吸い取られていく......」

 魔力が吸い取られていった影響でシュンゾウが作りだした大きなマジックバレットは徐々に小さくなっていった。

「悪いがまだまだ吸い取らせてもらうぞ」

「や、やめろ! それ以上、吸い取ったら死んでしまう!」

 シュンゾウは怯えたような表情で俺のことを見た。

「そうなるかもしれないな。だが、文句は言えないだろう? お前だって俺たちを殺そうとしたんだから」

 表情を変えずに淡々と言い返してやった。

「た、頼む! 許してくれ! 俺は魔王様の命令で......」

 何とも聞くに堪えない戯言を言いやがる。

「もういい。俺も時間がないんでな」

 俺は腕を大きく振りあげ、

「リリース」

 とキプトベンプの拘束を解き、シュンゾウの身体を上空へと放り投げた。

「エリック! お前の雷魔法で攻撃してくれ!」

 俺はエリックに指示をし、人差し指にはめていたコースリングを外した。

 おそらく、そろそろ時間である。その証拠に、ものすごい頭痛が襲いかかって来た。

「分かった! 痺れろビート! 響けロック! 奏でるわマイミュージックアンドマイマジック! 『サンダーボルトドラゴン』!」

 シュンゾウの上に大きな黄色い魔法陣が発生し、中から龍の形をした電撃が出てきた。

「ぐぎゃぁぁぁぁ!」

 シュンゾウは叫び声を上げながら、池の中に落ちていった。かなりの高いところから落ちたので、着水時に大きな水しぶきが上がった。

「いててて......」

 俺はあまりの頭の激痛にしゃがみこんだ。

「大丈夫ですか? レインさん」

 シリウスが俺の元に駆け寄ると、手を差し出してきた。

「ああ。何とかな。ありがとう」

 俺はシリウスの手を掴み、立ち上がった。

「いやぁ! レイン、お前あんなに強かったんだな! 感心したぜ!」

 バンバンとアレスは俺の肩を叩いてきた。

「や、やめろ! 痛い痛い!」

 アレスが叩いたせいで頭がズキズキときた。

「悪い悪い。だが、お前がいなかったら正直、俺は殺させれてたぜ。ありがとうな!」

「いやぁ......」

 そこまで感謝されるとバツが悪い。さっきの勝利はコースリングのおかげである。

「お兄様! お見事でした!」

 グレシア達もそばに駆け寄ってきた。

「兄貴、もしかしてさ......さっきの戦い方、もしかして記憶が戻った?」

「それは......」

 リブの質問に答えようとした時、

「危ない! お兄さん!」

 目の前に黒いエネルギー弾が飛んできた。

「うわ!」

 間一髪で俺はそれを避けた。

 前にはずぶ濡れになりながら、すごい髪型になっているシュンゾウが立っていた。

「お前! まだ生きていたのか! しぶといな」

 しかし、ほとんど魔力を吸い取った状態でエリックの強力な魔法を食らってもなお、攻撃できるとは、やはり魔王軍の四天王は侮れない。

「黙れ! レイン! 貴様だけは俺が殺す! うおあー!」

 シュンゾウは叫びながら俺に迫ってきた。頭に血が上っているようである。しかたない、トドメをさすか。

 俺が剣に手をかけたその時だった。

「はーい。シュンゾウくん。待った待った!」

 シュンといつの間にか目の前に尖った長い耳、褐色肌、長めの黒髪、黒いブラウスと黒い眺めのスカート服装を履いた少女が立っていた。

「あ......あ......」

「こ、この人は......」

 グレシア達は絶句していた。レインの記憶を見た俺もそいつが誰なのかすぐに分かった。

「どけ! 『ヤサカ』! 俺がこいつをぶっ殺してやるんだ!」

「えーダメだよぉ。だって、この人は私のおもちゃだもん」

 魔王軍の四天王にして、俺(の股間)と妹達に呪いを掛けやがったダークエルフだった。


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