死闘
「ミルフィ、力を貸して!」
「あいよ〜」
攻撃のチャンスと考えたのか、シリウスはミルフィに声をかけると、それに答えるべくミルフィはシリウスの頭の上に乗った。
「轟け破壊の稲妻。全てを燃やせ灼熱の炎。『バーニングサンダー』!」
メシアスは魔法を放った。茶色の魔法陣から周り稲妻がほとばしった大きな炎の球が生まれ、かなりのスピードでシュンゾウに向かって飛んでいった。
「ウィニングスラッシュ!」
シリウスは隈ベアーを倒した時と同じ、風の刃をシュンゾウに放った。
この二人の魔法攻撃を喰らえば、流石にダメージが入るだろう。そう思ったのだが、
「ふん!」
シュンゾウは日本刀を横方向に斬るとウィニングは消滅し、バーニングサンダーは真っ二つに斬れ、シュンゾウに命中することなく消えて行った。
「う、嘘! 私たちの魔法が!」
あっさりと自分の魔法を防がれてしまったことにショックを受けたのか、メシアスの声が震えていた。
「そんじゃ、今度はこっちから行くぜ? 『マジックバレット』」
シュンゾウは手を振り上げると、掌から大きな黒いエネルギー弾のようなものを作り出した。これ見たことがあるぞ。確か......
「あれは......ディンゴが使っていたやつ」
だが、ディンゴが使っていたものよりもはるかに大きいサイズだった。
「ほう? ディンゴを倒したのはお前らか。なら、こいつは知ってるよな。このマジックバレットは四天王全員が使える技だ。一応言っておくが、ディンゴのよりも強力だから覚悟しろよ」
「あ、あいつ......剣術だけじゃなくて、魔法までつかえるのか」
アレスが悔しそうな顔をしている。自分よりも剣術に長けており、その上魔法まで使えるとなればプライドが傷ついたとしても無理はないだろう。
「そんじゃ行くぞ? オラよ!」
シュンゾウはマジックバレットを俺たちのほうへ向かって放った。
「や、やばいあんなの喰らったら......」
「お兄様、下がっていてください。行くわよみんな!」
グレシアたちは魔法を放つ体勢を取った。
「フリーズキャノン!」
「フレイムインパクト!」
「エレクトリックサンダー!」
「ウィップバイン!」
四人は一斉に魔法を放ち、マジックバレットの勢いを止めた。
「まだまだぁ!」
フレアはさらに力を込めると威力が上昇した。他の三人もフレアに続くように魔法の威力が上昇した。
徐々にマジックバレットを押し返した。
「いいぞ! さすがだ!」
俺は思わず感嘆の声を上げた。
「へぇ、やるな。お嬢ちゃんたち。それじゃ、ご褒美にもう一発くれてやるよ」
「へ?」
思わず俺はまぬけな声を出してしまった。シュンゾウはもう一つ同じサイズのマジックバレットを作り出すと、それを俺たちに向かって放った。
「う、嘘でしょう?」
グレシアは青ざめた表情になった。
「無理無理無理無理!」
リブはパニックに陥っていた。
二つのマジックバレットは重なると倍くらいに大きく膨れ上がり、俺たちの近くまで近づいき、爆発した。
「うわー!」
爆風で俺の身体は飛ばされた。身体のあらゆる部分が石や木の枝にぶつかり、傷だらけになった。
だが、幸いにもなんとか生きていた。
徐々に爆発で生まれた煙が消えて来た。
「みんな......大丈夫か?」
あたりを見渡すと、みんなは地面に倒れていた。リブとアレスだけはなんとか立っていた。
「ああ、なんとかな」
アレスはそう答えると、地面に落ちていた剣を拾った。
「まだまだ! いくぞ、シュンゾウ!」
アレスはシュンゾウに向かっていった。
「兄貴、大丈夫?」
「お、お前こそ」
リブの服はボロボロだった。いつも着ているローブには穴がところどころ穴が空いていた。
「私は大丈夫。みんなを私の魔法で回復させるから、時間を稼いでもらっていい?」
リブはいつになく、真剣な表情で頼んできた。
本当は戦いたくない。怖い。逃げ出したい。月曜日、会社に行く時の十倍は嫌である。しかし、
「分かった。任せろ」
ドンと胸を叩いてリブに宣言した。
「兄貴、本当に大丈夫?」
リブが眉をひそめて訊いた。
「ああ。心配するな。みんなを頼んだぞ」
「分かった。お願いね。兄貴、死ぬなよ」
「おう!」
「オラァ!」
アレスは何度も剣でシュンゾウに攻撃を試みるが、一向に当たらなかった。シュンゾウは余裕そうな表情で躱している。
「そろそろ飽きたな。そんじゃ、今度はこっちからいくぞ」
シュンゾウは日本刀でアレスの胸を斬りかかった。鎧ごと切り裂き、アレスに深い切り傷を負わせた。
「ぐ!」
アレスは地面に倒れた。
「おいおい。ざまぁねぇな。もうこれで終わりかよ? 所詮は冒険者だな。同じ異世界からの転生者だってのに。冒険者なんていうクソみてぇなことしてっから強くならねぇんだよ」
シュンゾウは馬鹿にするようアレスに言ってきた。どうやらシュンゾウも異世界からの転生者らしい。
「お、お前ー!」
アレスは立ち上がり、剣でシュンゾウを突きに行ったが、シュンゾウはこれを避け、アレスの背中を斬った。
「うわぁぁぁ!」
痛みのせいで、アレスは声を荒げた。
「情けねぇな。こいつ。あははは」
「何がおかしい?」
俺はシュンゾウに近づき、話しかけた。
「ああ?」
シュンゾウは鬱陶しそうな目つきで俺を睨んだ。
「よせ、レイン。みんなを連れて逃げろ。とてもじゃないが、勝てない......みんなを連れて逃げてくれ」
アレスがそこまで言うということは本当に強いのだろう。しかし......
「雑魚には興味ねぇよ。失せな」
シュンゾウは日本刀を持っている腕を振り上げた。アレスにとどめを刺すつもりか。
「アクティベイト」
キプトペンプでシュンゾウの日本刀を持っている腕を拘束した。
「て、てめぇ。いい加減にしろよ!」
反対側の手でマジックバレットを作り出した。少し分かったことがある。
「死ね」
マジックバレットを俺に向かって放った。
「リリース」
シュンゾウを縛っていたキプトベンプを解除し、俺は横に大きくジャンプし、マジックバレットを避けた。
俺を外したマジックバレットは俺から離れた木々に当たると、爆発を起こした。
「ち、避けやがったか」
シュンゾウは舌打ちした。
「お前のマジックバレット、確かに強力だけど、速さはそうでもないな。この距離ならギリギリ避けれる」
「お前、ムカつくなぁ。先にぶっ殺してやることにしたぜ。避けれるっていうがそんじゃ俺の斬撃は避けれないだろ?」
「まぁな。だが......」
俺はポケットからあるものを取り出した。
それは、アリスから貰った禁断のマジックアイテム、『コースリング』である。
「お前、どうしてそれを......」
どうやらシュンゾウはこのアイテムを見たことがあるようである。
俺は人差し指にコースリングをはめ込んだ。
「お前、正気か? それは......」
「知ってるよ。でも、これでお前を倒す!」




