混成パーティ
「ええ。利き手の人指し指にコースリングをはめると身体の魔力が何倍にも膨れあがるの。攻撃力、防御力、スピードが通常の何倍も跳ね上がるの。ただし......」
アリスはいつになく真剣な顔をし、俺の顔の前でビシッと指を立てた。
「もし長時間コースリングを使っていたら、魔力が暴走して最悪死に至るわ。だから、それはせいぜい一分くらいしか使わないように注意してね」
禁断のマジックアイテムか。それにしても、そんな物騒なもの、どうしてアリスは持っているんだ。
「あの、アリスさん。これをどこで手に入れたんですか?」
「うふふふ。秘密。まぁ、私も色んな知り合いがいるからね。私ができるのはこのコースリングをあなたにあげることくらい。頑張ってね、レインくん。応援しているから」
「ありがとう、アリスさん。それじゃ、俺行きます」
「ええ、頑張ってね」
俺はポッケにコースリングをしまい、アリスさんの部屋を後にした。
外に出ると、アレスたちが待っていた。
「おう、レイン。待ってたぜ。それじゃ、行くか」
アレスがどこかに俺を連れて行くつもりらしいが、どこに行くのだろうか。
「どこって......ギルドハウスだよ。そこで魔王関係のクエストがないか、確認するんだ」
どうやらアレスはギルドハウスに向かうつもりらしい。
「なるほど、それじゃ妹達にも声を掛けるから先に行って待っててくれるか?」
「しゃーないな、分かったよ。それじゃ、先に行ってるからな」
「なるべく早く来なさいよ!」
アレスたちはギルドハウスへと向かって行った。
俺は駆け足で自宅へと戻った。
リビングに戻ると、グレシアはメガネを掛けて本を読んでいた。メガネかけているところ初めて見たが、ものすごく可愛い。
「ただいま」
「おかえりなさい。お兄様」
「喰らえ! エースのストレートフラッシュだ!」
「甘いな。エリック。ロイヤルストレートフラッシュだ!」
フレアとエリックはポーカーで遊んでいた。
リブはリビングにいなかった。
「なぁ、グレシア。リブはマジックアイテム屋か?」
「はい。もう少しで帰ってくると思いますが......」
「そうか」
リブが戻って来てからみんなにアレス達と手を組むことになったことを話すか。
みんなは反対するだろうか。それとも、あっさりと受け入れてくれるだろうか。
少し不安である。
「たっだいまー!」
リブが勢いよくリビングに入って来た。
「あ、兄貴戻ってたんだ! 見て見て、兄貴のために新しいキプトベンプ買って来てあげたよ! しかも前よりも性能の良い奴。魔力を吸収する速度が速いやつだよ。はい!」
リブがキプトベンプを渡して来た。前のと違って、白い紐である。
「リブ、ありがとう。あの......みんなに知らせたいことがあるんだ」
「なんですか、お兄様」
グレシアたちが俺の方を見た。
「実はな、さっきアリスさんのところに行ったらアレス達に会ってな。なんだかんだでアレス達に協力してもらえることになった」
「はぁ? ってか兄貴、なんだかんだって何?」
リブが俺にぐいっと顔を近づけ、問い詰めて来た。
「実はアレス達に俺たちに掛けられている呪いのことを伝えたら協力してくれるって言ってな。俺は手を借りるべきだと思うんだがみんなはどうだ?」
四人の方を見ると、全員複雑そうな顔をしていた。
「私は賛成です。お兄様が良いというのなら構いません。それにあの方達、腕は高いですし」
グレシアはアレス達と組むことに賛成のようである。
「うーん......正直、私は嫌だな。シリウスとメシアス、どっちも苦手なんだよね」
フレアは嫌そうな顔をしていた。まぁ、分からないでもない。あの二人は一癖も二癖もありそうだ。
「うちは別にいいよー。呪いを解くには戦力の増大が不可欠だしさ」
エリックは賛成のようである。
「私も別に良いけどさー。いやーでもなんか気が進まないなぁ」
リブもとりあえずオーケーのようであった。
「フレア。今は意地を張っている場合じゃないと思うんだ。アレスに呪いのことを伝えたらあいつはすぐにでも協力してやると言ってくれたんだ。だから、フレアも承諾してくれないか?」
唯一、反対のフレアに対して俺は懇願した。
「そっか分かったよ。お兄さんがそこまで言うのなら私は反対しないよ」
フレアが納得してくれたのか呆れたような顔をしながらも微笑んだ。
「ありがとう。みんな、アレス達がギルドハウスで待っててくれてるから、ちょっと準備してくれるか?」
「えー? 随分と急だね、全くもう」
「分かりましたお兄様、今支度します」
四人は装備品を取りに部屋に戻っていった。
俺も一度、自分の部屋に戻り装備品を取り出した。
以前、ダンジョンに潜ったときの盾をタンスから取り出した。これを持っていこうか悩む。
この盾はほとんど役に立たなかった。重いし、機動力が著しく損なわれた。
悩んだ末、置いていくことにした。武器は剣と先ほど、リブから貰ったキプトベンプである。
玄関に向かうと、みんなすでに支度を終えていたようで俺のこと待っていた。
「ごめん。待たせたな。それじゃ、行くか!」
ギルドハウスに向かい、中に入ると大きめのテーブルにアレス達が待っていた。
「おーい! こっちだ、こっち!」
アレスが手招きしてくれた。
「えーと、よろしくなお前ら。お前達に掛けられた呪いを解くため、このアレス様が協力してやるから、大船に乗ったつもりで期待してくれ!」
ガハハとアレスが豪快な笑い声を上げた。
「はい。よろしくお願いします」
グレシアがぺこりと頭を下げた。
「お、良いお嬢ちゃんだな。気に入ったぜ」
「あなた達! 私達が協力してあげるんだから感謝しなさいよ!」
腕を組み、メシアスが偉そうに言い放った。
「別にお兄さんが言うから手を組んだだけだし。本当は私達だけでも魔王の手先を倒せるんだから!」
フレアがムキになってメシアスに言い返した。
「えー? あなた達でだけで魔王の手先に勝てるっていうの?」
「当たり前じゃん? この前だって私たちだけで魔王軍四天王の一人に勝ったし」
フレアとメシアスが言い争いを始めた。このままでは収拾がつかなそうである。
「よせ、フレア。確かに俺たちだけで勝ったが、かなりギリギリの戦いだっただろう。俺たちの呪いを解くにはやっぱり、アレス達の力が必要だ」
フレアをなだめるように言い聞かせた。
「お兄さん。だって......」
「メシアスもよしなさい。期間限定とはいえ、パーティを組むんだから仲間割れしている場合じゃないでしょう?」




