表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/41

混浴

「いやー、今日は大変だったね。私、汗かいちゃったよ」

 フレアはパタパタと着ている服を仰いでいる。

「うちも、今日は疲れた」

 エリックは重そうなギターを床に置き、椅子に座った。

「そうですね。お兄様。お金も入ったことですし、今日は公衆浴場に行きませんか?」

「近いのかそこ?」

「はい。すぐ近くです」

「グレシア。私、温泉に浸かりたいんだけど」

 リブが突然温泉に入りたいと言い出した。

「え? さすがに温泉まで遠いでしょ」

「大丈夫だよ。レッドドラゴンに乗っていけばすぐに着くしさ」

 それを聞いたグレシアは、

「確かにいいかもしれないわね。お兄様はどうですか?」

 リブの意見に賛同し、俺の意見を訊いてきた。

「ああ、俺も温泉でいいよ」

「分かりました。エリック、フレア。あなたたちも温泉でいい?」

「いいよー」

「うん」

 

 そいういわけで俺たちはタオルや着替えを持って、温泉へ向かうことにした。

 向かう温泉はペンドリアのはずれの山にあるリカバー温泉という温泉らしい。何でも腰痛、肩こり、腰痛、筋肉痛に効果があるらしい。

「それじゃ、リカバー温泉に向かってしゅっぱーつ!」

 リブがそう言うと、レッドドラゴンは陸を離れ、空へと羽ばたいた。

 ものすごく早い速度でレッドドラゴンが飛んでいる。それにしても、こいつに乗るの結構、怖い。

 こんなことなら公衆浴場で妥協しておけば良かったと、少し後悔した。

そして、あっという間に温泉についた。

「ここがリカバー温泉ですか。雰囲気良さそうですね」

 俺たちの目の前には木造たての古いが趣のある建物がそびえ立っている。建物の周りには柳のような木がたくさん入っており、秘湯と呼ぶにふさわしい雰囲気を醸し出していた。

「それじゃ、早速温泉に入ろう!」

「私も早く入りたいー」

 リブとフレアが真っ先に建物の中に入った。

 カウンターで、皺くちゃのお年寄りのおばあさんが愛想よく出迎えてくれた。

「いらっしゃい。よく来たね。あたしこの温泉の店主のスピリングだよ。いやぁ、美人のお嬢ちゃんたちだこと。私の若い頃にそっくりだわ」

 あんまり残酷なことを言わないでほしいものである。この可愛い妹たちがこんな風に......ああ、考えただけで恐ろしい。

「そこの男もまたハンサムだね。今日はゆっくりしていってね」

「はい。料金はいくらになりますか?」

「泊まりなら五人で銀貨五十二枚だよ」

 銀貨か。あいにく今は金貨しか持っていなかった。

「お兄様、宿泊でよろしいですか?」

「ああ、俺は構わんぞ」

「みんなも大丈夫?」

 グレシアが他の三人に尋ねた。

「私は大丈夫」

「うちもー」

「私も」

 他の三人も泊まりで賛成のようだった。

 俺は持って来た鞄の中から金貨の入った袋を取り出した。

「すみません。今、金貨しかないんですが、大丈夫ですか?」

「ええ、構わないよ」

 よく考えたら、金貨一枚で銀貨何枚分にあたるのか分からなかった。

「なぁ、金貨一枚で銀貨何枚分にあたるんだ?」

「十枚分ですよ。お兄様」

 グレシアが教えてくれた。俺は袋から金貨二枚取り出した。

「分かった。ありがとう」

 俺はスピリングに八枚、金貨を渡した。

「毎度あり。これ、お釣りに」

 お釣りとして、銀貨八枚渡された。

「それじゃ、ごゆっくりー」

俺たちは温泉へと向かった。

 やがて、脱衣所の前にたどり着いた。当然のごとく、『男』と『女』で別れていた。

「それじゃ、お兄様。私たちはここで」

「ああ」

 グレシアたちと別れて男用の脱衣所に向かった。

 脱衣所には人が見当たらない。どうやら、客は俺一人のようだ。

 俺は服を脱ぎ、ヌードになった。鏡に前に移動し、自分の体を眺めた。

 引き締まった体、がっちりとした筋肉。

 自分の(憑依している)身体に思わず惚れ惚れしそうだ。

 しばらく自分の身体を眺めた後、俺は正気に戻った。

 そろそろ、温泉に入るか。

 脱衣所を出て、温泉へと移動する。岩でできた温泉に目がいった。奥の方には木の柵が儲けらえている。

 木の柵の前まで移動し、景色を眺めた。城下街がそこから眺めることができた。ドラゴンの背中から眺めた時と勝るとも劣らないくらいのいい景色である。

「いい眺めだなぁ......」

 さてと、温泉に入るか。水面は時々、ゴボゴボと音を立てている。熱そうだな。

 桶を見つけたのでかけ湯をして、温泉に肩まで浸かった。

 予想通り、中々の熱さだった。体中がジーンとくる。しかし、しばらくすると気持ちよくなってきた。

「はぁ、気持ちいなぁ......」

 周りには誰もいない。温泉の気持ち良さに思わず悦に浸っていた時、

「わー広ーい!」

「いい温泉だね!」

「あ! 見て見て! あそこからの眺め良さそう」

「こら! 三人とも走らないの!」

 聞き覚えのある声が耳に入ってきた。

「あ! お兄さん。もう先に入ってたんだね!」

 そう言ったのはフレアだった。四人は身体にバスタオルを巻いていた。

「うぉぉ! なんでお前らがここに?」

「お兄様。この温泉、混浴なんですよ」

 まじかよ。知らんかった。

 てか、落ち着け。俺。こいつらは妹、そうあくまで妹(実際は違うのだが)。

 それに俺は何人かの女性と付き合ったことがある。決して、童貞ではないのである。だから、臆することはなにもない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ