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レッドドラゴン

「リブ、なんだそれ?」

「まぁまぁ。黙って見てなって。『サモンズ』」

 すると、白い魔法陣が地面に出て来た。魔法陣の中からはなんと、赤い翼の生えた巨大なドラゴンが出てきた。

「り、リブ。このドラゴンは......」

「移動用モンスターだよ。ダンジョンに行く前にこの『モンスターカード』を買っておいたんだ」

「リブ、お前。こんなのがいるならさっきのディンゴと戦った時、使えばよかったのに」

 俺は赤いドラゴンを眺めた。少々いかついが、ゲームに出てきそうなとてもかっこいい容姿である。見るからに強そうだ。

「ダメダメ。こいつ、強そうに見えるけど、全然戦力にならないから。店員さんにもくれぐれも戦闘では使わないよにって言われてるからね」

「そ、そうなのか......」

 こんな強そうなのに戦えないとは。とんだ木偶の坊である。まぁ、今の俺も似たようなものかもしれないが。

「それじゃ、みんな背中に乗って」

「リブ、五人全員乗れるの?」

 グレシアがリブに訊いた。

「うん、大丈夫だよ。ちゃんと店員さんに確かめたから」

「そう。分かったわ」

 俺はドラゴンの背中に乗った。柄にもなくなんだかワクワクした。

 ドラゴンに乗る。この世界に来るまではそんなことができるとは思ってもいなかった。

「さぁ、みんな乗って乗って!」

 リブに急かされ、俺はドラゴンの背中に乗った。

 ドラゴンの皮膚は意外と固くはなく、結構気持ちの良い触り心地だった。

「それじゃ、レッドドラゴン。ギルドハウスまでお願い!」

 リブの声に反応するかのようにバサッと翼を広げた。

 ゆっくりとドラゴンは宙に浮かんできた。

「な、なんかちょっと怖いね」

 俺の後ろに座っているフレアが不安そうにそう呟いた。

「そうだな」

「みんな、振り落とされないようにしっかりと捕まっててね! それじゃ、出発!」

 ドラゴンはものすごいスピードで空を駆け巡った。前方には激しい風圧が感じられた。

 俺は怖くなり、体全体に力を入れた。

「うわー! すごい眺めだね!」

「確かに。とてもいい景色だわ」

 この声はエリックとグレシアか。あいつら余裕そうだな。

 すると、コンコンと肩を小突かれた。顔を向くと、リブが俺に話しかけてきた。

「兄貴、顔伏せてないでさ。景色見てみなよ。すごいからさ」

「そうしたいのは山々だが、見ての通りそんな余裕はないんだよ」

 俺の体制は四つん這いのようになり必死にドラゴンにしがみついているような状態である。

「もう情けないな。こんないい眺めなのに」

 リブは余裕そうに上体を起こし、楽しそうに周りの景色を見ている。

 くそ、俺だって......

 俺は横目から下の景色を眺めた。大きなお城やたくさんの建築物が目に入った。タワーで上空から建物を眺めることがあったが、それよりも感動的な景色である。

 さらに夕日の光に当てられた山や建物がいつもとは違う色合いを醸し出しており、まるで美しい絵画のような光景を映し出していた。

「ああ......いい眺めだな」

 俺はいつのまにか上体を起こし、景色を楽しんでいた。風が顔に当たって気持ちがいい。

 しかし、流石に油断しすぎた。

 力を抜いた俺は風圧で何もない宙へと放り出されてしまった。

「うわぁぁぁ!」

 俺は恐怖で情けない声を上げてしまった。

「ああ、もう! 何やってるのさ! 『ウィップバイン』!」

 リブは魔法で作り上げた蔓で俺の体を引き止め、ドラゴンの背中に戻してくれた。

「あ、ありがとうリブ。死んだかと思った」

 恐怖で心臓がバクバクと音を立てている。

「本当、兄貴はダメになったねー」

 からかうようにリブが言う。

「ぐ......」

 事実なだけに返す言葉がない。一番風評被害を受けているのはこの身体の持ち主なのだが。

リブ! お兄様にそんな失礼なこと言わないの! お兄様、大丈夫でしたか?」

「ああ、大丈夫だ。ありがとうグレシア」

 グレシアの綺麗な水色の髪が風でなびいていた。

 グレシアは本当にいい妹である。四人の中で一番優しいし、面倒見がいい。そのうえ可愛い。文句のつけようがない妹だ。

やがて、レッドドラゴンはギルドハウスの前に着陸した。

「やっと着いたか......」

 俺はレッドドラゴンから降りた。他の四人もレッドドラゴンから降りるとリブが再び、『モンスターカード』を取り出した。

「お疲れ。レッドドラゴン。『デスパッチ』」

 そう唱えると、レッドドラゴンが立っている地面から白い魔法陣が生まれ、レッドドラゴンが光の粒子のようなものを出し、輝き始めた。

 光の粒子はカードに吸い込まれていき、ゆっくりとレッドドラゴンは消えていった。

「さて、それじゃ報酬を受け取りにいこう!」

 意気揚々とリブはギルドハウスの中に入っていった。俺たちも続くようにギルドハウスに入っていった。


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