ダンジョンからの脱出
となりにいるリブも同じく、ローブがところどころ黒焦げになっている。リブの額に汗が慕っていた。かなりリブも疲れているはずである。
「そうだね......なんとか倒せたね。魔王軍の四天王の一人を倒したからこれでたくさん報酬がもらえるはずだよ!」
「魔王四天王の一人を倒したこと、何も証明できるものがないのに報酬もらえるのか?」
俺たちのクエストはハムンビラ古代遺跡の調査だが、証拠もないのに魔王軍の四天王の一人を倒した報酬を貰えるものなのかと疑問に思った。
「ギルドカードは自分が倒したのと倒すのを手伝ったモンスターが記録されるから大丈夫だよ」
「へぇ......そうなのか」
俺はギルドカードを取り出した。しかし、自分の名前や職業、ランクが載っているだけである。何も変わった様子がない。
「ギルドカード見ても何も書いてないよ。これをギルドハウスの『モンスターブック』の上に乗せれば自分が倒したのと倒すのを手伝ったモンスターを確認できるんだよ」
「そうか、分かった」
他の三人はというと、魔力を使い果たしたようでぐったりと床にしゃがんだり、倒れこんでいる。
「みんな、大丈夫か?」
「はい、お兄様。少々、疲れましたが少し休めば大丈夫です」
そう言うグレシアだが、はぁはぁと顔色が悪そうに息を切らしていてちっとも大丈夫そうには見えない。
「うちも大丈夫」
エリックはやや疲弊しているように見えるものの、気にするほどのものではなさそうであった。
「わ、私はちょっと厳しいかなー!」
フレアはというと、地面にうつ伏せで倒れこんでいた。確かに大丈夫そうではない。
「なぁ、リブ。薬草を作る魔法ってまだ使えるか?」
「二人分くらいは今作れるよ」
「分かった。なら頼む。薬草はフレアとグレシアが食べてくれ。少し休憩したら遺跡から脱出しよう。帰りは俺が先頭にでる」
その言葉に他の四人は驚いたような表情を浮かばせた。
「おお! 兄貴がそんなことを! 記憶を失って頼りにならなくなったと思ったけど、見直したよ」
「し、失礼な。俺だってそれくらいするさ」
魔王軍四天王の一人を倒して少し気が大きくなっていることは否定できないが、こいつらを守りたいとは本気で思っている。
「お兄さん。私がやられそうなとき、助けてくれたよね。ありがとう。お兄さん、本当にかっこよかったよ」
フレアはそう言うと、可愛らしく微笑んだ。フレアの言葉に思わずドキッとした。
「助けるのなんて当然だろ。これでも俺はお前の兄さんなんだから」
やはりこいつらを見ていると、日本にいた時の俺の『実の妹』と重なるな。
休憩した後、遺跡の外を目指して俺たちは歩き出した。
「オラァ!」
ざしゅっとスライムに斬りかかった。五体のスライムのうち、一体が俺の攻撃を受けて消滅した。
「よっしゃ! どうだ!」
地味にこの世界に来て、初めて自分でモンスターを倒した。
すると、残りの四体が合体を始めると、大きなスライムになった。
「兄貴、気をつけて! 大きくなったよ! 私も手伝おうか?」
俺の後ろにいたリブが警告を出した。
「大丈夫だ! くらえ!」
俺は剣でスライムを突きにいった。すると、剣はスライムの体内に入るこむと徐々に引き摺り込まれそうになった。
「え、ちょ......」
剣をスライドの体内から取り出そうとしたが、引っ張ってもビクともしない。徐々に俺の体も引き寄せられていった。
「兄貴、手を離して!」
リブが止める間もなく、俺の体はスライムの体内に吸い込められた。
「う......」
スライムの中はプールの中にいるようで、息ができなかった。もがいてみるものの、ちっとも動かせなかった。
「やれやれ、しょうがないな。『ウィップバイン』!」
リブが手から蔓を出し、スライムにめがけて飛ばした。蔓が俺の近くまで伸びて来た。
「兄貴、捕まって!」
俺はリブの指示通り、蔓に捕まった。
蔓はリブの手元に巻き戻り、俺はスライムの体内から出ることができた。
「はぁ、死ぬかと思った......」
「エリック、あいつお願い」
「分かった。『サンダーフォース』!」
魔法陣がエリックの顔の前に発生し、電気の矢がスライムめがけて飛んでいった。
エリックの魔法が直撃した、スライムはビリリと青白い稲妻を撒き散らし、消滅していった。
「兄貴、油断しすぎ」
「め、面目ない......」
俺としたことがあんなにあっさりとスライムに捕まってしまうとは。
その後も俺は妹たちに助けられながらもなんとか、モンスターを倒した。
そして、ようやく遺跡の外へと無事に出ることができた。
「やっと出られた......」
無事に出れたことで俺は安堵した。
「そうだね。でも、ギルドハウスまで歩いていかなくちゃならないね」
フレアが憂鬱になりそうなことを言って来た。ここからギルドハウスから結構遠い。行くときは馬車で来たのだが、もう馬車の運転手はいなかった。
「大丈夫だよ。こんなこともあろうかと......」
リブは自分のトンガリ帽子からカードのようなものを取り出した。




