ネタ短編「前後のハーレムの中間にいる僕。被害を避ける僕の左右からまさかの」
ハーレム物を読んで、超能力ハーレム物を短編というかこの話自体があらすじという感じですかね。
午前の授業が終わり、昼休み。僕は教室で昼食を食べ終え、前の集団に警戒しながら歴史の授業の復習をしていた。
(約200年前にウイルスが発生し、感染者は人を喰らう化物…ゾンビになって人類の滅亡の危機になった。けど、人類はゾンビの駆逐に成功した。この事を「死者事変」その後、人類から奇妙な体質の人達が生まれ、のち超能力者と呼ばれる。そして超能力者と一般人の格差社会が生まれ、ついには超能力者と一般人の戦争になる。これは「差別革命」という。しかし戦争中に動植物が凶暴な生物に進化し、人類に襲い掛かった。それにより戦争終結。新たな危機に人類が1つになった。この危機に救世主の1人…クリステン・アルベルトが発見した未知なる力「エーテアル」それを使うことにより、人類の戦闘力が向上。その事を「新人類の発展」と呼ぶ。現在ではエーテアルを利用した魔法という技術を確立。これを「魔法革命」と呼ぶ……ここら辺を抑えとけば良いかな?)
次のテストに出そうな単語やその前後の文章を読む。
(ん?前が少しうるさくなった?)
そう思い僕は前の席に視線を向ける。
僕は目の前で繰り広げている光景を見て席を立ち、その場から離れる。
僕の席の前の男子…前堂京太君の手が女子の胸に触れていた。
「ちょっ!?アンタどこ触ってんのよ!?」
怒った表情で前堂君に迫る女子…赤城灯里さん。
「ちょっと待て!ワザとじゃないんだって!」
「あらあらぁ?私は全然構わないですよ?もっと触っても良いんですよ?」
手を頬に添え、微笑む女子…宮凪イリスさん。
「宮凪だけずるいぞ?私のも揉め!」
自ら胸を突き出す女子…ウィシャ・ムルヴァルスさん。
「いや!揉んでないからな!?」
「こぉの!変態!スケベ!」
変態と罵った赤城さんが前堂君を引っ叩く。
叩かれた前堂君は僕の席の後ろの席まで飛んだ。
僕が席から離れていなかったら、ぶつかっていただろう。
前堂君は僕の後ろの席の男子…アルバ・バックス君と衝突した。
「なっ!?貴方達!バックスさんになんて事を!」
その状況に声を荒げた女子…カトリシア・ナージェさん。
「…成敗!」
物騒な事を言う女子…二階堂霧さん。
「き、霧ちゃん!?そんな事を言ってる場合じゃないよぉ!?バックス君、大丈夫!?」
バックス君を心配する女子…沼津空莉さん。
「悪りぃ!アルバ!大丈夫か?」
「いや、こっちこそ、受け止め切れずごめんね?」
前堂君の謝罪に対し、バックス君も謝罪する。
そんな2人…いやバックス君に近寄ってくるナージェさんと二階堂さんと沼津さん。
「バックスさん大丈夫ですか!?どこか怪我でもしてませんか!?」
「大丈夫だよ、ナージェさん」
「ほ、本当に?」
「ああ、本当だよ。心配してくれてありがとう沼津さん」
「…良かった……貴様!粛清!」
二階堂さんが前堂君に向かって言い放った。
「待て待て!二階堂!俺も被害者だって!」
前堂君は慌てふためく。
「二階堂さん、落ち着いて?」
「だ、駄目だよぉ!?霧ちゃん、戦っちゃ駄目ぇ!」
バックス君と沼津さんが二階堂さんを止める。
「霧さんの言う通りですわ!今ここで引導を渡しておきましょう!」
「シ、シアちゃんまでぇ!?だ、だから駄目だってぇ!また怒られちゃうよぉ!?」
ナージェさんはやる気満々であった。
(あ、これはヤバイ。教室から出よう!)
僕は脱兎の如く、教室から廊下に出て、自分の教室から離れた。
すると僕が出てきた教室から大きな騒音が聞こえたのち爆発音がした。
廊下にいる生徒達がその音にびっくりしていたが、音の発生源が僕の教室だと分かったら…
「またあの連中か―」
「どっちが勝ったかジュースでも賭けるか?」
「前堂ハーレムに1票」
「じゃあ俺はバックスの方で!」
「共倒れの方に」
賭けを始めた。もう学校の全員がこの騒動が日常風景と捉えている。
「またあいつらかぁぁぁ!!?」
叫びながら担任の先生が通り過ぎ、僕の教室に入っていった。
「今年の新入生はヤンチャな奴が多いようだな」
「毎度校舎を直す身にもなって欲しいわね」
風紀委員長と生徒会長もやって来て問題の教室に入っていった。
(先生と風紀委員長と生徒会長が来たから、もう戦闘は終わるや。教室に戻ろう)
そう思いながら僕は教室に戻った。
教室内は、机が壊れ散乱しており、窓ガラスも割れ、床や天井には焼け焦げ、ヒビ割れ、切り傷、水浸し、エトセトラ……悲惨な状況だった。
教室内にいたクラスメートは身の安全の為のセーフティリングという安全装置のお陰で幸い軽傷だった。
前後ハーレム達の戦争は風紀委員長と担任の先生の介入により終戦。そして説教され、罰として校内清掃をするようにと言われている。
生徒会長の超能力で荒れ果てた教室を直して元に戻っていく。
僕は一度、あの集団戦に巻き込まれた事がある。おそらく一番最初の被害者だと思う。
最初は前の席の前堂君も、後ろの席のバックス君も女子に囲まれてハーレムを築いて、その間に挟まれている僕は羨ましく、嫉妬していた。精神的に圧迫されていたと思う。
そしてお互いのハーレム状態が目に入って気になったのだろう。前堂君とバックス君は交流を持とうとした。その流れで僕もなんとなく和に入っていた。
だがお互いの周囲の女子達は何故か衝突してしまう。
ついに第一次ハーレム集団戦勃発。僕は全治二週間の怪我をした。
それ以来僕は、羨望の感情は小さくなり、前と後ろのハーレムを注意よく警戒し、危険回避を心掛けるようになった。
第二次、第三次と戦争が起こるたび、僕の危険回避の精度は高くなっていき、今では完全に見切れる。
クラスメートには「それお前の超能力なのか?」と言われる程だ。僕の超能力なんてショボいよ。
午後の授業も多少、前後ハーレムのいざこざがあったけど、概ね平和に終わり放課後。
部活、遊び、デート、自主訓練、趣味、バイトとそれぞれの目的の為に教室から出るクラスメート達。
前後のハーレム達も、罰掃除の事で話し合いをしていた。
お互いに掃除区域を分担して効率良く早く終わらせて、放課後を満喫したいようなので、あっという間に分担場所は決まった。
が、前堂君とバックス君とペアを組む話になると、前後ハーレム達が騒がしくなり、内乱が始まる。
昼休みの件があったので実力行使は行われず、言い争い、話し合いもヒートアップ。
なかなか決まらないのでそこで僕は「公平にジャンケンやクジ引きで決めたらどうかな?」と提案したら、ハーレム達やハーレムの主も賛同した。
冷静になる者、余裕ある者、験担ぎする者、気合いを入れる者、祈る者、そわそわする者と多種多様な反応でペア決めをする。
結果は割合。でもなんとなくこうなると思っていた僕は、ペアが決まり不満を言いながらもそれぞれ罰掃除をしに教室から出た行った。
前後ハーレムを見送った僕はようやく家に帰る事が出来る。
何故僕がいたのかというと、担任の先生にお願いされたからだ。
「お前なら被害に遭わないように立ち回れるだろ?アイツら、問題なく物事が進めば、ちゃんとするヤツらだから掃除しにいくまで見張っててくれ。頼むな!」と。担任には調停者みたいな扱いを受ける僕。
(早く進級してクラス替えしたいなぁ)
今年は平穏でいられない事を確信しているので、来年に期待を寄せながら帰宅した。
前後ハーレムのいざこざを避け日常を過ごしたり、時には事件に巻き込まれ怪我しちゃったりしたけども、僕はなんとか生きてます…例えば。
テストの為に前堂君とバックス君に集まってくる前後ハーレム達が内乱、戦争したり。
休日の後、たまに前後ハーレム達のそれぞれが険悪なムードが漂ったり。
前後ハーレム達が僕に頼み事したり。
「私のこと、どういう風に想ってるの?」と探らせたり。
「赤城さん、ムルヴァルスさんの弱みとか知りません?」と聞いたり。
「男子が心ときめく動作とはどんなものだろうか?」と質問したり。
「バックス君のサポートをお願いしますわ!」と強制労働されたり。
「………ボクは怒ってないから気にしないでと伝えて……」と橋渡しをしたり。
「ど、どうしていつもいつも赤城さん達の喧嘩しちゃうんでしょうかぁ?」と愚痴られたり。
事件に巻き込まれた件については、害獣…動植物が凶暴化し、人を襲ったりする事がある。
そして同時害獣発生し、その害獣討伐の為、能力の高い前後ハーレムのメンバー達が討伐に参加したのは良いけど、何故か僕も同行しちゃったり。
でも僕のショボい超能力も時には役に立った…と思いたい。
そんな事件が終わった後は、待ちに待った夏休みだ。これで当分は安全でいられる…と思っていたけど、遊びに誘われた。
断るのも悪い気がするので、参加した僕。…どうせ僕は流されやすいですよ。
夏休み前半。前堂君に海で遊ぼうと誘われ、前堂ハーレム達のセクシーな水着姿を拝んで…そしてタコの害獣に触手プレイを観賞、体験したり。
夏休み中間。バックス君に山で天体観測しようと誘われ、バックスハーレム達のビシッと決まってるアウトドアスタイルに見惚れて…遭難した僕をバックス君達が助けに来たり。
夏休み後半。姉が彼氏に夏祭りを一緒に周るデートをドタキャンされ、強制的に連れられて行った夏祭りで前後ハーレム達がお互いフォロー…と言う名の、抜けがけする者に妨害をする様に頼んだり、頼まれたりとしているドロドロな共同戦線を目撃したり。
そんなある意味、滅多に体験出来ない夏休みを終え新学期。
2人の転校生が僕のクラスにやってきた。前後ハーレム達と負けじ劣らずの美少女だった。
もしかして、この2人も前後ハーレム要員になるのでは?と僕は、もう勘弁して…と、遠い目で更にトラブルの頻度が上がりそうと思った。波乱が目に見えている。
しかし、そんな事はなかった!むしろ前堂君とバックス君と距離を置いていた。なんたる僥倖!
逆に、彼女らは逆ハーレムと孤高を築いていた。
昼休み、窓際の一番後ろの席で転校生のひとり…右京飛鳥さんが風紀委員長と3年生の先輩と生徒副会長に囲まれていた。
「右京飛鳥さん、風紀委員会に入ってみないか?常識も弁え、能力も充分に高く、即戦力になる。今年の一年生…というか、君のクラスの問題児達には手を焼いていてね…どうだろうか?」
「いえ、あの、まだ転校したばっかりなので…」
風紀委員長が右京さんを勧誘しているようだ。
「オイオイふーきいいんちょ。そりゃ単に、お目付役が欲しいってなだけじゃないかー?」
「なっ!?そういうつもりではないですよ!本当に右京飛鳥さんが欲しいだけで…」
「ええっ!?」
「欲しいだけって、ふーきいいんちょもやっぱ男だなー!」
「…あっ!?ち、違う!そういう意味ではなく……」
風紀委員長をからかったのは元生徒会長の3年生のイケメン…進道明由先輩。
「そんなモンに入らない方がいーよ?アレコレ面倒事あるしー?それより俺とデートした方が有意義だってー」
「急にそんな事は言われても…」
「そうですよ進道先輩。右京さん、この先輩の口車に乗っちゃダメですよ?」
右京さんをフォローした2年生の生徒副会長…百瀬雪弥先輩。
「なんだよ、せいふく長の癖に生意気なー」
「だからその略し方はやめて下さいって。変な誤解が生まれますって」
「フフフッ。本当になんだか支配征服を目指す人みたいですね?」
「それか制服にこだわりを持つ者か?」
「委員長までそういう事言う!?」
和気あいあいと話している右京さんと逆ハーレム。
ちなみ風紀委員長の名前は石橋錬士先輩。けどみんな風紀委員長とか委員長とかで呼んでいる。
そして反対側の廊下側の一番後ろの席のもうひとりの転校生…左院希乃さん。
「左院さん、今日、良かったら、遊びに行かない?」
「…ごめんなさい」
「そっ…か。じゃあまた今度誘うよ!」
首を振りながら、申し訳なさそうにクラスメートの誘いを断った。
「バッカヤロウ!!朝一で佐々木が断られたんだ。今日はもう駄目だろうが!!左院さんを困らせるんじゃねぇ!!」
「お前何言ってんの?何考えてんの?なんで遊びに誘おうと思ったの?」
「次、話し掛けるの一回休みな?」
遊びに誘ったクラスメートが他のクラスメートに責められている。
「ちょっ、いや、あの、もしかしたら気が変わったりしてないかなぁと…」
「フザケンナよ!?そういう風な事が嫌で転校してきたって知ってるだろうが!!」
「ナニ左院さんの心に傷を付けてんだゴルァ!」
「あ…あの!」
ヒートアップしていくクラスメートに声を掛けたのは左院さんだった。
教室は静寂した。
顔を赤くしながら左院さんは、責め立てていたクラスメート達にこう言った。
「わ、わたしは、大丈夫だから!ケンカは………」
最後のセリフの「駄目」という言葉は小さく消えて聞こえにくかったが、教室にいる全員は理解した。
「うおおお!すみませんでしたぁ!」
「俺らが悪かったですぅ!」
「ち、ちが……」
責め立てていたクラスメート達が左院さんに土下座をして謝った。遊びに誘ったクラスメートも土下座していた。
そんな状況をアワアワと顔を真っ赤にして狼狽えて、ダッシュで教室から出て行った左院さん。
孤高…というより教祖的な感じになってきている気がする。
ちなみに、僕らの席は教卓前の所。
右京さんと左院さんから離れているからあまり騒動の被害には遭わない。
右京さんの近くの席の男子は、先輩方の圧力と先輩方の追っかけの女子の鬱陶しさで大変そうだ。
左院さんの近くの席の男子は、左院さんと能動的に交流したら、他の男子達に何処かに連れて行かれていた。
前堂君とバッカス君。右京さん。左院さん。この3箇所の騒動の位置から三角形をイメージして僕はトラブルトライアングルと心で名付けた。
そんな中、この状況を変える出来事が起こった。
そう、席替えだ!これで前後ハーレムの間から脱出出来る!席替え最高!!
そう思う時も僕にはありました……
僕の席はちょうど真ん中。
右の席には前堂君。
左の席にはバックス君。
後ろの席は右京さん。
前の席は左院さん。
僕……前後左右に挟まれました………
流石に担任の先生に抗議した。
「先生!この席順は危な過ぎます!やり直しを要求します!!」
「お前の都合で一度決めたモンを変えるにゃ、まず周りの意見を揃えろや」
僕はクラスメート全員の顔を伺った。
前堂君は「別にこれで良いんじゃね?」と。
バックス君は「また君達と近くだから嬉しいけど」と。
前後ハーレム達は、比較的にハーレムの主と近いので不満は無さそう。
右京さんは愛想笑い。
左院さんは困った顔を下に逸らし目線をチラっと向ける。
他のクラスメート達は目を合わそうとしない。一部の男子は僕を睨んでいたが、席替えやり直しには賛同してくれないみたいだ。
悪い意味で僕は生贄になった。
「ほい、残念だったな。まぁ、俺も危ないかなぁ〜?とは思うが、なぁに、お前の超能力じみた危機回避能力なら大丈夫だろ?ついでに、アイツらの緩衝材になってくれ。俺も理事長や教頭の小言は聞きたくねぇから」
肩をポンポンと叩かれ、席に戻るように促された。
席に戻ると右京さんに話しかけられた。
「私、右京飛鳥と言います。これからよろしくね?」
「はい…よろしくお願いします…」
「あ、あの…私も…その…左院…希乃です、よろ…くおねが………」
「うん、左院さんもよろしくお願いします」
左院さんも挨拶する為に振り返り自己紹介をしてくれた。
その流れで前堂君とバッカス君、前後ハーレム達も話に加わる勢いだった。
「えっと、君の名前は?」
はにかんだ笑顔で僕の名前を訪ねる右京さん。
そういえばまだ言ってなかった気がする。
「僕の名前は……」
自己紹介をしながら僕は、これから五体満足で進級出来るのだろうか…と不安に満ちた未来を描いた。
駄文失礼しました。読んでくださってありがとうございます。
多数のハーレム、逆ハーレムから主人公はこれからどうなるかは読み手次第ですね。
ハーレム達や逆ハーレムの女子が主人公に惹かれハーレムを築くのか。
新たなキャラが参戦するのか。
妄想が膨らむけど表現が難しいです。
ちなみに主人公の名前は「中」がつく苗字です。