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不運は半分こ  作者: セロリとドレッシング
7/13

7

 私は病気のせいで今年受験できなかったけど、二人の受験も無事に終わり、合格を知らされたのは数日前。

「志恩さんここに来るまでに何回転んだんですか」

 微妙な笑みを浮かべる志恩からシャツを受け取り穴が空いた場所を縫っていく。どこでこんな絵に描いたような穴の開き方したんだよ。木に引っ掛けたのか、釘か何かに引っ掛けたのか見事な穴が開いている。

「プリン買ってきたよ」

「良くやった志恩!」

 にこにこしながらチクチク縫っていると志恩は私の顔を見て笑ってきた。

「僕、華の笑顔好きだよ」

「私も志恩の笑顔好きだから同じだねー」

 互いに顔を見合わせる。小さな頃から変わってない笑顔。この笑顔を見ると安心するし心もポカポカする。志恩もそうだといいなー。

「あ、そういえば」

 縫っていた手を止めて志恩の顔をまじまじと見る。

「な、何?どうしたの?」

「うーーーん」

 看護師さんに

『いつも来る彼氏さんかっこいいですねー』

『彼氏じゃないですよー』

と言われて、あれ?志恩って可愛いじゃね?とか思ったから改めて志恩の顔を見てみる。椅子に座る志恩の膝に片手をついて身を乗り出し顔と顔を近づける。

「えーと」

 改めて見てみるとー。

「志恩ってイケメンだね」

 「へ?」

少し間をおいて言葉を理解すると志恩の顔はみるみる真っ赤になった。

「俺はイケメンなんかじゃないよ」

 少し下を向き照れる姿はやっぱ可愛いわ。あー、今思うと志恩と賢二も女子に結構人気あったわ。

「志恩可愛い彼女とか作れるんじゃねー。良かったじゃん。できたら紹介してよー」

「・・・いらないよ」

 再び手を動かしていると志恩の真面目なトーンの声が聞こえてきた。顔を上げてみると志恩は少し微笑みながら私の止まっていた手を握ってきた。

「志恩針危ない」

 ただでさえ不運なこの子が針を持つ人の手なんて握ったら刺さるだろ。

「華がいればいいや」

「・・・・」

 笑顔で言う志恩の頭をなんとなく撫でてみた。

「・・・はい、出来た!・・・あれ?」

 黒いシャツを黒い糸で縫っていたと思ったのに出来上がりは白い糸で縫ってあった。え?なんで??志恩マジック??

「ごめん志恩・・・」

「大丈夫だよ。気にしないで!」

 白いシャツの上から黒いシャツを羽織るとやっぱり目立つ。ごめんなさい。志恩さん。

「いつもありう華」

「おう」

 やめろ、なんか照れる。志恩が買って来てくれたプリンはコンビニで出たばかりの新作でかなりシェイクされていたけど美味かった。


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