1話 開幕
今回初めての投稿となります!
結構前に考えた内容で少しずつ書いていたんですね。でも、書くだけだったらつまらないし、自己満足で終わりたくないので、他の人に見てもらって評価などを頂けたらなと思います。
よろしくお願いします
目に映るのは体中に穴の開いた兄の姿。急な出来事に、俺は理解できなかった。
つい数分前まで元気だったのに、今見たらこんな悲惨な姿になっている。と思えば、その数秒後、兄は光となって消え、この世界の記憶からも消滅した。
虚無感。その言葉が脳内を占領したのはその時だった。兄の存在を誰もが忘れてしまい、僕は危うく精神異常患者になるところであった。
何事にも全力で、苦しみながらも勉強やスポーツに打ち込んでいた兄を間近で見てきた。積み重ねてきたはずの努力が崩壊し、意味を失った。
竜人はこの出来事をきっかけにこの世の全ての意味を見失い、生きる意味さえもわからなくなってしまった。
これからも虚無感に縛られながら生きていくのだと思っていた。
***
丘ノ学園高校へ入学して数週間経った頃の話だ。
休み時間になると大勢の女子が彼の周りに集って、質問攻めを受ける。それに嫉妬したのか、クラスの男子から冷たくされ、未だに友達の一人もいない。
元々友達を作る必要性を感じていなかったので、気にすることは決してなかった。
係決めの時には余ったところに入り、仕事をそつなくこなす。すると、女子からの好感度は上がり、男子からの羨望は急上昇。
すでにある女子生徒から告白をされている。しかし、「虚無感」が僕に下した判断は女子生徒に悲しい思いをさせるものであった。
予鈴のチャイムが鳴り響く。竜人は廊下を歩きながら窓の外に見えるすでに枯れてしまだた桜の木を眺めていた。その桜の木を羨ましく思う自分がいる。俺の枯れてしまったこの心はもう、咲くことはないのだから。いや、咲かせる努力も、水や肥料さえも無駄に感じるからだ。
生きていればめんどくさいことが付き纏ってくる。だからいつ死のうかなんて考えていたりする。
前に目を戻すと一人の女子生徒と目が合う。さっき考えていたことはフラグだったのだろうか。
目はニヒルを感じさせ、曇った表情は絶望感に満ち溢れ、それなのにまだ希望を抱いて輝きを放っている。
背中の真ん中くらいまでまである薄く茶色がかった鮮やかな髪。宝石のような美しい瞳。新雪のように白く綺麗な肌。孤高を思わせる雰囲気に呑み込まれる感覚に襲われた。
似ている。俺と違って希望を持っている。似た者同士だからこそ直感的にわかった。その希望に魅了された。
この瞬間、何かが、否、全てが変わった。
そう、全てが......。
1ヵ月に1回くらいの更新になるかもしれないですけど頑張ります!場合によっては小分けにして1週間とかで更新できたらなと思います!