第一章「新人研修?!」-8
「ここで話しても意味ないでしょ。それより早く始めようよ」
珍しく楓がやる気である。
三ヶ月会わない内に仕事熱心になった…いや、あの目は『面倒くさい。早く帰りたい』という目だ。
「そうだね。さて、今から一対三で模擬戦やってもらう」
一対三?何か嫌な予感が。
「相手はこいつね」
そう言って千堂が指差す方向には俺。
やっぱりこうなりますよね。
「あの質問よろしいでしょうか?」
「何かな?」
さっそく、坂上が挙手やる気があるのはいいことだ。
「雨宮先輩はヘルメスの人ですよね?現状ではアレスである千堂先輩のほうが適任ではないでしょうか」
「あーそういうことね。この男じゃ相手には不十分だと」
おいコラ千堂。
「…はい」
当たってんのかよ!
応援した俺がバカだった!
「ま、戦ったらその理由がわかるよ。雨宮準備して」
「りょーかい」
仕切るのを任せた以上従う。
それに少し後輩にはお灸をすえる必要がありそうだ。
「手加減しなよ」
「…わかってるよ」
楓の横を通り過ぎると忠告される。
本気でやろうとしていたなんでバレてたんだ?
まったく、敵わねえな。
模擬戦になったがどうやら一対三にはならないようだ。
アフロディーテである早乙女は自ら見学を希望し、部屋の隅っこで楓たちと待機。
竜胆は坂上の意思を尊重するらしく、少し離れた場所で待機。
目の前にいるのは日本刀を構える坂上一人だった。
「これ、普通に武器使っていいんだよな?」