第一章「新人研修?!」-6
「浅葱さん絶対寝ますよね」
「大丈夫、起きてるから。ね?」
「…わかりました」
昔から研究熱心で時間を忘れて没頭し、昼夜逆転生活はかれこれ数十年と聞く。
そのせいで身長が伸びていないんじゃないかというのがガイア内で誰もが思ってること。だが、そんな容姿でもウラヌスの肩書きは伊達じゃない。
こと、頭脳に関すればガイアだけでなく、世界中で彼女に勝るものはいない。
「zzz」
「って、結局寝るのかよ」
せっかく淹れたコーヒーが勿体ねえ。
一杯飲んでから行くか。
それと、ここはそんなに寒くはないが布団探してかけないと風邪引くよな。
そして、約束の時間十分前。
ちょうどいいぐらいと思っていたが、演習場の中には俺以外の全員が揃っていた。
「遅い!」
中にいたのは楓も含めた五人の少女たち。
その中で最も小柄なやつに叱られる。
彼女の名は千堂奏夢。ガイアの部署の一つ警備課に所属している。
「時間には間に合ってるだろ」
「それでもあんたが一番遅いことには変わりない」
彼女が怒っているのは来るのが遅かったからとか、新人に示しがつかないからではない。
もっと別の理由だが今はあたらないでほしい。
「奏夢。時間勿体なしそろそろ始めよう」
「…わかった。雨宮後で話あるから」
「へいへい」
どうやらここでは追及されずに済みそうだ。
それに奏夢がこの場を仕切ってくれるのは楽でいいや。
「それじゃあ、まずは自己紹介ね。私は警備課所属の千堂奏夢よろしく」
「私は諜報課所属の出水楓」
「同じくヘルメス所属の雨宮陽斗」
『え…?』
滞りなく進むと思われた自己紹介だったが、俺の番で三人の新人が声を上げる。
噛んでもないし、おかしなこといったかな。